佐渡島のトキ保護センターのトキが9羽も殺された。この秋に放鳥される予定の、11羽中の9羽である。とても痛ましい事件である。テンによって殺されたようである。テ ンは凶暴な動物で、食べなくても面白半分に幾らでも殺す。私も高校時代に伝書鳩がイタチに襲われた経験がある。ほとんど食べることなく、あらされたものである。
今回の事件で思うのはやっぱり起きたかという感じである。官僚やお役人たちが配置換えで、環境保護の現場によく来る。ズボンの裾の 汚れを気にしながら、ネクタイをしっかり締めたお役人は、権限があって現場を仕切るが環境のことは殆ど知らない。週休二日をいただいて、時間通りの勤務を忠実に守っている。野生生物には休日もなければ、時間外も当然ない。
当然のことながら、お役人は法令や判例や前例のことについてはやけに詳しい。現場では、ひげ面でおおうような格好のこ汚い連中を顎で使う光景が珍しくはない。この保護センターは、新潟県の施設である。放鳥されたトキが餓死したときには、何も知らない知事が餌付けをするべきと意見を述べていた。お役人は県の職員である。
トキが9羽も襲われるのは一瞬のできごとであるはずがない。事実9日の午後8時から10日の午前8時まで、トキたちが警戒音を何度も発していたことが確認されている。今回のできごとは、お役人の怠慢である。お役人がこうした、環境問題に取り組むのは不向きである。環境問題への意識の濃淡が命取りになる。テンが侵入するのもいることも確認できない、お役所仕事なら致し方なかろう。自らが取り組む姿勢と意識を持つ、民間の団体かNGOに任せるべきである。