東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

核開発にトヨタ方式を

2006-11-08 12:12:35 | 社会・経済

今朝の産経に日本の核問題について一本の投稿と三本の記事が出ていた(一面と三面)。このくらい報道が出れば議論も身のあるものになるだろう。

「国際問題アドバイザー」岡本行夫氏の「非現実的な保有論」にちょっと触れたい。いかにも官僚らしいtimidな意見である。官僚がtimidでなくてどうする、という議論もある。官僚出身らしい行き届いた論文でナヘンにポイントがあるのか、ぼかしてあるのは流石だ。

まず日本の核開発など出来るわけがないという。NPTの条約に縛られているし、第一実験をする場所が国土の狭くて人口周密な日本にはないという。そのとおりだ。しかし、これはリポートの「第一章 現況」というやつだ。そこをどうするか、どうできるか、できないか、はモソット丁寧に議論をしてもらわないと困る。

アメリカからパテントを取る、共同開発をする、実験場を借りるなんていう手もある。フィージビリティは別に検討しなければならない。トヨタみたいに現地に工場を建てる手もある。実験場を借りる、あるいは実験をほかの国に頼むなんていうのは現実にどこかの国がやったではないか。

岡本氏は核の持込が現実的だという。もっともである。冷戦時代ドイツがアメリカの核ミサイルをドイツに配備してソ連のそれに対抗した。冷戦終結に導いたという。日本もそれに倣ったらよかろうというわけだ。前のアップでも触れたがそれが現実的で手っ取り早いだろう。

しかし、前にも触れたように核ミサイルの指揮権、運用権はどちらが握っていたのか。アメリカか、ドイツか、NATOか、共同か。その辺のところを触れるべきだ。もっとも秘密にしているだろうが。しかし評論家ともなれば推測でもいい。触れるべきだ。また、今後の日本の場合はどうしたらいいのか、あるいはアメリカにゆだねるしかないのか、岡本氏の意見を述べるべきだろう。

冷戦時代でもそうだったと思うが、冷戦終結後の多極化した世界政治でアメリカの究極の目的はアメリカ本土防衛である。それがプライオリティNO1である。そのなかで日本防衛がどのように位置付けられるのか。第二次世界大戦のように欧州がナチスに席巻され荒廃した後で出てこられても困るのである。

もっとも、岡本氏はまた韜晦するのである。官僚の作文という所以である。


専守防衛とは

2006-11-07 09:59:22 | 社会・経済

国語の問題からいこう。専守防衛とはどういう意味か。国を防衛するのをもっぱらにするということだろう。国土を侵略させないということだ。国民の生命と財産を守るということだろう。要するに版図拡大だけを目的として他国に攻め込まないということだ。この辺はいいかね。では次

地理のお時間である。日本の国土とはどこか。地図を広げよう。さして議論の分かれるところはあるまい。勿論北方四島、竹島、尖閣列島は日本の国土である。

それでは専守防衛の内容を具体的に見よう。実際的に考えよう。先制攻撃をしていけないという議論がある。叩かれてから叩き返すという議論だ。一つはミサイルを発射されても水際で打ち落とせるか、という議論がある。これは希望的観測だろう。

叩かれてから、というのでは国土、国民の生命、財産いずれも守られない。つまり専守防衛の義務が果たせない。それに現在の日本には渡洋爆撃をおこなう戦力が無い。

日本の専守防衛は日米同盟の枠の中で考えざるをえないわけだが、今一度アメリカの核の傘とは具体的にどういうことなのか点検する必要がある。この間ライス国務長官がきたときにアメリカは日本を防衛する全責任を負うという趣旨の発言をしたが、具体的にはどういうことか。

日本にアメリカの核があるのか。アメリカが持ち込んでいると言わないから、持ち込んでいないと信じて追求しないというのが長年の日本政府の立場である。これって安倍首相の靖国神社に行くか行かないかは云わないという発言に似ているね。それでなんとなく収まっている。北京は参拝しないという暗示と受け取って一応面子を保ったつもりでいる。だからこの間の手打ちになった。アメリカの日本への核の持込はあるというのが専門家の常識らしいが、これもなんとなくおさまっている。これが国際政治の現実だろう。

ところで核の傘とはどう実施するのかはアメリカの胸先三寸だろう。日本政府が対等の立場で合意しているとは思われない。どうするかも知らされていないのが実際のところだろう。

ところで「アメリカの核の傘」であるが、実施方法は無数にある。大別すると次のようになるか。

A 敵対国に不安な徴候があれば直ちにボタンを押す。

B 日本が一撃された後、報復する。これはさらにいくつかに分かれる。

BA 日本に配備した核ミサイルで反撃する。

BB 東シナ海の潜水艦からミサイルを発射する。

CC グアムあるいはアメリカ本土から大陸間弾道弾を発射する。

Bオプションの可能性が高いが、いずれにせよ、このカテゴリーは第二次大戦の英仏の対応に似ている。宥和政策を取り続け、チェコ、ポーランドなど欧州各国がナチスに席捲されたあとで、やおら立ち上がって反撃するわけだ。それまでに多くの国が破壊されている。

これも抑止力にはなる。攻撃すれば反撃されるからね。しかし、日本の国土、国民の生命、財産は破壊される。それでいいというのが自民党の一部と野党の考え方らしい。それにこの抑止力が狂犬に対して効果があるかどうかは疑問だ。ナチスには効果がなかった。現状は目の前の狂犬をどうするかということではないのか。

核の傘議論は一例である。専守防衛を達成するためにどういう手段をとるかという議論をする必要がある。受身の考え方で日本でも核シェルターを整備するという方策も一つあるだろう。韓国では核シェルターが大分あるらしい。先制攻撃で病原菌を叩き潰すことが出来ないなら核シェルターを整備することが重要な施策になるはずだ。

どちらが国民の税金を沢山使うかという比較も必要だ。自民党で中川政調会長の意見に反対している連中には土建族もいるだろう。核シェルター建設に助成金を出せば、莫大な需要が見込まれる。例によって、あんた達は国費ピンハネで莫大なリベートが入る。インフレ景気も押し上げるだろう。


麻酔はこわい

2006-11-06 16:46:07 | 社会・経済

前回の「かかりたくない」の続きだ。裁判官にかかりたくない話は前に何回かしたので、すこし医者の話をしよう。医者同士の会話をそばで聞いた話である。手術中に麻酔が切れることがたまにあるらしい。まあ、個体にもよるだろうからね。

こういうときに医者は深刻に反省して恐縮するかというと全然違うらしい。たまにはしょうがないさ、というわけだ。あっさりしたものだ。一般人の感覚とは違う。対象をモノとしてみるからだろう。もっとも、麻酔の効きは個人差が大きい。酒飲みにはあんまり効かないらしい。逆に少量でもショック状態になる体質の人もいる。

多すぎても危険だしね。麻酔というと手術でなくても歯医者に行くとたいてい使われている。歯医者の麻酔事故というのは以外に多いらしい。この間も子供が動くので麻酔をかけたら多すぎたか、体質かでショック状態になって死亡したという記事があったが、報道されない事故は毎年かなりあるようだ。歯医者の無倫理、いい加減さも相当なものだからね。

なかには誠実な、あるいは臆病な歯医者もいる。友人が麻酔のアレルギーがあるから注意してやれといったら、歯を削るのに麻酔を少しずつ使う。すぐ効かなくなって痛くなると友人が身振りでしらせる。そうすると歯医者がまたすこし麻酔をさす。そんなやり取りが終わるまでに十回以上あったという。これも歯医者だから出来るので、腹を開いて中身をさばいているときに、ときどき痛くなりましたか、なんて患者に聞くわけにもいかない。

                                                


騎手三馬七

2006-11-06 16:03:26 | 社会・経済

人3馬7ともいう。数字はいろいろと変わるようだが競馬で馬の実力が70パーセント、騎手の腕が30パーセントの割合で勝負に影響するという格言だ。ようするに馬の実力だけで勝負は決まらないということを云う。

これはチームスポーツの監督と選手の関係でも云えそうだ。日米野球を見ていて感じた。野村監督はいつテレビに映ってもじじむさい顔をして隅っこに寒そうに身を縮めて座っている。昨日の試合後のインタビューではあれでも「勝ちたかった」そうだが、とてもそんな感じはしない。メンタルに選手に影響するのか、ムードに影響するのかわからない。あるいは采配、戦略と関係するのかもしれない。テレビのアナウンサーによるとシーズン中より沢山サインを作ったというが、なにもしていないように見えたがね。

中日の落合監督を連想する。あまりテレビ中継を見ないのでシーズン中のことは分からないが、日本シリーズを見ていると試合に無関心な様子に見える。いいところなく負けたがやはり監督の力というのは勝負に大きく影響するものらしい。落合監督を見ていて素人でもひどいな、と思ったものだ。もっとも彼は普段見もあまりいい感じのしない男ではある。直後に監督を解任されるとかの報道があったので、ハハン、それでふてくされいるのかなと思った。どうだ、俺がいないと勝てないだろうというつもりだったのかな。その後落合監督は留任ということになったがね。

対照的にWBCでの王監督にはなにかあるな、と感じた。ひょとするとひょっとする、とこのブログでも予測した。

サッカーの監督でも監督のさじ加減で勝てる試合も選手だけに任せると勝てないことがあるようだ。Jリーグの試合は見ないが国際マッチは時々見る。これも監督によるが、いちばんよく分かったのは前のトルシエ監督だ。今日は勝つつもりがないな、というのはテレビで見ていて分かる。もっとも、選手の力だけで勝つこともあるだろうが、日本の実力ではまれのようだ。

一例をあげると、ワールドシリーズ決勝リーグの初戦だったかな、トルコ戦だ。これは勝つ気がないと分かった。トルシエにどういう思惑があったか。高給での留任が難しいとわかったからなのか、国際サッカー界の義理人情(日本以上にあると思う)で、色々な将来の思惑から、決勝リーグまで勝たせればいい、マイ・サービス・フィニッシュドと思ったか。あまり勝たせすぎてもまずいと思ったか。

外国では数試合連敗するとすぐ解任問題に発展するということは、やはり監督の力が大きいということだろう。


かかりたくないもの

2006-11-05 17:35:55 | 社会・経済

医者と裁判官と鳥インフルエンザにはかかりたくない。徳島の腎臓移植はひどいね。一昔前、手術をするときに百万円包んでよろしくと医者に渡さないと何をされるか分からないと聞いた。今では相場も上がっているだろう。そうしないとメスさばきもおぼつかない新米の助手の練習用にまわされるか、岡山の病院のように悪くも無い腎臓と持っていかれる。

実は昨日江戸時代の「世事見聞録」というのを読み返した(岩波文庫、著者武陽隠士)。色々な職業かたぎを書いた随筆だが、医者の批評がある。まったく現代とかわらない。

まわりに医者が多いからよく分かる。だからオイラは医者にならなかったのだ。医者にはオイラの分類によるとつぎのようタイプがある。

A 頭がよくて倫理観があって好奇心がある。このタイプは当然全体の医者の0.1パーセントもない。好物は難病奇病である。チャレンジングだからである。難病の患者をうそのように快癒させた時ほど興奮することが無いとはオイラの親類のえらい医者の言葉である。こういう知的好奇心を満足させ、難しい数学の問題を解くような知的快感が味わえない職場は見向きもしない。金銭にも無関心である。

B 身を焦がすような功名心がある。頭は悪い。こういう医者は大学にも町医者にも非常に多い。難しい技術に挑戦したがる。しかし、アタマが悪く、技術がないから患者を殺す。超一流の大学病院以外にはこの手の医者が非常に多いから、大学病院にいくのは気をつけたほうがよい。能力にあまる難病を扱いたがるほか、新しい技術、新しい薬を使いたがる。患者を実験台にするのである。そして、一つ論文を物してやろうと身の程知らずの野望をいだく。患者はいい迷惑である。功名心が強いから勿論カネは大好物である。私立のJ医大で出来もしない内視鏡の手術をしたような連中が多い。

C カネが大好物である。アタマが悪いことは自覚しているからBのようなことはしない。

このタイプも非常に多い。BとCで95パーセントを占めるだろう。

なぜ、こういうことになるかというと、前にも書いたが医者は汚わい屋なのだ。人体の汚わい屋である。病気というのは人体の汚わい化にほかならない。そういうのを毎日あつかっていると、金を溜めることだけが生きがいになる。毎日つらい思いをする女郎がカネに執着するようなものである。

(注)汚わい屋というのは死語化しているから注釈を加えると糞尿処理業者のことである。水洗便所が普及する前は都会の民家の便所から糞尿を汲み取り田舎に運んで畑の肥料として農家に売る商売である。

汚わい屋の反動で金に執着するわけだが、まれに文化的活動に救いを見出す医者がいる。医者にときどき美術愛好家とか森鴎外みたいな作家がいるのはそのせいである。

いい医者はわずかにいるが、そういうのにめぐり合える確率は皆無にちかい。嗚呼


今朝のハッチャン

2006-11-05 09:18:20 | 社会・経済

日曜のフジテレビ「報道2001」討論を見た感想である。出席者は中川自民党政調会長、松本民主党政調会長、青山氏(安全保障コンサルタント?)

まず、中川さん:もう少しはっきりと踏み込んでほしいが、議論を提起する場合に立場を明らかにしない、という方法もあるのでまあいい。それに、こういう議論を正面からすることによって、中国などには絶大な効果がある。もし、この議論が出てこなければ中国首脳が慌てふためいて国連制裁決議に賛成しなかったろう。トウカセンが平壌に出向いて膝詰め談判もしなかったろう。

松本氏:よく分からんね。核保有などに絶対反対と自信をもって公に議論をするならいい。議論をするのは世界に誤解を与えるという家畜的な発想は到底受容しかねる。自説を堂々と発信できる機会を与えられるのが嫌なのか。臆病きわまりない。議論をすると結論を出さなければいけないから、議論してはいけないという。どういうこと。議論をすれば負けるのが分かっているから?国民の多数は保有に賛成して自分達の議論が国民を説得する自信がないからですか?

それに民主党はアメリカの核の傘は認めているんだね。アメリカに核を撃ってもらうのはいいが、自分で撃てるように準備するのはいけないというのはどういう理屈かね。分かるように説明してくれたまえ。ガードマンが銃を発砲してもいいが、自分では銃を持たないというお上品な発想かな。

青山氏:日本が核保有すれば日米同盟は一旦こわれるという発言はおかしい。イギリスは核保有国だがアメリカの同盟国だ。フランスも核保有国だ。フランスは同盟国じゃないかな。でもNATOを通して実質同盟関係にある。中国とロシアは核保有国だが緊密な関係だ。

核保有は同盟を壊すものではない。同盟を維持し、解消させる原因は他にある。むしろ現在の片務性を解消して同盟関係がまともになるのではないか。日米同盟関係は新次元に入る、変化する、止揚されるというならいい。せいぜい変質するまでだろう。どうも専門家らしくない。

竹村氏:久しぶりにいいことをいった。核が抑止力として働いているのは厳然たる事実である。これはきわめて有力な理屈だ。

最後に:日本は唯一の被爆国である。核廃絶を訴えるのは当然である。同時に残虐極まりないホロコースト兵器の被害を受けた国民として、将来同じような危険に会わないために核の問題を正面から議論しなければならない。むしろ日本こそ、中川氏の提案を真剣に考えなければならない。

常識的に考えて核には核で対抗するのが一番有効であろう。世界の大国でこの政策を取らないところはない。すなわち世界の常識である。核兵器以上の抑止力のある兵器といえばオカルト兵器かな。残念ながらまだ開発に成功していない。試みた国はあるようだが。

世界に冠たる日本国憲法にあるすばらしい文句、「世界諸国民の善意を信頼して」丸腰で努力をしてまいりましたが気がつけばまわりは核保有国だらけ、軍拡に狂奔する国ばかりという有様だ。政治家の責任はきわめて重い。

まもなく米国の中間選挙が行われる。民主党が優勢である。2008年には民主党政権になる可能性がある。今のうちに日本の立場を明確に世界に発信しておかないと、その時に大混乱になる。外交は先手先手が重要だ。


平成の拳匪、鳩山由紀夫(@印は訂正、追加です)

2006-11-04 21:36:28 | 社会・経済

日本は唯一の被爆国である。オーケー

核廃絶を訴える。オーケー

冷戦下では実質上アメリカの核の傘をあてにしていた。オーケー

現在アメリカの傘を無条件に期待できるか。これが一つ

隣の狂人が核を持ったという。これが一つ

日本軍がはじめて北京に進駐したのはいつか知っているかね。1900年夏だ。清朝で外国人排斥暴動がおこり北京に迫った。清朝の西太后@はその行動を最初は取り締まらずに黙認し、やがて支持した。これを義和団事件という。日本では北進事変という。

北京の日本大使館も攻撃されたので、わずかの守備兵でろう城して持ちこたえた(隊長は元会津藩士芝大佐)。この話は一度アメリカで映画になっている。たしか「北京の70日間」だったかな。リチャード・ウイドマークだったと思うが、はっきりと憶えていないが。

やがて欧州、日本、アメリカ、ロシアの八カ国の多国籍軍が義和団を追い散らして北京に入城する。日本が多国籍軍の一員として軍事行動をした最初の事件だ。これ以降列強によるシナの植民地化が一挙にすすむ。

義和団というのは白蓮教というカルト教団でゲンコツで西欧の近代兵器を圧倒できると信じた狂信者の集団である。だから義和団事件を拳匪(ボクサー)の乱という。鳩山君は素手で狂人のナタに立ち向かえというのかね。義和団と同じだ。

麻生外務大臣の罷免を要求するという。共産党や社民党がいうならともかく、政権をとって日本国民の生命と財産に責任を持とうという政党が馬鹿なことを言ってはいけない。

核廃絶を今だからこそ訴える。オーケーだ。民間なら、NPOなら。自分のためにやるならしょうがない。しかし、人の生命財産に責任のある人間の云うことではない。核保有のオプションを独善的に排除するのは、為政者ならば職務怠慢、税金泥棒である。北朝鮮の軍靴に蹂躙されてもいいというのか。鳩山君こそ国会議員を辞職すべきだろう。政治家だからこそ、為政者だからこそ議論しなければならない。

@ 追加若干あり。別便「今朝のハッチャン」参照(5日)


ソフトバンクの広告

2006-11-02 22:08:02 | 社会・経済

ソフトバンク問題がさらに進展している。先週末のシステムダウンが問題化した後、今週はじめあたりからソフトバンクは週末頃から広告を見直すといっていたが、こういうことはすぐに直すのが当たり前ではないか。前にどこかの通販会社が何かの問題で批判された時には派手な広告をしていた会社だったが、その日から全面的に広告を止めた記憶がある。それが普通の商業道徳だろう。ソフトバンクの言い草は金正日の引き延ばし作戦と同じだ。

ソフトバンクの反社会的、非常識な行為、すなわち「そのうち直します」というような無責任な態度には二つ理由があるようだ。

一つは「¥0」広告はそれなりの効果があるとの皮算用で厚顔無恥に続行する。

もう一つは、テレビ局との契約で払った金、あるいは払うべき罰金を無駄にしたくないという銭勘定だ。あるいは広告としてのスペースを押さえたのを無駄にしたくない、という気持ちだ。

ソフトバンクが行った反社会的行為を考えると上記の二つの理由は斟酌されるべきではない。小さな通販会社でもいさぎよく広告を打ち切っているのだ。通信という大事な社会インフラを担う会社には許されるべきことではない。

そうこうしているうちに、三連休の週末になってしまった。ソフトバンクはほくそえんでいるのだろう。今日の朝刊では「¥0への質問にお答えします」と銘打って一面広告を出している。

このタイトルは「今回の事態をお詫びします」とするのが常識だ。それから、説明不足を詫びて、あるいは詐欺的な表示を謝罪して料金の説明をさせていただきますとするのがまともな広告である。順序が逆でお詫びがかすんでしまっている。この広告を読むと最初にちょこっとお詫びしますといっているだけだ。どこまでも往生際が悪い。胸くその悪いこと、はなはだしい。

また、この広告には肝心の番号ポータに伴う業務をこの週末に行うかどうか触れていない。広告では「11月5日までは、機種変更、契約変更、買い増しなど、一部の業務の受付業務を制限させていただきます」とあるだけだ。ソフトバンクからAUやドコモへ移る客への対応はどうするのか、この広告では分からない。だから詐欺だというのだ。

つぎに、メールに関しては「メール代¥0はソフトバンク携帯電話へのすべてのメールがその対象です」とあるが、そうするとソフトバンクから発信するメールは有料なんだね。はっきりと両方書きなさい。

すでにマスコミで指摘されている問題、ゼロ円といっても、端末価格は割賦でかかり、2年間機種変更をしなければ割賦代を相殺するとかいう、分かりにくいペテンについては明確に書いていない。ということはこの新聞広告がすなわち約款(顧客との有効な契約)のすべてと考えていいんだね。つまり法的に有効なのはこの文言だけだね。

新聞報道によると、短期間で解約したり機種変更をすると5万円も端末代を払わなければいけないとある。どちらが本当かね。

本来このようなQ AND Aでは例を挙げて説明するのが普通だ。例を挙げた訂正広告を至急だしなさい。

他の携帯電話会社はお客の相談相手がいて、顧客がどういう使い方をするかを見てそれならこういうプランがお得ですよとアドバイスしてくれる。

一体¥0はどういうユーザーにとって得なのか。個人の場合、法人の場合など十分な数の例をあげて説明しなさい。

ソフトバンクの¥0料金は通常の個人にはまったくメリットがないと言われている。会社などが業務連絡用に大量に買って社員に支給する場合しか意味がない。それ以外の場合は馬鹿高い料金を請求されると解説している新聞もある。

ホリエモンも村上社長も保釈されて経済監獄ホテルには空室があろう。公正取引委員会でも、東京地検でも、警視庁でもいい。そろそろ手配したらどうか。