NHKのラジオ国際放送などで、中国人の外部スタッフが沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」と中国語のニュースで伝え、その際英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などとも発言したとのことである。
NHKは、このスタッフと業務委託契約を結んでいた関連団体を通じて本人に厳重に抗議し、21日付で契約を解除し、今後損害賠償請求を行い、刑事告訴を検討するとのことである。
松本剛明総務大臣は27日の閣議後記者会見で、NHKの中国籍の外部スタッフが、ラジオ国際放送の中国語ニュースで沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」と伝えた問題について「公共放送としての使命に反するもので遺憾だ」と述べている。
稲葉会長らNHK幹部はこの日、放送政策などを議論する自民党の情報通信戦略調査会で、今回の事案の経緯などを説明した。議員からは「非常に深刻な問題」「なぜ、発言を止められなかった」といった意見があったという。
これをそのまま聞くともっともであるかに見える。中国人スタッフとの意見調整などが行われなかった課は問われるべきである。更に中国でこのような報道が自由闊達な論議とともに行われる現状にあるかも、そのスタッフと業務委託している団体との協議や論議は行われていたのかも問われるべきである。
放映権の管轄する総務省は、国家の方針に反するからと公共放送を盾に切って捨てれば、戦前の大本営報道と何ら変わらなくなる。
それこそそのスタッフが母国では、こうした論議もなく国家の方針を垂れ流す現状に倣うに等しいことといえる。報道の自由の制限と政治の介入を許すのではなく、そうした論議を契約以前にそのスタッフや委託団体と行うべきであったはずである。
このまま、総務大臣の指示に従うような報道機関になっていけば、中国の現状と何ら変わらないものになってしまう。
NHKは再発防止策として、ラジオ国際放送の中国語のニュースは20日から事前収録を実施し、他の番組も今月中に事前収録するというのである。
大本営発表に近づく恐ろしさをおぼえるのである。