第五福竜丸 秘蔵の歴史的講話 VOL.2 「水爆実験の白い灰」

2、水爆実験の白い灰

 実験は、白いサンゴ礁(しょう)の島で行われたのでありました。

 島の上に30mくらいの塔(とう)を建てました。その上に爆弾(ばくだん)を置いて点火したのでありました。 点火と同時に生じた大きな火の玉は、白いサンゴ礁(しょう)の上に直接ぶちあたって、白いサンゴ礁の島ひとつが蒸発(じょうはつ)してしまいました。島がなくなってしまったのです。
 
 信じられないほどの大量のサンゴ礁のかけらを、その火球に吸い込んで、上空にまきちらかすかっこうになりました。これは水爆の実験でした。

 水爆は、原子爆弾を引き金としているわけです。原爆に点火して、ものすごい高い温度、高い圧力、超高温、超高圧の中で、重水素の原子を融合(ゆうごう)させ、そこに生じるエネルギーを爆発させるのが水爆です。その冒頭(ぼうとう)の引き金として使われた原爆の核分裂(かくぶんれつ)によって生じた放射能が、大量にサンゴ礁のかけらに付着したことになります。それが風に乗って広がった。高さ3万メートル、直径も200kmを越えるような大きな原子雲となって、実験海域(じっけんかいいき)全体をおおうようになってしまったのです。

 第五福竜丸は、その中心から160kmも離れているところにいたことがわかっています。放射能を帯びた白い灰が第五福竜丸の乗組員の皮膚(ひふ)につき、肌(はだ)は大変強い火傷(やけど)をしたような状態になってしまったのです。

 それだけでなく、鼻からその白い粉をたくさん吸い込んでしまった。しだいにそのまわりの細胞(さいぼう)がおかされていく。白血球(はっけっきゅう)が異常(いじょう)をおこす。はじめは目がチカチカする。食欲もなくなる。疲れやすくなるという初期の症状でありましたが、しだいに強い吐き気、下痢(げり)、腹痛をともなうようになりました。 歯茎(はぐき)からは血がにじみ出てきて止まらなくなってしまいました。髪の毛は、次から次へとひとかたまりずつ抜け落ちていきました。

 全身が放射能に汚染(おせん)され、急性放射線障害(きゅうせいほうしゃのうしょうがい)にかかってしまっていたのでした。 みなさんは今、この船の下に腰をおろして話を聞いてくださっていますが、ぜひ、この船の中に、みなさん身体を置いたつもりになって、23人の乗組員になったつもりで、マグロをとっているときに、何か得体(えたい)の知れない火の玉や白い灰にまきこまれて、今言ったような症状になった時の乗組員やご家族の悲しみや苦しみとか痛みとかを想像してみてほしいと思います。


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