東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

専守防衛とは

2006-11-07 09:59:22 | 社会・経済

国語の問題からいこう。専守防衛とはどういう意味か。国を防衛するのをもっぱらにするということだろう。国土を侵略させないということだ。国民の生命と財産を守るということだろう。要するに版図拡大だけを目的として他国に攻め込まないということだ。この辺はいいかね。では次

地理のお時間である。日本の国土とはどこか。地図を広げよう。さして議論の分かれるところはあるまい。勿論北方四島、竹島、尖閣列島は日本の国土である。

それでは専守防衛の内容を具体的に見よう。実際的に考えよう。先制攻撃をしていけないという議論がある。叩かれてから叩き返すという議論だ。一つはミサイルを発射されても水際で打ち落とせるか、という議論がある。これは希望的観測だろう。

叩かれてから、というのでは国土、国民の生命、財産いずれも守られない。つまり専守防衛の義務が果たせない。それに現在の日本には渡洋爆撃をおこなう戦力が無い。

日本の専守防衛は日米同盟の枠の中で考えざるをえないわけだが、今一度アメリカの核の傘とは具体的にどういうことなのか点検する必要がある。この間ライス国務長官がきたときにアメリカは日本を防衛する全責任を負うという趣旨の発言をしたが、具体的にはどういうことか。

日本にアメリカの核があるのか。アメリカが持ち込んでいると言わないから、持ち込んでいないと信じて追求しないというのが長年の日本政府の立場である。これって安倍首相の靖国神社に行くか行かないかは云わないという発言に似ているね。それでなんとなく収まっている。北京は参拝しないという暗示と受け取って一応面子を保ったつもりでいる。だからこの間の手打ちになった。アメリカの日本への核の持込はあるというのが専門家の常識らしいが、これもなんとなくおさまっている。これが国際政治の現実だろう。

ところで核の傘とはどう実施するのかはアメリカの胸先三寸だろう。日本政府が対等の立場で合意しているとは思われない。どうするかも知らされていないのが実際のところだろう。

ところで「アメリカの核の傘」であるが、実施方法は無数にある。大別すると次のようになるか。

A 敵対国に不安な徴候があれば直ちにボタンを押す。

B 日本が一撃された後、報復する。これはさらにいくつかに分かれる。

BA 日本に配備した核ミサイルで反撃する。

BB 東シナ海の潜水艦からミサイルを発射する。

CC グアムあるいはアメリカ本土から大陸間弾道弾を発射する。

Bオプションの可能性が高いが、いずれにせよ、このカテゴリーは第二次大戦の英仏の対応に似ている。宥和政策を取り続け、チェコ、ポーランドなど欧州各国がナチスに席捲されたあとで、やおら立ち上がって反撃するわけだ。それまでに多くの国が破壊されている。

これも抑止力にはなる。攻撃すれば反撃されるからね。しかし、日本の国土、国民の生命、財産は破壊される。それでいいというのが自民党の一部と野党の考え方らしい。それにこの抑止力が狂犬に対して効果があるかどうかは疑問だ。ナチスには効果がなかった。現状は目の前の狂犬をどうするかということではないのか。

核の傘議論は一例である。専守防衛を達成するためにどういう手段をとるかという議論をする必要がある。受身の考え方で日本でも核シェルターを整備するという方策も一つあるだろう。韓国では核シェルターが大分あるらしい。先制攻撃で病原菌を叩き潰すことが出来ないなら核シェルターを整備することが重要な施策になるはずだ。

どちらが国民の税金を沢山使うかという比較も必要だ。自民党で中川政調会長の意見に反対している連中には土建族もいるだろう。核シェルター建設に助成金を出せば、莫大な需要が見込まれる。例によって、あんた達は国費ピンハネで莫大なリベートが入る。インフレ景気も押し上げるだろう。