日光移動教室 感想

その空間はしっとりと落ち着いた心地よい空間であった。

亀戸の2校の子どもたちが集った日光移動教室の宿舎内には、静寂な中にもこれから始まる3日間の協同生活をワクワクと期待しながら、小学校生活の中で最高の思い出を創っていこうという純粋な心を感じさせる空気があった。そしてその静寂という“音”は単なる静けさではなく、子どもたちの身体から、ハートやダイヤ、音符のマークが今にも飛び出してきそうな、幸せな音色を奏でる予感を最初から漂わせていた。

開園式、食堂での食事前と、我々の学校の子どもたちも一緒に滞在した同じ亀戸のお隣の学校の子どもたちも、教員がそっと前に立つだけですぐに静かに注目し、ピーンと集中した空気を作り出してくれた。3日間、両校の教員から「静かにしなさい」「話を聞きなさい」などというレベルの低い指示は一切出なかった。

両校とも子どもたちは自主的に動き、楽しい夢のような瞬間瞬間を過ごしていった。感想を聞けば、おそらく全員が答えると思うのだが、3日間がたちまち過ぎてしまい、「もっともっとも~~~~っと日光にいたかった。」という気持ちなのではないだろうか。それは引率した私自身もそう感じていたほどだから。

たくさんの子どもたちを連れての宿泊行事は教員にとってはかなり大変な行事である。何しろ他人様の大切な子どもを慣れない場所で預かるわけで、安全に何もなく終了させて当たり前、万が一何か起こってしまったら大事件という緊張感が常にある3日間となる。私がそうであるように、世の中の多くの教員も早く3日間が終わりホッとしたいというのが本音なのではないか。

ところが、今回の移動教室で私は「もっと日光にいてもいいなぁ」という気持ちになった。子どもたちが素晴らしい生活を送っていたからだ。その証拠に3日目の朝、親しい友人にこんなメールを送った。

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この3日間、朝の5時から働いている井上です(苦笑)。

日光はとても涼しくて、もうしばらく滞在していたい気分になってきました。
今日、東京に帰る。
うーん、帰りたくね~!

今すぐ日光でご隠居生活を送りたい井上です。

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同行してくださった教育センター自然教室担当の元校長先生からも絶賛の言葉を頂いた。

「担任が何も言わなくてもしっかり動くし、何よりもみんなでまとまっている雰囲気が最高です。例えばキャンプファイアーにやったフォークダンスのオクラハマミキサーはどこの学校でも嫌がって踊らない子が少なくないのだが、そういう非協力的な子は一人もいなかった。私の長い教員生活の中でも、これだけ素晴らしい子どもたちは初めてです。感動しました。」


引率した大人に心地よさを感じさせてくれたのは、子どもたちの持っている「心の豊かさ」によるものだと書き残させて頂きたい。「素直な心」の持ち主たちは必ず豊かな人生を送っていけることもここで予言しておきたい。


何はともあれ、参加したすべての人の心に「宝の時、宝の思い出」が刻まれたことは確かである。

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