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ミステリ感想-『ラガド 煉獄の教室』両角長彦

2010年05月03日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ある私立中学校に1人の男が侵入する。1人の女子生徒が彼の行動を見て叫んだ。「みんな逃げて!」果敢に男に立ち向かう彼女を悲劇が襲う。
そして事件後、警察で秘かに行われた、ある再現実験。そこから思いもよらない事実が明らかになっていく……。
刻々と変わっていく92枚の現場見取り図が付された異色のミステリ。
第13回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。


~感想~
面白かったのは設定だけ。
92枚の見取り図は確かに魅力的だったが、終わってみれば3分の1は単に「今この席の生徒が話してますよ」というだけのもので、ほとんど活かされていない。
いっそ見取り図に全てを賭けて、見取り図でできるあらゆることを試していれば面白かったかも知れないが、デビュー作ということもあってか、無駄に陰謀譚を絡めて風呂敷を広げてしまい、オチも観念的で締まらずじまい。
唯一褒められるのはスピード感の高さだが、それも冷静に考えると見取り図を入れるためにページの下三分の一が白いのだからむべなるかな。筆力もところどころ失笑するしかない有様で、これといった仕掛けも見当たらず、本当に期待はずれであった。
そういえば海野碧と同じ賞だなこれ……。


10.5.3
評価:★ 2
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