地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

東急バス渋72系統・目黒不動尊界隈を行く

2010-09-15 00:00:00 | 濃いぃ路線バス&車両


 先月京都に出張したついでに大和西大寺にて驚愕の狭隘バス路線・奈良交通押熊線に乗って以来、濃いぃバス路線をもっと楽しみたいという内心の欲求が沸々としている今日この頃 (^^;)。そこで、恩田で改造中の1000系を見物する前に、東急バスの渋72系統 (渋谷駅東口~五反田駅) を訪ねてみました。
 この路線、何が濃いぃかと申しますと……目黒不動尊の近辺を走る際には住宅街の路地に行く手を阻まれるため、隘路の直角カーブを切って目黒不動尊の境内に入り、さらに門前の狭い道へと突っ込んで行くこと……。全国各地には恐らく寺社の門前を折り返し点とするバス路線が数多くあるのでしょうが、境内を堂々と通過する路線は非常に珍しいのではないかと思われます。しかも、そんな路線が天下の渋谷駅前から日中20分間隔で運行されるという意外性にもグッと来ます。うーむ、渋谷界隈は学生だった頃いつも歩いていたものですし、今でも田都=半蔵門ルートを日常的に利用している私ですが、そんな濃厚そうな路線が渋谷から出ているとは……まさに灯台もと暗し。
 というわけで、思い立ったが吉日。三軒茶屋の近くでの用務を終えて腹ごしらえをしたのち渋谷に出まして、やって来た渋72系統バスの最前部ヲタシートをゲット! 大都会のド真ん中から住宅街の奥の奥へと分け入る小さな旅の始まり始まり……ですが、しばらくの間は余りにもフツーな東京の街並みの中を走り、バス自体も日野製のごくありふれた最新 (?) ノンステップ車ですので、とてもこれが地図上で眺めた狭隘区間に突っ込むとは思えず、渋滞に巻き込まれた山手通り (大鳥陸橋付近) ではしばし居眠りすらしてしまったのでした (^^;;



 それが一気に緊張感に転じたのは、山手通りから目黒通りへ入り、さらに下目黒五丁目界隈で突如グイッと狭い道へ左折したところから。まずは辛うじて2車線ある住宅街の道で渋72系統の渋谷行きとすれ違いましたが、かなりギリギリ気味……。いっぽう、周囲は途上国の大使館も建ち並ぶ小綺麗な住宅街で、小まめに乗降がありますので、たとえ狭い道でも立派にこの路線の存在理由があるのでしょう。そしていよいよ「林試の森入口」を過ぎますと、「真っ直ぐ行くと路地!」というところでグイッと強引に左折! その直後さらにグイッと右折して目黒不動尊の境内へ! 境内のバス専用道 (?) は山門の前に警備・誘導員が立っており、他の車を全てシャットアウト (看板もあり……1枚目画像左下に切り貼りしておきました)。ただ、境内の区間は道幅がかなり (?) 広く、ちょっと拍子抜け (^^;)。脇には桜が植えられ、春には桜と山門と東急バスの組み合わせを堪能できるでしょう (^^)。
 個人的に「フォトジェニックだなぁ~」と思ったハイライトは、むしろ境内を抜けて山門前から門前町へと入って行くところでしょうか。距離こそ100mに満たず、押熊のような超絶な狭さというわけではありませんが、かなり狭い道をバスが「よっこらしょ」と通過する姿はいとをかし……。こんな光景はまだまだ探せば各地で見られることでしょうが、何よりも特筆すべきはこのバスが渋谷駅に直通するということであり、緑濃き山門との組み合わせもここが山手線から至近距離であることを完全に忘れさせてくれます……。いや~これだから東京という街は限りなく奥が深いのでしょう……。
 こんな感じで小さなバスの旅&撮りバスを終えた私は (不動尊門前から五反田駅まではフツーの道を走るっぽいので省略 ^^;……虫の知らせで「恩田にも行ってみようか」と思っていたこともあり……)、10分ほどダラダラ歩いて目黒線の不動前駅へ。目蒲線改め目黒線はかつて3450形が走っていたとは思えないほどデラックスな設備に変わってしまいましたが、駅前商店街は如何にも古き良き東急駅前商店街という風情の落ち着きで、思わずほのぼの気分。渋谷からここまで撮りバスタイムを含めて1時間10分少々でしたが、なかなか充実したひとときでありました……。

 ちなみにこの渋72系統、毎月28日は目黒不動尊の縁日につき、林試の森入口~不動尊門前間は徒歩連絡となり、完全な別ダイヤが組まれています。これはこれで楽しそうですので、またいずれ訪ねてみようかなぁ……と (笑)。