~収録作品とあらすじと感想~
「T型フォード殺人事件」
車愛好家の泉は貴重なT型フォードをお披露目する席上で、46年前のフォードにまつわる事件の顛末を語る。面々は推理を競うがそのさなかに思いもよらない事件が起こり……。
1冊の3/4を占める長編で、細かい瑕疵は無視した強烈なトリックが光る。アンフェアとまでは言わないものの、整合性や無茶さには目をつぶり、とにかく驚かせればなんでもいいといった勢いのある一撃で、読者の度肝を抜くことに成功している。
本格ミステリというか新本格ミステリ感あふれる、このトリックだけでも一読の価値があると言えるだろう。
また全くの余談だが外国人男性のロバートがボブではなく「バブ」と呼ばれているのがものすごい違和感であった。昭和47年当時はボブよりもバブが主流だったのだろうか……?
「殺そうとした」
自動車教習所の指導員である黒木は美しい人妻の啓子に惹かれ、彼女の口から冗談半分に夫の殺害計画を聞かされる。
その後、食事に招かれるとおあつらえ向きに夫を殺害する好機が訪れ……。
処女作。短い一編で特にミステリでもないが、短いなりに工夫を凝らした佳作。最後の無双乱舞には笑ったが。
「立体交差」
道路拡張工事を請け負った谷千吉は、立ち退きを拒む発明家の説得に赴く。ところが彼はタイムマシンを発明しており、千吉を未来に行かせ工事の中止を訴える。
純然たるSF小説。SF畑でも鳴らす作者による、昭和47年当時に書かれた未来予想図というだけでも面白くて仕方ない。内容も「世にも奇妙な物語」でとっくに題材にされていてもおかしくない秀逸さで、なんなら表題作よりも楽しく読めた気もする。
知る人ぞ知る表題作はもちろんのこと、三編とも粒ぞろいの長・短編集で、ミステリファンに限らず広範囲の読者がその面白さを味わえるだろう一冊である。
17.8.23
評価:★★★ 6
「T型フォード殺人事件」
車愛好家の泉は貴重なT型フォードをお披露目する席上で、46年前のフォードにまつわる事件の顛末を語る。面々は推理を競うがそのさなかに思いもよらない事件が起こり……。
1冊の3/4を占める長編で、細かい瑕疵は無視した強烈なトリックが光る。アンフェアとまでは言わないものの、整合性や無茶さには目をつぶり、とにかく驚かせればなんでもいいといった勢いのある一撃で、読者の度肝を抜くことに成功している。
本格ミステリというか新本格ミステリ感あふれる、このトリックだけでも一読の価値があると言えるだろう。
また全くの余談だが外国人男性のロバートがボブではなく「バブ」と呼ばれているのがものすごい違和感であった。昭和47年当時はボブよりもバブが主流だったのだろうか……?
「殺そうとした」
自動車教習所の指導員である黒木は美しい人妻の啓子に惹かれ、彼女の口から冗談半分に夫の殺害計画を聞かされる。
その後、食事に招かれるとおあつらえ向きに夫を殺害する好機が訪れ……。
処女作。短い一編で特にミステリでもないが、短いなりに工夫を凝らした佳作。最後の無双乱舞には笑ったが。
「立体交差」
道路拡張工事を請け負った谷千吉は、立ち退きを拒む発明家の説得に赴く。ところが彼はタイムマシンを発明しており、千吉を未来に行かせ工事の中止を訴える。
純然たるSF小説。SF畑でも鳴らす作者による、昭和47年当時に書かれた未来予想図というだけでも面白くて仕方ない。内容も「世にも奇妙な物語」でとっくに題材にされていてもおかしくない秀逸さで、なんなら表題作よりも楽しく読めた気もする。
知る人ぞ知る表題作はもちろんのこと、三編とも粒ぞろいの長・短編集で、ミステリファンに限らず広範囲の読者がその面白さを味わえるだろう一冊である。
17.8.23
評価:★★★ 6