熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

崑崙黒咲き、椿満開

2008年04月01日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   一番遅く咲き始める黒椿の走りである崑崙黒が、一斉に花を開き始めた。
   ロンドンから帰って来た直後に苗を買って来て庭植えしたので、もう、2.5メートルくらいに大きく育って、こんもりとした円筒形の樹形にびっしり花が付くと壮観である。
   今までに一度だけ、鎌倉の円覚寺か建長寺か忘れたが、境内に咲いていたのを見た事がある。
   普通にはあまり見ない椿であるが、開き始めの頃の宝珠咲きが優雅で、花弁の黒光りが何とも言えないほど精悍で美しい。

   花が完全に開くと、八重咲きのお碗型の真ん中に貧弱な蘂がチョロチョロと出てくるのだが、愛嬌があってよい。
   日本産の黒椿も、ナイトライダーやブラックオパールのような黒椿でも、花が開くと、それほど魅力的な花形ではないが、深紅の優雅な深みが何とも言えないので育てていて楽しいし、それに、暖かくなってから咲くので花弁が傷まないのが良い。
   崑崙黒は、埼玉生まれのやぶ椿の一種で、変わった花形なので異国の名前がついたと言うことだが、何となく白雪に抱かれた峻厳な崑崙山脈の佇まいを感じてシルクロードに夢を馳せるようでロマンティックである。

   普通のやぶ椿のように、しっかりしたおしべめしべのついた花なら問題ないのだが、美しい椿に限って花弁が複雑な発展を遂げて、蘂が殆ど退化して中々結実しない椿が結構多い。
   崑崙黒も、この類で、結実は少ないが、それでも、時々実を結ぶ。実生の苗が結構育ってきて、鉢植えに出来るようになったが、何時花が咲くのか、果たして、同じ様な花が咲くのか、雑種なのか、興味深々でもある。

   ところで、今庭に咲いている花で、実に優雅なのは、白い豪華な白羽衣、それに、ピンクの曙椿や花富貴だが、花弁が淡くて大輪なので傷がつくと傷み易くて、絶頂期が本当に短く、正に花の命は短くて・・・である。
   四海波や天ヶ下や孔雀椿、それに、さつま紅や唐獅子など、赤色やブチなど色彩が強烈な花は、その点あまり気にならない。
   ワビスケや小磯などのやや小さな一重で凛とした花には、不思議に愛着が湧いて来るし、それに、真っ白な姫白雪や真っ赤な万代などの極めて小さな椿には、愛おしささえ感じるのだが、秋から咲き続けていても、やはり、椿は字のとおり春の花で、桜の咲く頃には一挙に咲き揃って、色々な表情を見せてくれる。

   春が来て、私が、椿の花が咲くのが早いか遅いかを感じるのは、以前に、新宿の病院に入院していた頃、妻が毎日、庭の椿の花を切花にして持って来て病室の花瓶に飾ってくれており、それに、退院して帰宅した時に、色々な椿が咲き乱れていたので、その印象が鮮明に残っていて、その記憶と比較しているからである。
   茶花は、咲いた椿ではなく、蕾を使うことが多いようだが、やはり、椿は、咲き切る直前が最も美しい。この優雅な美しさを花瓶に活けて鑑賞する為には、身近に庭植えをして、最も美しい花を見つけてタイミングをはかって切り取るのが一番良い。
   ほんの2~3日の短い命だが、一輪でも二輪でも、気に入った花瓶などにあしらって愛でれば、間違いなく絵になる。
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