そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

美味しんぼの姿勢を評価する

2014-05-14 | 政治と金

雁屋哲氏の人気漫画「美味しんぼ」の、110巻「福島の真実」が問題になっている。原発以降に前双葉町長が鼻血が止まらないなどとして、福島にはすまない方がいいと発言させている。
実社会でも、本人は同じことを言っている。大阪に搬入された、放射性がれきの処理の周辺で、不健康な人物が続出している、などと言うものである。
復興に懸命に取り組んでいるのだから、それに水差すようなことは言ってもらいたくない、地元の感覚には理解できるものがある。
しかしこうした事実があるのは、まぎれもない事実である。建前ばかりで、あたかもなかったように取り繕言うことの方が、将来禍根を残す。この国首相のように、事実を曲げてまで公式の場で発言しオリンピックを招致することの方が、よっぽどおかしい。
医学的な証明を待っていては、水俣やカネミ油症のようになる。医学的な因果関係の立証には、相当に深刻な事態と何よりも犠牲者の発生を看過することになる時間が求められる。
こうしたことの犠牲になるのは、一般国民や被害者たちである。とりわけ放射性物質の被爆による被害は、多岐にわたり長期に及ぶ。放射性物質の斑的広がりも、解析を困難にさせている。

こうした場合には、雁屋氏のように地道で長期に取材の発言は尊重されるべきである。官僚的な発想や線引きで対応してはならない。
福島地域での、小児甲状腺がんの発生もかなり高濃度に発症しているが、被爆7年以上で発症するという線引きの前に、問題が大きく扱われていない。
汚染基準を下げて、瓦礫を各地に搬出したり自宅へ戻させたりと、これで良いのかと思われる行政の都合による線引きがされたが、住民の将来に大きな重荷になることが懸念される。
過去この国はそういうことを繰り返しやってきた歴史がある。血友病の血清薬やハンセン病など枚挙にいとまがない。
そうした意味でも、美味しんぼの姿勢を評価したいものである。関係機関や住民は真摯に受け止めるべきである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羅臼港

春誓い羅臼港