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そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

前原発言を検証するその2

2011-02-09 | 政治と金

前原外務大臣の「日本のGDPに占める第一次産業の割合は1.5%でThumbnail す。残りの98.5%が犠牲になっている。農民の平均年齢は65歳である」との発言は、かなりのインパクトを持って、マスコミに取り上げられた。この僅か1.5%の農産物生産が低い原因の一つが、農業者の手取りが少ないことにあると、農業者からの見方が少ないのが気になる。

GDP量は金額である。日本の農民は僅か1.5%の報酬、対価しかもらえないが、国内消費量カロリーの40%も生産しているのである。昨日も書いたことではあるが、食料を必要としない人間は存在しない。この数字は、国民は正当な対価を農民に払っていない証しである。

前原発言は、都市と農村の対立構造も際立たせる結果になっている。地方は都市に食糧に限ることなく、水や空気それに人的供給を通じて、経済的発展を支えてきたのである。長年培ってきた豊葦原瑞穂の国の、勤勉な民族性と村社会の共同体意識は、経済成長の日本の会社・産業を支えてきたのである。

それでは、犠牲になっているとされる輸出産業であるが、これも僅か17.5%に過ぎないのである。韓国は80%にもなる純然たる貿易立国である。農業を切るのには事情がある。それでもコメだけは守ったのである。そのためには、全ての関税を撤廃するTPPではなく、個別交渉となるFTAを多くの国々と結ぶ努力を連綿とやってきたのである。

この間日本は何をしたかと言えば、毎年のゴタゴタと無責任な政権投げ出しで、何度も首相を挿げ替える消耗戦を繰り返してきたのである。韓国が大統領制ということなる体制であることを考慮しても、いかにもおぞましいこの国の政治体制である。

限界集落は6000を超えるとされている。高齢化はへき地から始まる。就労農民の平均年齢が65歳であるのは、この国が怠ってきた農業政策の残像であると言える。

TPPは自給率の向上にも反するし、国家の根幹たる食料生産の放棄をさらに加速させることになる。TPP参入は天下の愚策と言える。

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前原発言を検証する

2011-02-08 | 政治と金

前原誠司外務大臣が、「日本のGDPに占める第一次産業の割合は1.5%でThumbnail す。残りの98.5%が犠牲になっている。農民の平均年齢は65歳である」と、日経などのシンポジュウムで発言をした。この発言のインパクトはかなり大きく、多くの国民を、TPPやむなしへと走らせた感がある。

これには大きなまやかしと数字のトリックがある。それではアメリカ農業の国内のGDPに占める割合はと言えば、1.5%であり、同じく農産物輸出国のフランスでも1.8%である。ドイツとイギリスは0.8%である。これらの国はほとんど食糧を自給している。

それではTPPで躍進するとされる日本の自動車産業(輸出産業)はと言えば、2.7%である。車は必要としない人たちもいると思われるが、食料を必要としない人はいない。これらの関係が、ほぼ倍近い関係であることが正常だとは思えないのである。

TPP参入推進を唱える輸出関連産業に限ってみても、GDPに占める割合は17.5%に過ぎない。GDPという得体の知れない、金の動く量を基準で特定の産業を捉えて、産業構造全体を論議しないのがおかしいのである。

農業関連産業の幅を広げて見ると、食品工業、流通産業、飲食店を全て含めると、GDPに占める割合は、9.6%にもなる。自動車関連産業の実に3.56倍にもなるのである。更に就業人口は775万にもなる。TPP導入による無関税の輸入品の受け入れによる混乱は、就農者よりも関連産業の方が大きいと思われる。

更にもう一つの論点であるが、農村が高齢者ばかりにしたのはどうしてかを検討するべきなのである。健全な発想なら、農村の高齢化問題を真剣に検討するべきであって、今すぐになくなってしまうものに金をつぎ込むのか、我々を犠牲にするのかというあらぬ方向へと導く論議は、健全ではない。前原発言は特定の方向付けを考えた、無責任なまやかし論であると言える。

左のフォトアルバムに<凍らない屈斜路湖>をアップしました。

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論議のないTPP

2011-02-06 | 政治と金

NHKの日曜討論を聞いた。賛否両論者を抱える民主、自民の政治家がいなかった分、かなり深い論議がされた気きがする。政権内ですら論議が分かれ、論議すらできない現状である。出席者はTPP推進派の太田弘子、伊藤洋一反対派の金子勝、鈴木宣弘の研究者評論家の4名だった。

TPPがこれまでの自由貿易協定(多国間・二国間)と全く異なるのは、関税の全面的な撤廃である。このことを推進派の2名は正確に理解していない。徐々に撤廃されることになるといくら説明しても、撤廃されることには違いない。推進派の論議は、輸出産業が高まり農業が衰退するとするとする2元論にとどめたかったようである。TPPは関税撤廃に限らず制度の共有も入っている。

太田氏は韓国がすでにFTAを多くの国と締結することで、TPPに参加することになるとする見解に、鈴木氏が一蹴する場面があった。韓国は基本的に農業を捨てて、すでにGDPの80%を占める輸出産業に移行する決断をしたのである。そうした中でも、コメだけの例外を設けているる。それがFTAなのである。農業投資も国外に農地を求め、企業支援を行っている。韓国の対策は日本に当てはめるわけにはいかない。

菅政権がTPP参加を打ち出したと聞き、自民党時代に経済産業相を務めた太田氏がもろ手を挙げて喜んだというのが、菅政権のスタンスを語っている。太田、伊藤両氏が、TPPには参加しなければだめなんですと、内容説明の前に一方的主張を何度か繰り返していた。推進派は国内産業をほとんど考慮していないことが解った。

TPP推進派の農業に対する認識不足には目を覆いたくなった。規模だけで農業の効率を考える、あるいは企業参入が農業を救うかの浅い認識しかなかった。農業参入した企業で、成功した例をいまだ見たことがない。6月にTPP参加を決定する混乱を推進派は認識していなかった。日本の食料自給に関する論議がふっ飛んでしまった無関税体制の導入について、全く認識がない。

世界の農業政策にについて詳しい鈴木氏の、EUをはじめとする政策的な援助など例にだし、全く論議しない政権を意義をとなえた。TPP参加をまず決めるのは、極めて乱暴な論議と断じた。

農村の最も大きな問題は、高齢化と地域の衰退である。自民党政権が票田と評価するほどであったが農家の数が減ると、平気で政策を都市機能、論理を優先させる政策をした結果である。その尻拭いすらやらないままで、TPP参加はいかにもノー政と言われるそのままである。

日本の農業や農村をよく知る金子、鈴木氏の論調に、推進派の2人が全く反論できなかったのが印象的であった。それでもTPPに参加することになるのだろうか。

左にフォトアルバム<凍らない屈斜路湖>をアップしました

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もう大相撲も終わりである

2011-02-04 | 政治と金

大相撲に八百長とまで言わなくとも、星のやり取りくらいはあるものだと誰もが思っている。大関が千秋楽で7勝7敗なら、対戦相手が気を使うのは当たり前だと思う。狭い社会で限られた人たちが暮らす社会である。こんな場面で相手に気を配るの110202が“粋”だといえる。少なくともこの程度の土壌があったとは思っていた。

若乃花と貴乃花の優勝決定戦ほどいい加減なものはなかった。兄の若乃花が寄ると、優勝回数の多かった貴乃花が急に崩れてしまった。粋な計らいだとの私は思った。

今回発覚した八百長は金銭の授受があったようである。十両にやっと止まれるかどうかというような2流の関取の画策である。十両が幕下以下と差があるのは実力の世界では当然であるが、こんな連中の掃き溜めになっているの現状である。

更に今回の八百長疑惑の発覚は、野球賭博の調査で警視庁が見つけた携帯のメールが動かぬ証拠となったのである。犯罪規定がないということで、いわば警視庁のリークで発覚した。これもおかしなことである。証拠品を第3者に提供したのである。犯罪調査の過程で、浮気の証拠が見つかり嫁さんに通告するようなものである。我々も気をつけた方が良い。

大相撲は貧者の格闘技である。豊かになってくると、小中学校の校庭の隅に必ずあった土俵が消えてしまった。幼少期に広いところを歩かされた、北海道出身の関取がいなくなった。唯一の関取も今回とっつかまることになる。便利になって足腰を使わなくなったせいである。

外国人力士がどんどん増えてこの世界がおかしくなった。朝青龍のような下品で粗野な力士が登場する。勝てば文句ないだろうは、相撲道に反しても横綱に推挙した。朝青龍は更に思い上がった。

稽古で何人も死ぬようになった。リンチ死もあった。八百長の報道は何度も何度も繰り返され、訴訟が繰り返されている。ちょんまげと得意な風貌からお相撲さんは何処へも遊びには行けない。仲間内での遊びが増えて、賭けごとが始まる。今回の八百長は野球賭博問題で揺れている最中の事件である。少年時代に大好きだった相撲であるが、公益法人から外すのは当然と言える。

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中東情勢の悪化が懸念される

2011-02-03 | マスコミ報道

エジプトのムバラクの退陣は時間の問題である。秋の選挙に立候補しないと、83歳の男が宣言してもほとんど意味がない。前回の選挙でも相当な不正が行われたようである。90%の支持を貰ったムバラクを、数千億円の軍事費でアメリカは支援し続けた。

110202最早ムバラクは何時退陣するか、時期は誰になるかに視点が合わされている。 3日も百万規模のデモが行われた。駆り出されたムバラク支援とのいざこざが大きくならないうちに、辞任すべきである。流血の惨事が拡大すると収拾がつかなくなる。

前回のブログでも述べたが、中東に限ることなく公正な形で民主化されると、必ず反米政権が樹立される。しかし、このところやがてアメリカの経済制裁や軍事介入などで、親米政権が復活するパターンが続いている。エジプトが反米になることを恐れているのが、イスラエルである。

初期の中東戦争の主人公であった、イスラエルとエジプトは和平条約を締結して110202_3 いる。中東の最大国のエジプトを手なずけたことで、イスラエルは助けられている。エジプトが反イスラエルになれば一気に中東情勢は悪化する。それでなくても世界の火薬庫と言われる地帯である。もう少しの間、石油は人々にとって欠かすことのできない資源である。世界の経済情勢がさらに重大な局面を迎える可能性もある。

正当な民主化でそうなるならやむを得ないであろう。大国に翻弄され続けてきたイスラム圏が、スーダン南部が選択したように多少の不利益が予測されたとしても、自らの手で国家を運営することは最も大切なことだからである。

左のフォトアルバムに<凍らない屈斜路湖>をアップしました。

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無機農業など本来ないのである

2011-02-02 | 政治と金

有機農業は安全のシンボルのように扱われ、それを売りにするたくましい農家、あるいは流通・販売業者が正義の味方のように農業について語る。有機農業には必ず無農薬、あるいは減農薬がセットになっている。

私たちは、生物か化学化の授業で「植物の三大要素」を習った。試験に必ず出るところである。答えは窒素・リン・カリである。これらの不足しているものを補ってやれば、植物(作物・農産物)は育つ・・・と教えられた。19世紀の、時あたかも科学が世界を理解し始めたころにとなえられたものである。

化学者の言うとおり無機類のコントロールによって、植物は生長し収穫が上がった。それは土地に地力が残っている間の出来ごとに過ぎないと、気が付くにはもう少し時間がかかった。こうした概念(理論でもなければ原理でもない)によって、新大陸に産業革命後のヨーロッパ民族は出かけ開拓したのである。

先住民族を追い出し、当然のように大型化農業は単作(モノカルチャー)になり、機会と農薬を必要とした。大量の水も石油も必要とした。最大の面積から最大の収穫量を追及する農業は、最早工業としての側面が強く農業本来の姿を失ってきた。近年は遺伝子操作によって、更なる収穫量のアップを図ってきている。これは非持続的農業と言える。

こうした農業に対するのが、持続可能な農業と言える。持続可能な農業こそが有機農業と言える。“有機”とは化学用語である。オーガニック(organic)は、本来”器官的・機能的・機能的あるいは本質的”という意味である。化学肥料や農薬を使わないという意味に限定すると、遺伝子組み換えや水耕栽培などの非持続農業も“有機”農産物の範疇に入ってしまう。

硝酸塩やリン酸塩の代わりに、土壌微生物などによって土壌に蓄えられた、炭素貯留物の多い有機的土壌に依存する農業が再評価されている。被覆作物や緑肥、堆肥の利用や輪作、小面積による土壌の生態系の維持管理する農業が本来の農業なのである。大型の無機的農業は農業ではないのである。農産物を価格だけで評価するTPPでは、こうした無機的農業が過大評価されることになる。

今西欧の無機農業の考えを見直し、江戸時代に糞尿を巧みに取り入れた日本の農業や、アメリカから経済制裁を受けているキューバの農業が見直されている。TPPの参加で、農業は地上から消えるかもしれない。

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枯葉剤の傷跡を見る

2011-02-01 | 戦争

今回のNHKのETV特集は「枯葉剤の傷跡を見つめて」というものであった。枯葉剤の遺伝的な問題は、ベトナムのベトくんドクくんの癒合した2胎児などで知られている。現在もその傷跡は大きく、手足の欠損や頭部の奇形が広く知られている。胎児の奇形は、次世代にまで及んでいる。しかも、現在も生まれ続けているのである。

さらに奇形児の障害はベトナムだけではなかったのである。アメリカ帰還兵やジャーナリストたちも、当然のことながら米軍が安全を補償をした、枯葉剤に何の防御もなく汚染されていたのである。アメリカは枯葉剤の催奇形性を認めていない。

枯葉剤の関連施設にいた帰還兵は結婚し子供をもうけたが、何らかの障害を持つ子供がたくさん生まれている。アメリカは未だに奇形児との因果関係を認めていない。1985年に訴訟があったが、1人当たり250ドルと言う信じられない和解金が出た程度である。しかも帰還兵本人に対してである。

国家が認めていないアメリカの、枯葉剤による奇形児たちは悲惨である。ベトナムのように国家が認めていないからである。アメリカは、ベトナムを忘れようとしている。事実すっかり忘れて、今またアフガニスタンにイラクにと、同じ過ちを犯している。「私は自分の子供まで戦場に連れていくことになるとは思ってみなかった」という、帰還兵の言葉を重く捉えるべきである。

番組は、肝臓がんで急逝したアメリカ人ジャーナリストの奥さんで、映像作家坂田雅子さんのレポートによって構成されている。彼女は子供がいない。枯葉剤による子供への影響を恐れ、設けなかったのである。

Photo_2自分同じ指の奇形の子を、訪れたベトナムで合い涙する片足のアメリカ人の涙は哀しい限りである。彼女は、妊娠中に超音波で胎児の異常を確認したら堕胎するとするベトナム医師へ、強い反発をした。奇形でも私は生まれてきて良かったというのである。医師が、生存不能な脳などの障害に限ると補足すると安心したようである。

戦争は終戦で終わるものではない。戦争は国家が傷つくものではなく、国民が傷つくものだと思い知らされた番組であった。

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羅臼港

春誓い羅臼港