熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

e-Tax納税は骨折り損のくたびれ儲けであった

2008年06月07日 | 政治・経済・社会
   5月末、最寄の税務署から、
   e-Tax(国税電子申告・納税システム)をご利用された方へ
   《保管されている書類の提出のお願い》 
   と言う書類が舞い込んだ。
   不要だった筈の添付書類を全部送って来いと言う命令書である。
   ”さて、ご承知のとおり、所得税の確定申告を電子申告で行う場合、医療費や源泉徴収票等の添付書類は、その記載内容を入力して送信することで提示又は提出の省略(添付省略)が可能となりましたが、税務署においてはその記載内容を確認することができるとされております。
   このため、税務署では、この制度をご利用していただいた方のなかから一定の方を対象とさせていただき、平成19年度の所得税の確定申告に係わる書類を税務署まで送付いただくようお願いしております。”
   と言う指示書きだが、6月3日(火)までに送付せよと言うことだから、1週間の余裕もない。
   提出書類を返して欲しければ、切手を貼った返信用封筒を同封せよとも注意書きがしてある。

   尤も、私の場合には、3月の申告書作成時に揃えた書類をそのまま送られてきた封筒に入れて提出すれば良いだけなので、何の造作もなく、そのまま、送り返したが、どう考えても、性善説に立っての配慮ではなく、間髪を入れずに送付すべく期限を切ったのは、脱税防止のための抜き打ち調査の意図が濃厚だとしか思えない。
   
   サンプル調査なのか、疑いの為の調査なのか知りたくて、直接担当官に聞くのも何なので、国税局のホームページから税務相談所の電話番号を調べて架けて見たら、事情を良く知らなかったのみならず、電子申告でも、記載内容を確認する為に調査するとなっているだろうとケンモホロロの回答である。
   ただ、調査項目を説明したら、所得の源泉徴収票や医療費の領収書のほかに、生命保険や地震保険の支払い証明書などの提出も求めていたので、全部ですなあ、と担当官も驚いていたのが気にかかった。

   前年度までは、国税局のホームページの、納税申告書フォームに必要事項を打ち込んでアウトプットして、添付書類をつけて、納税事務所へ持ち込んで確定申告をしていたので、それ一回で完結していたのに、今回はe-Taxの為に二重手間になってしまった上に、疑られていると言う精神的苦痛も受けた。
   提出書類の内容は、医療費の領収書以外は、これまでに税務署に提出している書類と殆ど全く同じなので、過去の納税記録を見れば分かる筈であり、それさえチェックしないのか。
   日頃から電子政府は持論なので、行政改革の一環として、電子政府への取り組みには積極的に協力すべきだと思っており、ITデバイドを克服してe-Taxを試みたが、無駄であったとしか思えない。
   と言って、電話を切った。

   税務署から、e-Taxをご利用下さい。
   と言うパンフレットが送られてきたのは昨年の晩秋であったであろうか。
   ①HPからカンタン申告
   ②最高5000円の税務控除
   ③添付書類が提出不要
   ④還付金がスピーディー
   と能書きが麗々しいが、実際に試みてみると、相当、PC操作に堪能でないと、「HPからカンタン申告」など出来ないし、この能書きも、今は国税局のホームページから消えてしまっており、何処を探しても、添付書類が提出不要などと言う記述はない(あるかもしれないが、以前のように表に出ていない)。
   添付書類は提出不要と言うのは、インターネットで納税申告書を提出するから、オリジナルの添付書類の送付は物理的に不可能であり、欧米の常識では、添付書類の提出不要だと言えば、特別な理由がない限り一切不要なのである。
   罷り間違っても、国民を疑ってチェックしようと言うような姑息な考えは起こさないし、騙まし討ちなどには絶対にしない。

   このケースからも、どちらが良いかは別にして、国民の行為を信用して行政を行うかどうかについて、欧米とのものの考え方の差が大きいのにビックリする。
   例えば、ビジネスの例であるが、性善説かどうかには関係なく、ヨーロッパ大陸では、鉄道駅や公共交通機関などには、日本のように出札窓口がなく、バスなどは乗る時に自動検札機で時刻を打ち込むだけで、客の善意を信頼して原則としてチケットのチェックは殆ど行われていない場合が多く、そのかわり、抜き打ちチェックで違法行為が見つかればペナルティが大きい。
   信用の上に成り立っている社会で、自己の行為に対する責任は一切自己責任だと言う原則が働いており、責任ある人間同士の行為によって社会の秩序を維持しようと言うことである。
   ところが、日本は、客のモラルも悪いが、性善説など元から否定して、徹底的にガードして不法乗車を取り締まろうと血眼になっている。

   ところで、添付書類を送ったら、暇なのかどうかは知らないが、間髪を入れずに、税務署から、
   平成19年度分所得税の確定申告書に係わる書類の確認結果について
   と言う文書が送られて来て、
   ”照合した結果、相違ありません。”と言うところに、チェック印がついていた。
   しかし、実際には、e-Tax申請時に、病院への交通費の金額が間違っていて、1万円ほど控除金額が少なかったので訂正して出したので、まともにチェックしておれば、僅かだが訂正して還付金を返して貰わないとおかしい。

   印刷されたフォーマットなので、この文書では、二つのチェック項目があり、もう一つには、次のように記されていた。
   ”送信していただいた記載内容に不足がありました。
   申告の計算に誤りはありませんが、提出を省略された
   ①
   ②
   ③       の書類について、
   支払者の所在地・名称
   支払先の所在地・名称
   支払金額・支払った医療費・支払保険料 etc.
    の入力が不足しておりました。
    次回、ご利用の際にはご留意願います。” と書いてあった。
   今回は許すが、バックデータとなる証憑書が添付出来ないのは虚偽申請だと分かっているぞ、と匂わせて脅そうと言う魂胆なのであろうか。

   全く、国税局の意図は分からないが、今回のように、金額的にも微々たるもので申告内容においてもシンプル極まりないケースでも添付書類を再提出せよと言う心算でチェックするのなら、或いは、前述の後者のケースのように目的・意味不明瞭な指示を出すだけなら、時間と金の無駄使いだから、e-Taxなど、根本的に止めた方が良い。
   来年は、二重手間を避けるため、e-Taxは止めようと思っている。
コメント (1)
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