熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

鎌倉の住宅事情はどうなるのであろうか

2018年10月02日 | 政治・経済・社会
   先日、日経に、「首都圏に所得減のドーナツ 衰える「始発のまち」
限界都市 NIKKEI Investigation 」が掲載されていた。
   「かつて栄えたベッドタウンの衰えが際立ってきた。市区町村別に2011~16年の住民所得を調べると、首都圏の郊外でドーナツ状に減少が続いていた。団塊世代が年金生活に入り、モノづくりの空洞化で働き手も集まらないからだ。上昇に転じた都心部などとの違いは鮮明で、若い世代を呼び込む工夫が要る。」と言うのである。

   「団塊世代退職の余波」として、埼玉県久喜市を例に挙げて、都心まで1時間強だが、空き店舗や空き家が目につき、年寄りの姿も多くて、5.4万円減った。市の人口は約15万4千人で、5年前とほぼ同じだが、高度成長期にマイホームを求めて移ってきた団塊世代が退職。15~64歳の生産年齢人口は約8千人減り、65歳以上は約9千人増えた。この住民構造の変化が所得減の大きな要因だ。と言うのである。
   総務省の「市町村税課税状況等の調」をもとに、納税義務のある住民1人当たりの課税対象所得を集計。5年前と比べた。増減を地図で色分けすると所得が減っている自治体がドーナツ状に浮かんだ。沿線の始発駅があるまちが多い。として、次の地図を示している。
   

   「団塊世代退職の余波」の現実を示すために、高齢者人口増に注目すると、「2010年~15年の間に65歳以上の人口割合が5ポイント以上増えた自治体を地図にしたところ、似たドーナツがあらわれた。久喜市は5.9ポイント増加していた。取手市は6.8ポイント、飯能市は5.2ポイント増えた。」として、次の地図を表示している。
   
   
   日本経済の絶頂期に開発されたニュータウンが、課題先進国日本の最も深刻な少子高齢化とバブル崩壊後の経済低迷の影響をもろに受けて、窮地に立っているケースは、もう、四半世紀以上も前から起こっており珍しい話ではないが、地方経済の疲弊と経済格差の拡大以上に、首都圏・大都市圏の直近の郊外諸都市の疲弊は、日本にとって深刻な問題を投げかける。
   このベッドタウン頼みのまちが取り残されるドーナツ現象は、何も首都圏だけの話だけではなく、関西圏にもみえる。大阪市や神戸市で所得が増えるなか、兵庫県三田市や奈良県などのベッドタウンは減少し、格差が生じている。と言うのである。

   それでは、我が街鎌倉は、どうなるのであろうか。
   平成30年の公示価格では、鎌倉駅から長谷にかけての中心街は上昇しているが、それ以外は、隣の藤沢市も含めて、ほぼ低下、よければ横ばい程度で、上がってはいない。
   この現象が、幸いしているのか、どうかは分からないが、鎌倉山の西麓の急斜面と空き地に、最近19棟の戸建て住宅が完成完売し、現在、それに隣接して、10棟の戸建て住宅が建設中であり、更に、数百メートル隔てたところに6階建て157棟のマンションが建設中である。

   しかし、鎌倉は急斜面が多くて、住宅地になる空地は、非常に限られていて、このように、相次いで住宅が建設されるケースは少ない。
   現在、鎌倉では、前述の衛星都市のケースとは少し事情は違うかも知れないが、やはり、高齢化の影響であろう、空き家が多くなってきており、大きな土地には、2棟の戸建て住宅が建売されるケースが多く見られるなど、結構、新陳代謝は起こっているので、息づいているのであろう。
   
   鎌倉は、住民の平均所得が高いと言われるが、どうであろうか。
   前述の調査によると、所謂、首都圏のトカイナカ(都会田舎)が、疲弊しつつあると言うことなので、鎌倉も同様だと思うのだが、鎌倉には目ぼしい産業が何もなく税収が少なくて財政が厳しいので、産業に恵まれた経済的に豊かな隣の藤沢と比べて、社会福祉面など市民サービスが劣っていて、また、物価が高いので、庶民には住みにくいところである。
   文化観光都市鎌倉と言うのだが、さて、これから、ドーナツ化現象の波に巻き込まれるのであろうか。
   興味深いところである。
   
   
   
コメント
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