地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

新ジャカルタ炎鉄録 (12) 白い抵抗非冷房車

2010-09-28 00:00:00 | インドネシアの鉄道


 先日久しぶりにKCJ (ジャボデタベック通勤鉄道) 公式HPをのぞいてみたところ、トップページの画像が「最新鋭」のメトロ7000系に変わっておりましたが、それは同時にヒジュラ暦1431年 (預言者ムハンマドがメッカからメディナに「聖遷=ヒジュラ」してイスラーム共同体を作ってから純粋太陰暦で1431年、ということ) のイードゥル・フィトリ (イード・アル・フィトル=断食明け) を会社として祝う画像でもあり、イスラームを象徴する緑色をベースとした背景イラストの中に描かれているのは何とトルコ・イスタンブルのブルーモスク……(笑)。何故ジャカルタの線路脇に聳え立つイスティクラル・マスジッド (独立モスク) ではないのか?!……ということで、メトロ7000系は何気にボスポラス海峡を越えてヨーロッパにも上陸したことになります……イラスト上では (^^;;)。
 そんなシュールな画像は直接KCJ公式HPでご覧頂くとして、しばらくご無沙汰だった夏のインドネシア遠征画像のつづきです。メトロ7000系のデヴューはジャカルタの鉄道シーンの印象を相当程度変えているようですが、最低でも4,500ルピアを取られるエコノミーACは低所得層にとっては高嶺の花。非冷房車は相変わらず冷房車に伍して相変わらず頻繁に (?) 往来しています。



 そんな非冷房車、昨年訪れた際には剥げ気味の塗装に落書きがされ放題でかなり痛々しい雰囲気の車両が少なくなかったのですが、1年のあいだに急速に明るいホワイト+オレンジ帯という新塗装への変更が進み、少なくとも外観を見る限りかなり車齢が若返ったかの印象を受けます。もちろん、ラッシュアワーの屋根乗車は度重なる禁令にもかかわらず相変わらずですし (滝汗)、車内に足を踏み入れればムワッと蒸し暑くボロいことに変わりはありませんが……(^^;)。
 今回の訪問では、これに雨が加わるとひときわ悲惨であることを思い知らされました。通常8月のジャワ島は乾期ということで降水量が少なく、昨年は真夜中にパラッと降ったのを経験したのみでしたが、全世界的に異常気象が引き起こされた今年の場合は……ジャワ島近海の海水温が異常に高かったためかまさに雨期状態。連日夕方になると約1時間ほど狂ったような勢いでスコールが叩きつけたのでした。そんな中でも、混雑した車内を嫌って屋根に乗る客が多数おり、しかもビニールをかぶって雨をしのいでいるという……。ビニールがうっかり舞い上がって架線にからみついたらどうするのか……と (@o@)。バックのセレブな超高層マンションと、土砂降りの中を走ってきた手前の非冷房エコノミー……この「天国と地獄」の対比こそ、ジャカルタという街の「いま」を象徴しているのかも知れません。
 2枚目のカットをサワー・ブサール駅で撮影したあと、私もこの列車に乗ってホテル最寄りのゴンダンディアまで乗ったのですが、ムチャクチャに湿度が高い満員電車のドア近くに立ち、全開のドアから降り止まない雨が吹き込んでくるのに耐えながら、何も遮るものもなく大統領官邸&独立記念塔界隈を眺めたという……。まぁこれはこれで最高に濃厚なジャカルタ体験であると断言出来ます、はい (汗)。