風のこたろう

'05年4月6日~'07年4月7日 ウランバートル生活日記
'09年8月~  詩吟三昧の徒然日記

詩吟と論語のコラボ

2013年10月12日 | 詩吟
北千住からスカイツリーラインに乗って、足利市へとむかう。
快晴の空のもと、のどかに土曜日というのに、13人のメンバーが、先を争うことなく、着席して、旅は快調にすすむ。
乗り換えも、ホームの向かい側という膝にトラブルを抱えている私には、それだけでうれしい気楽な仲間との小旅行がはじまった。

足利学校の前にある「まちなか遊学館」をお借りしての、「詩吟と論語と漢詩と素読」のコラボレーションがいままさに開かれようとしています。


ご指導は、須藤明実氏、そして論語素読の主導は福田茂夫氏。

それぞれお二人のもとに集まる生徒有志と私たち詩吟の江戸川道場と夢青葉の参加者が総員です。

関吟としては、初めての試みが、足利という由緒ある土地で、敬愛する須藤先生の論語と漢詩の読み説きと講和がいよいよはじまる。

去年の今頃は、須藤先生の事すらしらなくて、今年の6月頭には、コラボレーションなど思いもよらなかったのに、きがついたら10月12日の今日、詩吟合宿と論語講座と二つの会が自然に融合した形で始まりました。

漢詩を須藤先生に解説して頂き、私たちの吟詠というのが八題つづき、そのあとは論語の読み説き。先生の著書「論語の教科書」に沿って9章がとても分かりやすく解説されて、一時間半の予定が2時間にわたって行われました。
そして、福田氏の響きのある大きな声で、論語の主導がちょっとだけ行われました。


そのあとは、詩吟のメンバーだけが残って、詩吟合宿のはじまり。

一番の心配は、青葉さんたちが、楽しめるかどうか。
経験が浅く習い覚えている詩吟の数がないため、今回は知らないものばかりの吟詠が選ばれていることが、彼女たちにどのような思いを抱かせるかが、心配でした。

先生の読み説きがあって内容を知ってからにしても、吟詠は、したことがなく、テキストのページすらあけたことがないという状況で、はたして、声を出し、ついていけるかということ。

杞憂でした。

去年だったら、知らないということで、黙ってしまったかもしれませんが、習っていなくても、副読本を手に、諸先輩の吟詠を耳にしながら、臆せず声を出せたのです。

こんなに声を出し続けたのは、初めてですと。喜び興奮気味に語ってくださいました。

夕食は、先に行って待っていてくださった先生と合流し、夕食と懇親会。

須藤先生と野田先生が向い合せに座って歓談する様子は、感激でした。
どちらもがお互いを認め合って、良い時がすぎています。もちろん、その隣に座っている私たち詩吟のメンバーもです。

例年にない暑い気候で、10月にもかかわらず夏日を記録するようなこのところでしたが、翌朝は、さすがに肌寒く、身を引き締めてホテルの目の前の渡良瀬の河原へむかいます。

福田氏の素読の前に、窪田体操をと所望されました。
6月に初対面の福田氏に向かって、声を出すなら、この体操をとしゃしゃり出て、させていただいたのですが、それ以来、福田氏は「論語素読体操」と名付けて実践されているそうな。

足利学校発行の「論語抄」をテキストとして、姿勢をただし、本を目の前に捧げて素読をしました。


1時間近く素読をして、須藤先生の論語の1章を解説して頂いたのち。早朝素読が終了。

7時の朝食が、こんなにもおいしくたくさんいただけたのは、ひさしぶりのこと。
美味しい空気と醸し出される温かい雰囲気と満ち足りた心が、御馳走!御馳走!と言っている。

さて、小休止ののち、合宿の合宿たるところの詩吟、詩吟、詩吟。

今回は、細かい指導抜きの、吟詠漬けの二日間。一人が一節出だしをすると続けて全員で吟詠。何度も何度も。
青葉さんたち、楽しそう。
十分に声を出し切って、爽快であったという。
喉に負担のかからない吟詠ができたようだった。

学生の頃は、合宿の後で、声が枯れていないのは、恥ずかしかったのですが、いまでは、昔の喉に負担のかかる発声法をする人はいなくなりました。
ともすると、昔の発声に引っ張られて、声を嗄らしてしまうことがあったのですが、大丈夫だったみたい。

合宿がしたいという数年前からの思いが叶って、そして、そのそばにたくさんの「朋」がいて。

同じ先生のもとに、同じ志で集い、切磋琢磨をする。時に、耳の痛いことを言い合うけれど、お互いの向上のため、愛ある言葉がそこにある。

朋あり遠方より来る。と言うが、その言葉の通り遠方より来てくれる人もいる。それ以上に、私にとっては、難しくてそう簡単には解決できない問題を長い時間かけて、解き明かそうと努力し合う朋という意味もあると、感じたこの合宿でした。

同じ師をもち気持ちを一つにしてあつまり、お互いを尊重して高めあう。
そんな、二日間でした。

参加したみなさんありがとう!

先生たちへの深い感謝の意をどのようにしてお伝えしたらよいやら。

帰りの電車は、360度の開けた空のもと緑に挟まれて、のどかに走る。
それに乗る私たちも、満ち足りて、のどか。
こんなにやさしくて暖かい合宿もあるのね。

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