待つ
窓から
雨のあがつている街道が見える
もしひとを待っているのだとしたら、そのひとはその「街道」を来るのだろうか。たぶん、そうだろう。「雨」はあがった。それは一般的に考えて、吉兆である。その道を通って、二人はどこかへ行くこともできる。でも、いまは、そういうことは考えていないだろう。
その道を、そのひとがやってくるまで、嵯峨はそのひとの方向へむかって動いている。「待つ」とは、「肉体」は動かさないが、こころを動かしつづけることである。こころが動くから、道をみつめる。雨があがったことを知る。
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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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