

~あらすじ~
IRFのカリスマ指導者キリアン・クインは3人の幹部を引き連れ、かつての同志であるライザ・ガードナー警部を訪ね警告を発する。
港で起きた無差別射殺事件が示唆する大規模テロとの関わりは? 裏切り者と罵られ続けたライザの秘められた過去が今明かされる。
2011年このミス9位、日本SF大賞
~感想~
警察に人型ロボットが配備され日本中でテロが起こる世界観。未知の技術を誇る3機の最新鋭機を擁する特捜部と他部署の対立。その最新鋭機を駆る3人の外人部隊。それを整備する暗い過去を抱えた美少女もとい童顔美女スーパーハカー。特捜部を率いるは一癖も二癖もある飄然とした指揮官……等々、一つ一つを取り出せば臆面も無くベッタベタな要素だらけなのだが、それらが渾然一体となって織り出した作品世界はたまらなく魅力的。
お約束かつ期待通りにとにかくロボットバトルで決着を付ける展開も痛快で、本作はさほどバトルは描かれないし、ライザの過去も実のところベタにベタを重ねたような話なのだが、ベタも究めれば王道となり、王道は常に正しくも面白いものである。
またこれはごく個人的な感想ながら、作中一の美女で元テロリストのライザの暗い過去を描いておきながら、濡れ場はおろかサービスシーンすら皆無という作者の心意気には喝采を送りたい。この設定なら凡百の作家なら安易に初体験だのレ●プだの描きがちなところで、ほのめかす描写すら皆無という潔さはただごとではない。濡れ場が書きたきゃ官能小説を書けばいいだけなのだ。(今後のシリーズや完全版で普通に描いてたらすまん)
第一作「機龍警察」に続き、警察小説、刑事物、ロボットバトル、謀略戦と幅広い読み方を受け入れる、前作からの期待感にそれ以上の形で応えて見せた素晴らしい第二作である。
17.9.5
評価:★★★★ 8