熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

テレビ朝日:サンデープロジェクトの衣替え

2010年04月05日 | 政治・経済・社会
   田原総一朗が看板であった「サンデープロジェクト」が3月末で幕を閉じ、小宮悦子キャスターが司会を勤める「サンデーフロント」に衣替えした。
   新番組については、4月4日の第一回目の放送しか見ていないので、まだ、何とも言えないが、正直なところ、はるかに良くなったと言うのが、私の正直な感想である。

   前半は、鳩山内閣の長妻、枝野、前原大臣が登場し、それに対して、東大の姜尚中教授と藤原帰一教授、それに、朝日と毎日の論説委員が、コメンテーターとして加わると言う非常にオーソドックスで癖のない密度の高いプログラムであり、
   後半のニッサンのカルロス・ゴーン社長を交えてのドキュメンタリー・タッチの電気自動車の現状と将来レポートも、非常に興味深かった。
   特に、田原サンプロと趣向が変わったと言う訳ではないのだが、迷走気味で灰汁の強い強引なプログラム展開と、飽き飽きするようなマンネリ気味の軽量級常連コメンテーター(初期には、高坂正堯教授が登場していたと言うのに)による番組展開とは様変わりであり、非常に新鮮であった。

   ところで、日経ビジネスに、田原総一朗が、『本音引き出す「勝負」終幕』と言うタイトルで、今回のサンプロ終焉について思いの丈を綴っている。
   興味深いのは、番組打ち切りの理由として田原が上げているのは、コンプライアンスが厳しく問われる時代になり、テレビ局として面倒な番組はあまりやりたくない、無難な番組にしたいという思いがあったように思うと語っていることである。
   「生意気」「傲慢」「下品」と批判を浴びた司会手法ではあったが、政治家を「挑発」して本音を引き出すと言うのが、田原総一朗の狙いであったと説いているのだが、橋本首相をテレビカメラの前で汗びっしょりで絶句させて窮地に追い込み、その後の参院議員選挙で大敗し退陣に導くと言ったこともあったようで、そのために、自民党から政治的な圧力が常に存在し、出演ボイコットを受けたとも言う。

   田原が語っているように、日本経済がバブルの絶頂期にあり、ベルリンの壁が崩壊した1989年にスタートしたこのサンプロは、その後の世界と日本の激動期を突っ走って、時代の申し子のように快進撃を続けて来たのだが、21世紀に入って時代が大きく変わりはじめたにも拘らず、その波に乗れずに賞味期限をとっくに過ぎてしまったのである。
   竹村健一が進めていた同じような番組が終わった時期に、少なくとも、消えているべき番組だったと言うことであろうか。

   田原あってのサンプロだったのであろうが、あの番組の主張なり意図した方針などが、どんどん、私の期待から離れて行き、最近では、田原の進めて行く独り善がり(?)の議論や理論展開について行けなくなり、面白くなくなって来ていたので、見ることも少なくなっていた。
   政治や政局、政界と言った政治的な議論はともかくも、田原の経済的ないし経営的な教養なり知識の欠如は致命的であったので無視して、学者などのコメンテーターの考え方などを繋ぎ合わせながら聞いていたのだが、政局よりも、経済事象が重要性を増すに連れてどんどん空しくなってきていた。

   私は、学生の頃は、ニューズウィークのウォルター・リップマンのコラムを読み、アメリカに居た頃、ウォルター・クロンカイトのCBSニュースを楽しみに見ていたのだが、いずれにしろ、ジャーナリズムは、そのジャーナリストの質であると思っている。
   NHKなどは、公正で中立の報道を心がけていると言うのだが、もとより、公正中立などと言ったものは不可能であり、早い話、TV報道でも、カメラの数だけの視点しかなく、他の無数にある視点から見れば、全く、事象の真実が違って見えることがある。
   サンプロのような報道番組は、それなりに非常に面白く有益なのだが、やはり、番組編集とキャスター、それに、コメンテーターの質を思いっきり上げて良質なプログラムを組むことが大切だと思っている。
   
   田原が、最後に、ジャーナリズムは、「中立」「客観」を是としてきたが、政治的な立ち位置を明確にしなければならない時代になっているように思うと書いているが、そうかも知れない。
   日高義樹のワシントンリポートなどは、ハドソン研究所だから、当然、保守的で、オバマ嫌いで徹底していて容赦なく批判しており、また、ニューヨークタイムズなど民主党擁護と言った形で、欧米のメディアの場合には、かなり、政治色が鮮明に出ているのだが、日本の場合には、どうであろうか。
   
コメント
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