128 ユリアヌスとアンティオキアの民
池澤の註釈。
「意味」はそうだろうが、詩は「意味」とは別なところにある。
この一連目、「などなど」と書いてあるが、「などなど」がそれではなにかとなると、わからない。「劇場」(演劇/芝居)のことしか書いていない。
「演劇」とは究極の芸術である。「肉体」がいちばんエロティックに輝く瞬間を取り出して見せるのが「演劇」ということなのだろう。「美しい暮し」も「日々の多種多様な/悦楽」も、「肉体」を修飾することばである。
カヴァフィスは「芝居」は書いていないようだが、やっぱりギリシャのシェークスピアなのだ。「詩」を「演劇」と見ている。「肉体」を見せる。それから「肉体」にことばをぶつけ、動かして見せる。「肉体」が動くのか、ことばが動くのか、区別はできない。
詩の最後、
Cはキリスト、Kはコンスタンティウスの頭文字。ユリアヌスは嫌われていた、と書いているのだが、どうにも不思議。
池澤の「意味」を借りて言えば、ユリアヌスがアンティオキアの住民に嫌われていたということを詩にする理由はどこにあるか。
むしろ、ユリアヌスを生き生きと描きたくて、わざとユリアヌスを批判しているアンティオキアの住民の姿を最後に対比させたのではないか、と思う。
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美しい暮しぶり、日々の多種多様な
悦楽、肉体へのエロティックな傾倒と芸術との
究極の結びつきの場であるあのまばゆい劇場、
などなどをどうして彼らは
放棄することができたのだ?
池澤の註釈。
この詩でユリアヌスは快楽主義者だったアンティオキア人がなぜ禁欲主義になったか問うている。
「意味」はそうだろうが、詩は「意味」とは別なところにある。
この一連目、「などなど」と書いてあるが、「などなど」がそれではなにかとなると、わからない。「劇場」(演劇/芝居)のことしか書いていない。
「演劇」とは究極の芸術である。「肉体」がいちばんエロティックに輝く瞬間を取り出して見せるのが「演劇」ということなのだろう。「美しい暮し」も「日々の多種多様な/悦楽」も、「肉体」を修飾することばである。
カヴァフィスは「芝居」は書いていないようだが、やっぱりギリシャのシェークスピアなのだ。「詩」を「演劇」と見ている。「肉体」を見せる。それから「肉体」にことばをぶつけ、動かして見せる。「肉体」が動くのか、ことばが動くのか、区別はできない。
詩の最後、
彼らは間違いなくCを選び
間違いなくKを、百回でも、選んだだろう。
Cはキリスト、Kはコンスタンティウスの頭文字。ユリアヌスは嫌われていた、と書いているのだが、どうにも不思議。
池澤の「意味」を借りて言えば、ユリアヌスがアンティオキアの住民に嫌われていたということを詩にする理由はどこにあるか。
むしろ、ユリアヌスを生き生きと描きたくて、わざとユリアヌスを批判しているアンティオキアの住民の姿を最後に対比させたのではないか、と思う。
カヴァフィス全詩 | |
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書肆山田 |
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