一乃巻:
背広の似合わない大男達が廊下をウロウロしていた。それをマスコミのリポーターが追いかける。何年か前のアメリカ下院でのことだ。ヤンキースの強打者ジアンビがいる。ボンズがいる。マクガイアがいた。
大リーグ選手のドーピング問題でアメリカ議会が公聴会を開いたのだ。疑惑の選手達が議会に呼び出されて証言させられた。今回の週刊現代の告発記事に端を発する大相撲の八百長疑惑は連日協会の内部調査をもっともらしく報じているが、内部調査で疑惑が解明されるわけがない。
そもそも八百長とは親方同士の談合だった。その親方たちが真相を究明するはずがない。相撲の親方のことを英語ではstable masterという。競馬用語で調教師のことだ。親方が手持ちの駒(力士)で八百長を組む。これが格調たかい八百長なんだね。
ところが、力士と言う駒は馬と違って言葉を喋る。力士同士でコミュニケーションをとって親方の頭越しにニギルようになった。昔では考えられなかったことだ。昔は親方かタニマチの命令で動いたものだ。
朝青龍が八百長を発明したわけではない。大相撲の世界の伝統のなかで見よう見まねで始めたのだろう。悪いことは真似しやすい。最近ではモンゴル勢が増え、東欧などの力士も増えてそれらが核となって従来とは毛色の変った八百長が蔓延したわけだ。目立ちすぎたのだね。
メジャーリーグは財団法人ではないだろう。税法上の免除や特典はない。それに問題は筋肉増強剤などのドーピングだった。八百長に較べてははるかに深刻さが低い。それでも議会の公聴会が開かれて疑惑の選手達は証言を求められた。証人喚問で尻尾をつかめるかどうかは勿論わからない。どれだけデータを集められるかどうかによるからね。しかし、議事録は残る。一つのステップである。将来有無を言わさぬ反証が出てくるかもしれない。
脱税を公認された財団法人の不正行為で、しかも疑惑が、週刊現代によれば、組織的かつ恒常的な八百長である。証人喚問は避けて通れないだろう。
朝青龍は新聞によると司法の場に訴えると今日も言っているようだ。週刊現代も隠しだまというか、第三のデータを持っていると期待している。訴訟もまた楽し、デアル。
二乃巻:両国から事情聴取実況中継
作者敬白;関連ある記事やフォローアップ記事は通し番号をつけたり、別のタイトルをつけて独立した投稿にしてきました。今回は同じ投稿の更新修正というやりかたにしてみます。そのほうが読みやすいのではないかと思って、まあ、いろいろ試行錯誤しています。やり方としてはファーストイン、ラストアウトというんですか、ラストイン、ファーストアウトで積み上げていきます。こんな具合です。
三乃巻、最新の投稿が一番最初にくる。
二乃巻
一乃巻、最初の投稿が一番後ろにくる。
作者敬白おわり
本文開始:
場所:両国某所
時日:1月30日午後3時
事情聴取者:T親方
被事情聴取者:A横綱
T:どうも大げさなことになって困っているんだ。
A:ごつっあんです。
T:ごつっあんじゃないよ。お前は高校の時から日本にいるのに時々日本語がおかしくなるな。それともわざとかな。親方にあまりなれなれしくしてはいけない。日本には本音と建前と言うのがあってな、八百長はない建前になっている。だから良い子のお手本ということで税金をまけてもらっているわけだ。どうもお前ははでにやりすぎるな。
A:どうもすみません。
T:日本人力士同志なら心得ているからうまくやるんだが、外国人力士はどうしても見え見えにになる。協会としては八百長はないという建前から全力でお前をかばうつもりだ。これまでに事情聴取した力士には外国人力士を含めて絶対に八百長を否定するようにいったがね。お前も腹をたてたはづみで「それがどうした」とか「日本のしきたりにしたがったまでだ」なんて開き直られると困るんだ。君の協会に対する功績は大きいと認められている。協会は全力をあげて君を守るから君も八百長は完全否定して口裏を合わせてもらいたい。それが協会のお願いだ。
A:わかりました。
B:ある週刊誌に君がこうなったら洗いざらいぶちまけてやるとかいったという話がながれているそうだ。どうせガセだろうが、君にしても、欧州勢の力士にしても内幕をしゃべって、それが欧米のマスコミに伝わるとやばいことになるのは分かるだろう。
A:わかります。
T:どうせ今日も外でマスコミが待ち構えているだろうから、うまくあしらえよ。相撲もすっかりインターナショナルになったからな、八百長を認めたら世界中で大々的に報道されるだろうからな。大変な打撃になる。
事情聴取が終わってマスコミの前に姿をあらわした横綱は八百長を完全に否定して週刊現代を法的に訴えるといきまいたのはマスコミ既報のとおりである。