中東で市民革命の連鎖が始まっている。チュニジアで始まった、市民運動は政 権を倒す革命へつつながって広がっている。一見無関係に起きているこれらの、この革命の共通点となるキイワードを並べてみた。
長期政権、独裁、弾圧、不正蓄財、報道の統制、弾圧、貧困、格差、自由、そしてインターネットである。これらの共通項を並べるだけで、この市民運動の本質が見えてくるようである。
チュニジアで果物売りの市民が警察にわいろを要求され、屋台を没収され、彼 は焼身自殺した。これの激怒した市民が警察に押し掛けたのを、ネットで動画で流した。それは大きなきっかけにはなったが、こうした独裁長期政権が持つ腐敗を、市民が怒ったのである。これを教訓に中東最大の国家、エジプトがムバラク政権を倒す結果になった。83歳だかのムバラクは、2兆円もの資産を持っているとのことである。
市民運動の広がりはこれまでの長期政権の、独裁と言論弾圧が根底にあるが各国の目的と不満の矛先は微妙に異なる。バーレーンでは王政の打倒であり、イランでは言論の自由であり、リビアはカダフィへの不満である。これらの運動は特定の政治的思惑や方向性あるいは思想があるわけではない。その分、エジプトのように既成政党がここぞとばかかりと台頭してくることになる。
エジプトと親密な関係にある、北朝鮮はこうした市民運動を最も恐れているであろうが、上記のキーワードの中うちのインターネットが欠落している。この種の動きに最も敏感になっているのが中国である。さっそくインターネットの切断などに取っかかったようである。
こうした国民の表現や報道の自由、更には政治活動の自由を奪うことで成し遂げてきた経済成長は、社会主義国家としての中国にどのような意味があるのだろう。上記キーワードのインターネットだけを外してみても、意味があるとは思えない。いずれにしても、中東では当分の間は混乱が続くであろうが、結果として反米政権が続出することになるものと思われる。