ついに最も強固で長期的なリビアに、中東の市民運動は広がった。カダフィ大佐 は、リビアに無血革命を起こしてから実に、41年もの間独裁政権を維持している。これまで、テロリストの支援や国連での一方的な演説など、彼の言動は周辺を威圧していた。
今回リビアに及んだ市民革命の運動に対して、カダフィの次男は昨夜市民戦争になることをを辞さないと強硬な姿勢を打ち出した。この次男は39歳だそうである。カダフィが実権を握ってから生まれた子どもである。独裁者は何処でも同じである。世間知らずの後継者たちで周辺を固めるのである。
見方によっては、貧国や格差、言論弾圧など、最も政変が起きる要素を持った国であったが、国境を接するチュニジアとエジプトの政変がやっと国民を動かした。この国には議会もなければ憲法もない。カダフィの王政のようなものである。ベドウィン出身の彼が倒した王政を倣ったのであろうが、現実には粛清と弾圧の強権政治である。
この国で政変が起きると、エジプトのように武力を控えることはないと思っていたが、案の定カダフィは暴力的に対応した。軍は銃を水平に放ち殺傷を目的とした鎮圧を図っている。「カダフィは実弾を民衆に向けた」と、妨害をかいくぐって繋がれたインターネットの声が痛々しい。すでに200数十人が殺されたと人権団体は発表している。
軍の一部が反乱側についているとの情報もある。東部は反カダフィの地域であるが、バンガジやベイダで起きた反乱は、首都トリポリに迫っている。カダフィの撤退は時間の問題である。この国は、真っ先に政変が起きても良かった国である。犠牲者がこれ以上でないことを祈っている。