9月になったら、オルティンドーの先生もUBに帰ってきて、練習が始まります。
オルティンドーのCDを聞いていると、元気なときは作業が進み、元気の無いときは気がつくとぐっすり眠ってしまいます。
オルティンドーには、不思議な魅力があります。
春は、牧民達にとって、最も忙しい時期です。それは、家畜の出産が始まるからです。ですから、もっとも楽しい毎日でもあるのです。
悲しいことに、出産で、親を失う赤ちゃんもいて、そんなときは、別の親に抱かせるのですが、なかなか難しいのです。
そんな時、牧民達は、オルティンドーを唄ってやったり、馬頭琴を聞かせてやったりするそうです。そうして、親馬や牛や駱駝の心を和ませるのです。
すると、徐々に別の子に対しても乳を飲ませてやるようになるそうです。
オルティンドーや馬頭琴の調べは、人だけでなく馬や牛や駱駝の心も癒し、慰め、元気付けてくれるのです。
オルティンドーを唄うときは、大草原にたった一人でいるつもりになってうたいましょうと、音楽大学を卒業したばかりのオルティンドー歌手に教えてもらったことがあります。
そのような気持ちに、どうやったらなれるのか、いまだに良くわからないのです。
わたしのは、一生懸命なだけで、心を落ち着かせるのは私のほうで、心騒がせる唄なのですが、いつか心和ませる唄を唄いたいなぁ。
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8月はやはり秋でした。今朝から、温度計の針は20度の線上から動こうとしません。ややもすると下回りそうな勢いです。
厚手のTシャツを着、やはり足らなくて、ベストを重ねました。
冷えるはずだ、正午ごろには雨が降ってきた。
チンゲル亭の庭の深い緑にも茶色が混じってきました。
アルタン・ナマル(黄金の秋)と呼ばれる時期です。
この時期は、もう一頑張り家畜を肥やし、厳しい冬のための草刈に精出す。
チーズやバター、干し肉を作り、薪を集め牛フンを集める時期なのだそうです。
草原では、忙しい毎日を送っているのです。
明日は、去年の8月に行った、ウンドゥルドブへ、連れて行ってもらいます。
牧民さんたちは、写真を届けてもらうのを何よりも喜んでくれます。
その写真は、見る人が皆、あまりに私がその牧民の家族になじんでいるのに驚いたものです。
さて、去年の場所にいるでしょうか。