年々数を減らしている夜行列車のうち、去る3月に消滅した「北陸」は、全車14系寝台車で組成されていた最後の定期列車として貴重な存在でしたが (でも「キハネフ」には乗りたくなかったのも事実 ^^;)、その「北陸」で使用されていた14系客車がこのたび海外輸出されるということで、川崎貨物駅から神奈臨千鳥線を通って川崎市営埠頭まで輸送されました。
そこで、千鳥線ファンの私としましても、2~3日前にとある方から頂いた入線の報せにいてもたってもいられず、猛烈な暑さの中を撮影して参りました。思い出してもみれば、これまでここを通ってビルマ (ミャンマー) に輸出されたのは24系客車であり、しかも緩急車顔ではなく切妻の妻面を出した姿でしたので、こんな感じで緩急車顔と神奈臨DLの組み合わせを撮影したのは初めて。しかも14系ということで白帯ですので、神奈臨新塗装DLとのマッチングもなかなか決まっていました♪ 唯一最大の問題は……直前まで超まったりとしていた西群線一帯が、追っかけ撮影の嵐の襲来とともにカオスに……(鬱)。県警のネズミ取りを希望……。
それはさておき、これまでビルマ (ミャンマー) に輸出されたのは24系、そして今回は14系ということで、一体これらの車両の行先は何処なのかが気になるところです。確か、JRWから輸出された14系がタイへ行ったということで、タイ国鉄が追加で14系客車を購入し、最近 (昨年あたり?) ホアヒン駅で起こった脱線事故による廃車の分を埋め合わせようとしているのかも知れません。
あるいは、チナの威を借るビルマの軍政が「24系でも14系でも何でも欲しい」と頑張って購入し、閉鎖首都ネーピードーに無理矢理住まわされている官僚に快適な移動の便をいっそう提供して懐柔を図ろうとしているのかも知れませんが、まだ輸送されていない24系客車が川崎港内にあることを考えますと、本当にもっと補充するのかどうか怪しい部分もあります。それに、インチキ要素満載ながらも総選挙を控え、当分のあいだビルマ国内は非常にピリピリした状態が続くでしょうから、豪華寝台車どころではないような気もします。
ではインドネシアか?というとそうでもないようで……インドネシアでは宗教・文化的な理由から、同じコンパートメント内に縁のない男女が居合わせるのを嫌うとか (現在、有名夜行特急列車は全てデラックスな1等座席車で運行)。そもそもインドネシア程度の経済・技術力であれば、寝台客車を新造するのはお茶の子さいさい。中古冷房電車とは異なり、もしそんな文化的タブーがなくとも日本から購入するまでもないでしょう。
残るもう一つの可能性としては、ひょっとするとフィリピンもあり得るのでしょうか?? フィリピン国鉄は長年、極端な予算不足やら水害やらで鉄道が荒廃の一途をたどっていたようですが、ここに来て国際援助を得てリハビリテーションを進め、ルソン島の鉄道を新たな基幹交通とする意図を持っていると言われます。ネットを散歩するにつけ、既に水害区間の復旧もほぼ終わり、長距離夜行列車の復活も近いとか……。そこで、その目玉として寝台車を連結し、快適に移動したい中間層から確実に運賃収入を上げようとしているのかも知れません。
まぁいずれにしても、日本国内における夜行列車の目を覆うばかりの衰退は寂しい反面 (夜行高速バスの揺れはイヤ・・・)、アジアの大地のどこかで今後もブルトレ客車がたくましく活躍してくれることに期待したいものです……。というわけで、情報をお送り頂いた方に改めまして心よりお礼申し上げます m(_ _)m