~あらすじ~
死んだ女のことを教えてくれないか。
無礼な男が突然現われ、私に尋ねる。私は一体、彼女のなにを知っていたというのだろう。
問いかけられた言葉に、嘘が暴かれ、業がさらけ出される。そして浮かび上がる剥き出しの真実とは。
~感想~
ほぼ全編が一対一の会話だけで描かれた異色の形式で、京極レベルの筆力がなければ、まず小説として成立しないのは間違いない。
ジャンル分けするのがなかなか難しい作品で、いちおう殺人事件の関係者に聞き込みをし、最終的に謎が解かれるのだからミステリとしての側面はあるのだが、フーダニットに関して言えば、誰が読んでも解答にたどり着けるだろうから、謎やトリックなどと構えるものはなにもない。しかし物語は「彼女はなぜ殺されたのか」というテーマで貫かれており、結末ではねじれた真相が明らかとなるので、ミステリとして楽しむことも十分に可能。
一方こんなタイトルの作品で、しかも決めゼリフが「――死ねばいいのに」とどぎつい言葉でありながら、昨今流行りの癒し小説としても機能しているのが不思議なところで、京極作品名物のうだうだ自分語りする連中を、半ニートの口の利き方を知らない若造が偉そうに説教垂れているだけで、憑き物落としさながらに相手を論破してしまうのが痛快きわまりない。もしかして「泣けなければ小説じゃない」とのたまうスイーツ(笑)が読んでも楽しめるのだろうか。
いずれにしろ多角的な読み方を受け入れる、なかなか破格の作品である。
10.5.28
評価:★★★ 6
死んだ女のことを教えてくれないか。
無礼な男が突然現われ、私に尋ねる。私は一体、彼女のなにを知っていたというのだろう。
問いかけられた言葉に、嘘が暴かれ、業がさらけ出される。そして浮かび上がる剥き出しの真実とは。
~感想~
ほぼ全編が一対一の会話だけで描かれた異色の形式で、京極レベルの筆力がなければ、まず小説として成立しないのは間違いない。
ジャンル分けするのがなかなか難しい作品で、いちおう殺人事件の関係者に聞き込みをし、最終的に謎が解かれるのだからミステリとしての側面はあるのだが、フーダニットに関して言えば、誰が読んでも解答にたどり着けるだろうから、謎やトリックなどと構えるものはなにもない。しかし物語は「彼女はなぜ殺されたのか」というテーマで貫かれており、結末ではねじれた真相が明らかとなるので、ミステリとして楽しむことも十分に可能。
一方こんなタイトルの作品で、しかも決めゼリフが「――死ねばいいのに」とどぎつい言葉でありながら、昨今流行りの癒し小説としても機能しているのが不思議なところで、京極作品名物のうだうだ自分語りする連中を、半ニートの口の利き方を知らない若造が偉そうに説教垂れているだけで、憑き物落としさながらに相手を論破してしまうのが痛快きわまりない。もしかして「泣けなければ小説じゃない」とのたまうスイーツ(笑)が読んでも楽しめるのだろうか。
いずれにしろ多角的な読み方を受け入れる、なかなか破格の作品である。
10.5.28
評価:★★★ 6