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ミステリ感想-『プラスティック』井上夢人

2014年11月22日 | ミステリ感想
~あらすじ~
向井洵子はもう一人の自分の影に怯えていた。
図書館で洵子名義で会員になり、たびたび夫の職場へも電話を掛けているもうひとりの自分。
そして彼女の恐怖の日々をつづったフロッピィが隣人・奥村恭輔のもとへ届けられる。

94年このミス11位、文春9位


~感想~
手記・独白・もうひとりの自分・記憶喪失・信用のできない記述者・頭を殴られ失神と、はじめは折原一を読んでいるような錯覚にとらわれるが、かなり早い段階で真相におおよその察しがつく。
中盤にはあっさりネタも割られ、さてこれからどう展開するかと期待していると……特に進展も反転も起きないまま、後半はほとんどが単なる説明に費やされ、あっけなく幕を閉じてしまった。
読み返してみればよく考え抜かれた構成で、余韻と印象を残すラストも素晴らしいのは認めるが、あまりにあんまりである。
ネットの感想などを見ると「まさか(ネタバレ→)全員が同じ人物だったなんて!」とか書かれているが、いやいやこの流れで行けばむしろそれは必然かつ当然であろう。あと読書メーターという所はネタバレのネの字も考慮されていなくて、ぼくはとてもこわいところだなあとおもいました。
ネタバレ防止機能があっても使う側に防止する意志がなければ無意味。

それはともかく3冊読んで岡嶋二人はこれからも読むべき作家だと思ったが、3冊読んで井上夢人は当分読まなくてもいいかなと思った次第である。


14.11.20
評価:★★☆ 5
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