そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

政権が支援しない健全な酪農家

2014-05-02 | 政治と金

左の写真は、10産目の子供をお産して起立不能になった乳牛です。血液中のカルシュウムが低くなる、乳牛ではよくある”乳熱”と呼ばれる病気です。
Ken_0159 この乳牛は、10産目で初めての乳熱です。幸い一回の治療で起立し、今も元気に搾乳しています。ちょっと高齢なので、少し気を使った診療をしました。
この酪農家にはこれより年上の牛が2頭います。搾乳頭数は、45頭ほどです。子牛まで入れても、80頭ほどです。家族は、本人夫婦と両親と子供3人の7人家族です。この頭数で十分一家が生活できるのです。
この農家は、ほとんど病気というものがありません。年間に診療代も、30万円足らずです。通常この頭数なら100万円以上は見ておくべきでしょう。獣医さんにとっては、お金にならない農家です。
写真の牛もそうですが、治療への反応が良くて基礎体力が高いことが判ります。
一頭平均の乳量は6000キロ足らずで、この地域の平均の7割ほどです。牛舎も古く新しい投資はほとんどなく、穀物給与量も少なく、多くのものを父親と作っています。
現在日本の酪農家は、多頭化・高泌乳化が進んでいます。特に大規模農家では、平均産次数(分娩回数)が、2.5産ほどになっています。牛全体が不健康で、若い牛しか飼えないといえます。
北海道の乳牛と言えば、青空の下で牧草を食べている印象がありますが、そうした健全な牛乳は北海道牛乳の5%にも満たないのです。
写真の農家は、生産量も低く投資などほとんどありません。この農家のような小規模の健全な農家は、国は支援をしてくれないのです。大規模・高泌乳こそ競争力があると、アベノミクスご推奨だからです。内容は3日前からの、当ブログをご覧ください。

消費者の皆さんは、政府が進める、若く体力のある時にしか飼うことのできない、不健康な寿命の短い牛からの牛乳を飲んでみたいと思いますか? それとも健康な牛からの牛乳が飲みたいでしょうか?

コメント (2)
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