半分教師 第26話 「斎藤喜博先生」

私が教員になった頃に、川崎で中学校教員をしている大先輩の自宅で勉強会をしていただき、その時に託された宝物の写真集がある。

『いのち この美しきもの』

とても大きなサイズの写真集である。
いったい何の写真が集められたものなのか。


いのち、この美しきもの―写真集 群馬県境小学校の子どもたち (1974年)
斎藤 喜博,川島 浩
筑摩書房

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それは、古い教員であればだれでも知っている「斎藤喜博(さいとうきはく)校長先生」の学校・群馬県境小学校の子ども達の凛々しき姿を納めた写真集である。

私が斎藤喜博先生の話題を出すと、残念なことであるがベテランの先生でも「ああ、昔の良き時代の教育だね。」という反応が返ってくることが多い。しかし私は、絶対に“古き良き時代”ではないと思っている。写真集に残されている子ども達の姿は理想的な輝きを見せている。私の脳裏には常にこの写真集の中の子ども達が理想の姿として刻みつけられている。

この「理想の姿」を追い求めるあまり、時に子ども達の現状とのジレンマが生じて厳しく指導してしまうことがあり、反省をすることもある。

それでも私の根本の考え方はいまだに変わらない。
「理想の姿」を見失った、または持っていない教員は、羅針盤のない航海をしているのと同じように、嵐が来た時に対処できなくなるという考え方である。
教員が、理想の子ども像を持っていると、受け持った子どもたちは必ず成長すると実感している。


斎藤先生の流れを意識して組織化していった人に、向山洋一先生の存在がある。「教育技術の法則化運動」の中心者であり、今は「TOSS」というそれはそれは厳しい研修を行なう教員研修組織(授業の名人作りを進めている民間組織)のリーダーとして有名である。

法則化の本は簡単に手に入る。読みやすいように文章も工夫されている。マニュアル書のイメージが強いので、すぐに使えることが多い。
でも私は若い教員に「斎藤喜博先生の本を熟読しなさい」と薦めたい。読んだところで今は実感として分からないことが多いかもしれない。しかし、教員経験を年々積み重ねるほどに重みを増してくる本である。

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スポーツチャンバラ、日本初の運動会登場(らしい)

良く晴れた秋晴れの中、辰巳ジャンプのホームである辰巳小学校の運動会を参観しました。

小規模校なので、こどもたち一人一人の活躍の場が本当にたくさんありました。仕事もたくさん。しかし、こどもたちはしっかりやりきるものです。ノーリミットです。

多くの学校では、こどもに負担がかかるとかいう考え方もよくあって、任せればできることまで教員がやってしまう場合がありますが、私の感覚でいうとそれは間違いです。

大人がこどもたちにリミッターをかけてはならないと感じています。


さて、私は辰巳小のPTA会長さんとは仲良しで、私が初めて「マインドマップ講座」を開いた時の受講生になって下さった方でもあります。

「スポーツチャンバラ」という競技をご存知でしょうか?
PTA会長さんは、その活動をしている方でもあります。

スポーツチャンバラ公式サイト

マインドマップにもピーンと感じるものがあったようで、会えば二人でスポーツへのマインドマップ活用談義に花を咲かせています。

今日のPTA卒業生競技では、このスポーツチャンバラをやってくれました。
ご本人曰く、「日本の学校の運動会で初めてのスポーツチャンバラ競技」だということ。私も歴史的一場面に居合わせることができたというわけですね。

お話をうかがうと、この競技を運営するためにマインドマップをかいて計画をされたとのこと。ところがマップをかく詰めが甘かったため、思うようにいかなかったらしい。
「参加人数を想定したブランチをかいていなかったんですよ。」
と反省をされていました。それでも素晴らしいじゃないですか!ご自分なりに何が原因なのかを瞬時に分析できていらっしゃる。
OKだと思いますよ、私は。
競技を拝見していても楽しかったし。いいんじゃないですか!!!


PTA会長さんからは、PTAバレーボールチームの相手に辰巳ジャンプをお願いしたいというご要望も受けていて、10月にお相手させていただきます。
子どもたちには「1点も取らせるな!」と指示しようと思っています(笑)

その試合以上に、会長さんとのマインドマップ・スポーツ談義ができることを楽しみにしている井上なのでした。


今日の運動会には教育センター勤務で、辰巳小の元校長先生である藤澤先生も参観されていました。夏休みに行った「生活指導主任会でのマインドマップ研修会」で私が実践報告をしたことを褒めてくださいました。そしてフィンランド教育で行われている「カルタ」の話を通して、
「井上先生のやられていることは、間違いなく日本の教育に必要なものだから、どんどん広めてください。日本には子どもたちの発想を広げる教育が必要だと思いますよ。」
と心強い賛同の声をいただきました。


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半分教師 第25話 「林竹二先生」

私はモノマネが得意である。
何のモノマネかというと、「授業のモノマネ」が得意なのである。

「今見た授業を再現してやってみろ」と言われれば、その授業にかなり近づけて再現する自信がある。

この習慣は少年時代からスポーツで培ってきた。
つまり強い選手のマネをすればある程度の実力はつくという発想を、今考えれば小学生時代から持っていた。

小学生時代の野球(なんともうれしいことに東京都大会で優勝したチームにいた・・・品川ドジャース)では、プロ野球選手のピッチングフォームをマネして遊んでいた。ジャイアンツの堀内、倉田、大洋ホエールズの平松、中日の星野等々。ついには左投手の江夏や高橋一三のマネもしたくなって練習し、スイッチピッチャー&スイッチバッターにまでなった。

中学高校でやった卓球では、当時世界チャンピオンだった中国の郭躍華選手のプレーを、卓球専門店に毎日のように通いつめてビデオを見せてもらい完璧にコピーした。20年以上たった今でもその当時に身につけた「投げ上げサーブ」は健在で、教職員卓球大会では誰にも取らせない。ここ数年間、無敗である。


授業でコピーをした(最近の言葉ではパクったというらしい)のが「林竹二先生(元 宮城教育大学学長)」の授業である。

「人間とは何だろうか?」

このテーマの下、覚える授業ではなく、考える授業、追求する授業を林先生に代わって続けてきたつもりである。これまで勤務した学校ではこの授業を数多くやりたくて、他クラス他学年の先生に頼んで、授業時間を2時間借りて、出前授業をしたほど惚れこんでいる授業である。


林先生は残念ながらすでに故人であるが、そのお人柄を忍んで今でも夏休みになると、先生の授業実践ビデオを見ながら語り合う研修会が開かれている。私も2回参加させていただいた。

先生は、学長という立場にもかかわらず、教育現場を大事にした。多くの小中学校で次々と授業実践を行なった方だ。

授業が大事である!

多くいる現職校長(東京の小学校だけで1200人以上)の中で、「私にも授業をやらせてほしい」と担任に頼みに来る人がどれほどいるだろうか? 私の教員生活の中では、大田区立徳持小時代にお世話になった高山正之校長先生ただ一人である。

林先生の著作には、子ども達のたくさんの授業写真が載せられている。授業を通して子ども達の表情がみるみる変わっていくことがよく分かる。

「授業を通しての変容」

こうしたことをもっともっとたくさんできるような力量ある教員を目指して勉強をしていこう。林先生の本を手に取ると、不思議とそういう気持ちになる。

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