そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

就農意欲を削ぐTPP

2011-02-28 | マスコミ報道

2週間前の読売系の日本テレビの深夜番組、NNNドキュメント”夢を刈られて”大潟村モデル農村の40年、を見た。八郎潟を干拓して作られた大潟村に、日本中から募って農民を入植させた。お米を作るために作られた干拓地である。入植しやっとコメを作る段になって、減反が始まった。猛烈な抵抗が農民にあった。この数年で、8人の農民が自殺している。

この減反政策が日本農政の、最も大きな失策である。勤勉な日本の農民は、いつの時代も様々な問題を抱えながらも、黙々と働いた。それが働かなければ、金を出すと言う政策は、農民の勤労意欲を著しく削いだ。

減反政策は、一方でコメの価格を堅持しながら、無策のまま40年近くも続いているのである。農政の対極的な方針も展開もなく、作らないことに金を出し、作ったことに金を出し続けたのである。票田と言われるほどの基盤がある間は、それでも自民党は農村に様々な公共事業を持ってきた。それが、都会を基盤とする小泉純一郎の時代になって、それもあっさり捨てられた。農村が急速に高齢化と疲弊して行った。

菅直人が突如表明した、TPPという無関税制度への参加であるが、今また農民から未来を奪うような検討がされている。農民は生産する具体的な目的と、結果がある。農業の素晴らしいところである。菅直人は十分の行対策をやると言っているが、農民に金を出すだけである。

生産物ではなく、生産行為に生産額以上の金で農業が支給されかねないのである。こうしたことが更に、さもしい気持ちを農民に芽生えさせるkとになる。TPP参入は、減反政策同様に農民の就労意欲をなくさせてしまう。

食糧を生産する生きがい、自然を相手にする職業の面白さや危険、無から有を生み出すダイナミックさ、家族一同に取り組める幸福感、大家族の絆と先祖から引き継ぐ作業と文化などなどを、農民が失ってきてしまっている。

TPPは農業生産物を、価格だけで評価するシステムである。国際間の穀物の販売などは、国家間で行われるのではなく、穀物メジャーと言う強大な資本と政治力を持つ組織が販売を行うのである。穀物価格が上昇する現在、投機の対象になる商品ともなっている。多くの農民はこうした金の評価にうんざりしているのである。

コメント (1)
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