熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

今書店に並んでいる政治・経済・経営関係書

2008年06月06日 | 政治・経済・社会
   書店の店頭に並ぶ本の動向を見ていると、世の中の動きが良く分かる。
   尤も、書店にも依るのだが、私の場合には、東京駅近辺や神保町に行くことが多いので、丸善の丸の内本店と大手町店や八重洲ブックセンター、三省堂本店が中心となる。

   それに、銀座・数寄屋橋の旭屋書店にもよく行ったのだが、規模や場所的な面でも中途半端な店だったので、残念ながら、3月に閉店してしまった。
   関西人にとっては、旭屋は特別な書店で、本を探したければ、必ず、何十年も前から大阪駅の傍にあった旭屋本店(当時の場所はヒルトンあたり)に出かけたもので、何となく思い入れがある。
   インターネット・ショップや、メール通信まで中止したので、経営が苦しいのではないかと思っていたが、本離れが進む昨今、アマゾンやツタヤがトップ書店に躍り出るような時世だから、並みの書店経営をしていては持たないのであろう。
   
   ところで、今日出かけたのは丸善本店と三省堂で、私の場合には、時間があって他の書物に関心がある時には別だが、政治経済社会や経営と言った社会科学系が主で、それも、立ち読みすることなどないので、長居はしない。
   出版情報などは、新聞や雑誌、それに、アマゾンなどから得ることが多いのだが、大抵は、既に本を特定していることが多く、神保町での新古書(古本屋に出る最新刊の新本)を買う時の様な衝動買いはしない。

   一頃沢山出ていたサブプライムや環境・地球温暖化関係の本が後方に下がって、資源関係や株式市場関連の本が前面に出てきている。
   BRIC's関連の本は、相変わらず多くて、特に、中国関係が突出している。
   時節柄、アメリカ大統領選挙関連本があるのは当然だが、クリントンの本が消えて、オバマ本ばかりになってしまった。

   丸善の近刊書籍をディスプレイしているメインの書棚には、同じ本が一列に並べられ、特別な本は、平積みされているのだが、この日は、
   櫻井よしこの「異形の大国 中国」が、本人のにこやかな写真に、自書の「彼らに心をゆるしてはならない」とサイン入りの白抜き文字が染め抜かれた立て看板までかけてあり、その隣には、これも写真入の看板のある
   ジョセフ・E・スティグリッツ「世界を不幸にするアメリカの戦争経済」
   日高義樹「アメリカ狂乱」が並んでいる。
   
   私は、櫻井よしこの本は、それなりに確かな本だとは思っているが、週刊誌の頃から独善と偏見がかなりあると感じていたので読まないが、他に中国本では、加藤鉱著「チャイニーズリスク」、「本当にヤバイ中国経済」、中国新三国志と銘打った「ネクストエンペラー」など一寸異色な中国本が展示されていて、私の押したいスーザン・L・シャーク教授の「危うい超大国 中国」など陰も形もない。
   ベストセラーは、どのように作られるのかは分からないが、中国関係一つにしても、スキューしない公平な書物をどのように売るのか、中々難しい複雑な問題である。

   面白いのは、ビル・エモットの本日発刊の著書「アジア三国志」が、三省堂では、書店入口から3階の社会科学本コーナーのメインに大量に平積みされていたが、丸善には間に合わなかったのか、ディスプレィされていなかった。
   先のスティグリッツの本もそうだが、このビル・エモットの本も、読まなくても何が書いてあるのか、何となく推測がつくのだが、気が向けば拾い読みをと思っている。

   新興国の関係では、ブラジルとアフリカの本が一冊づつ並べられていた。
   読み始めたロバート・ゲストの「アフリカ 苦悩する大陸」だが、エコノミストの特派員だったから、生々しいアフリカの描写が素晴らしいが、資源や貧困の問題も含めて、もっと、アフリカを知るべきだと思っている。

   株式など証券市場関係は、日経BPから出ているリチャード・ブックステーバー著「市場リスク 暴落は必然か」が、丸善の一つの壁面一杯に大きな看板と共に大量に平積みディスプレイされていていて、証券金融関係の平ずみコーナーでも、この本の部分がめり込んでいるから売れているのであろう。
   ところが、三省堂では、何故か探してもないのが興味深いが、この本は、冒頭からブラックマンデーの暴落の真実など語っていて面白いのだが、少し証券や株取引関係の知識がないと読み辛いのと何しろ400ページ以上の大著である。
   一寸変わった感じでは、鈴木貴博著のガースナーが語るという「カーライル」で、ベストセラーらしい。
   他の本は、W・シャープの「投資家と市場」、マンデルプロとハドソンの「禁断の市場」、N・N・タレブの「まぐれ」などで、このコーナーには、白川総裁の「現在の金融政策」が並んでいて骨の折れる本が多いが、流石に、大手町を背負ったビジネス街の書店である。
 
   経営関係書だが、ハーバード・ビジネス・スクール出版関係の本が一堂に会するコーナーがあったが、これは、新旧取り混ぜてのディスプレイなので、経営学のスタンダード・ナンバーとして中々良い。
   私自身の蔵書と結構重なっているが、これらの本を読むと、何時も、本とは、何と安くてコストパーフォーマンスの高いものなのだろうと感心する。
   ただ、野中先生や大前研一氏などを除いて日本人学者の卓越した経営学関連書が非常に少ないのが残念だと何時も思っている。   

   
   
コメント
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