~収録作品とあらすじ~
「春の十字架」密室の中で死体は十字架に磔にされていた。
「もっとも猟奇的な夏」留守だったはずの家に忽然と現れた、またも十字架に磔にされた死体。
「切りとられた死体の秋」浴室でバラバラ死体で発見された美人秘書。
「バラバラ死体と密室の冬」衆人環視の家の中、バラバラ死体が発見される。
古都・鎌倉でひっそりと営業する古民家風喫茶「一服堂」。
エプロンドレス姿の美人店主は極度の人見知り。しかし事件の話を聞くと豹変し、動機を一切無視し謎を解く!
~感想~
「謎解きはディナーのあとで」の大ヒットで気を良くした作者とブームに乗りたい出版社が、お手軽なキャラ設定とそこそこの短編でものさせた何匹目かの柳の下のドジョウ……に見せかけて「騙し」に特化した一冊。
キャラは確かにお手軽だ。作者が別作品のどこかで使ったキャラ及び設定を適当に組み合わせた感が満載で、相も変わらずギャグも別に面白くはない。
短編の質もそこそこだ。事件発生どころか話が始まって数ページでトリックに見当が付いてしまうものまである始末で、四編とも悪くはないが特に優れてもいない。
だが全体を貫くある秘密が明かされるや、その「騙し」の技巧に舌を巻く他なくなるだろう。驚くべきことには、その秘密は四編目のトリックと密接に関わっていながらも、実は四編目のトリック自体はまったく大したことないどころか、脱力必至のバカトリックなのだ。
だがそのバカトリックを成立させるために伏せられていたある秘密が、まったく予想外の所から降って湧くもので、それを機に作品全体のイメージまで塗り替えられてしまう。これくらいは言ってもいいと思うが、まさかまさかカバーイラストからして仕掛けが始まっていたとは!
デビュー当時からのファンからしてみれば不可解というしかない「謎解きはディナーのあとで」の謎の大ヒット以来、作者に不当に付けられたイメージを逆手に取った、見事な「騙し」の技巧を久々に見せてもらった。
何かに媚びてるような表紙や、帯のゆるい宣伝に惑わされることなく「館島」や「交換殺人には向かない夜」の頃の東川篤哉を愛する諸氏にはぜひ読んでもらいたい。
14.10.30
評価:★★★☆ 7
「春の十字架」密室の中で死体は十字架に磔にされていた。
「もっとも猟奇的な夏」留守だったはずの家に忽然と現れた、またも十字架に磔にされた死体。
「切りとられた死体の秋」浴室でバラバラ死体で発見された美人秘書。
「バラバラ死体と密室の冬」衆人環視の家の中、バラバラ死体が発見される。
古都・鎌倉でひっそりと営業する古民家風喫茶「一服堂」。
エプロンドレス姿の美人店主は極度の人見知り。しかし事件の話を聞くと豹変し、動機を一切無視し謎を解く!
~感想~
「謎解きはディナーのあとで」の大ヒットで気を良くした作者とブームに乗りたい出版社が、お手軽なキャラ設定とそこそこの短編でものさせた何匹目かの柳の下のドジョウ……に見せかけて「騙し」に特化した一冊。
キャラは確かにお手軽だ。作者が別作品のどこかで使ったキャラ及び設定を適当に組み合わせた感が満載で、相も変わらずギャグも別に面白くはない。
短編の質もそこそこだ。事件発生どころか話が始まって数ページでトリックに見当が付いてしまうものまである始末で、四編とも悪くはないが特に優れてもいない。
だが全体を貫くある秘密が明かされるや、その「騙し」の技巧に舌を巻く他なくなるだろう。驚くべきことには、その秘密は四編目のトリックと密接に関わっていながらも、実は四編目のトリック自体はまったく大したことないどころか、脱力必至のバカトリックなのだ。
だがそのバカトリックを成立させるために伏せられていたある秘密が、まったく予想外の所から降って湧くもので、それを機に作品全体のイメージまで塗り替えられてしまう。これくらいは言ってもいいと思うが、まさかまさかカバーイラストからして仕掛けが始まっていたとは!
デビュー当時からのファンからしてみれば不可解というしかない「謎解きはディナーのあとで」の謎の大ヒット以来、作者に不当に付けられたイメージを逆手に取った、見事な「騙し」の技巧を久々に見せてもらった。
何かに媚びてるような表紙や、帯のゆるい宣伝に惑わされることなく「館島」や「交換殺人には向かない夜」の頃の東川篤哉を愛する諸氏にはぜひ読んでもらいたい。
14.10.30
評価:★★★☆ 7