カダフィはリビアの王政を転覆させた。以来41年も独裁を行っている。彼は何 をしたかと言えば、新たな王政を作ったに過ぎない。この国には議会もなければ憲 法もない。カダフィが諸事を決定して指示するだけなのである。
これはよく考えてみると、王政と同じことである。国王や王家の慈悲にすがる臣民が良政に満足している時代は問題がなかった。このことはイランにも同種のことが言える。ただイランは曲がりなりにも選挙を行って政権を樹立している。しかし、それも不正などがあったり民意の反映はおぼつかない。
こうした動きは王政国家に及び、バーレーンでは大きなうねりになっている。連日大きな反政府デモが繰り返されている。バーレーンの動きに神経をとがらせているのが、隣国の最大の産油国のサウジアラビア(サウド家のアラブ(世界)と言う意味)である。この国で政変が起きると、日本への影響が少なからずある。
王政やそれに準ずる体制の最大の欠点は、自浄能力がないことである。彼らは、かつての社会主義国家のように、政変が起きるか死ぬまで退くことが出来ないのである。まさしくこの状態に堕ちっているのが、カダフィである。恐怖症に堕ちっている彼には、自爆するつもりで居座り続けるより選択肢がないのである。政府の一部や軍の中にも、大衆に銃を向けるのを断る人たちが出てきた。
チュニジアとエジプトではインターネットが大きな役割を果たした。2年前にアラビア語のfacebookが開かれてから、急速に反政府運動が勢いづいた。長年政権の座にいる古き独裁者には、そうした動きを正確に認識はできなかったのである。
独裁国家で言論を弾圧する、北朝鮮や中国に波及が論じられるが、彼らには国家的規模でインターネットを遮断する能力があったり、元々インターネットなどない国家である。中国は共産党の独裁国あるが、人者が交代することで目先を変えている。中国は経済成長が鈍化するまで、政変は起き難い。
いずれにしても、誰の目にもカダフィの失脚は秒読みの段階に入ったと言える。