そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

聟島にアホウドリ帰る

2011-02-10 | 政治と金

絶滅危惧種になったアホウドリは世界最大の海鳥である。のんびりした性格から、羽毛用にそして航海者の食用に乱獲された。警戒心が全くないために、アホウドリ、馬鹿鳥、叔父だましなどと呼ばれているが、英語名はアルバトロスである。ゴルフではホールインワンより難しい場面の評価に使われているらしい。

我が国では小笠原列島の鳥島と、今中国との領土問題になっている尖閣諸島で繁殖している。鳥島は火山島で噴火が危ぶまれている。アホウドリは一度巣立つと帰るまでに、3~5年かかる。その間に噴火があると帰ることが出来ない。山階鳥類研究所では、3年前から鳥島で孵ったヒナ10数羽を近くの聟島(むこじま)に移して餌づけして放した。

110210昨日3年前に放した一羽が聟島に戻ってきたのである。デコイ(鳥の形の偽物)を並べて帰ってくるのを待ち続けた。3年前には10羽を放ち、そのうちの一羽がアリューシャン列島で生きていることが昨年確認されていた。これまで40羽を放しているが、今後の帰巣が期待される。

山階鳥研の努力は、人が乱獲し絶滅においやったことへのせめてもの、償いと言える。アホウドリは断崖に営巣し、風を巧みに受け入れて飛び立つ。大きな体に無理をかけないようにする工夫であるが、極めて妥協力のない生き方である。こうした野生生物の多くは人の経済活動などに翻弄され、絶滅した種も少なくはない。今回の山階鳥研の対策は一つの方向性を示した成果と評価したい。

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