田母神論文は政府の公式見解に反するとして、この男を降格させた。降格させたおかげで、退職金までもらった。報道によると6000万円だそうだ。お咎めもなく、まるで泥棒に追い銭である。
ところで、政府の見解とは自民党が担ぎ出した社会党の総理であった村山談話を、踏襲しているだけである。この考えの内容についてではない。要するに、中国や韓国や東南アジアの反論を恐れて触れたくないだけのことである。
麻生太郎は、これまでの発言を見ると、クリスチャンだからと靖国に参拝していないだけのことで、戦前の日本軍の行動を肯定している。
今回も、麻生総理は稚拙な田母神論文の内容を問題にしているのではない。大半の自民党員、国会議員の多くは、今でも日本は中国を侵略したとのではないと思っている。妄言と言われながらも、発言が後を絶たない。本来ならこのことの方が大きな問題なのである。
田母神は政府見解を知らなかったはずがない。確信犯である以上に、こうした騒ぎを予測していたと思われる。政府見解と異なる意見もつなら、職責を蹴るべきだった。
これまでも、天木直人さんのように小泉総理の方針に反するからと、大使を辞任する男もいる。それもできない、この男はこの騒ぎを望んでいたのだろう。
田母神が幕僚長を引き受けた時の総理が、阿倍晋三である。今回の懸賞論文を応募した元谷が後援会の副会長を務める、阿倍ボンがこの男を任命したのである。それに乗って、現職の自衛隊員が結局95人も応募している。(上の写真は後ろの元谷の出版記念で祝辞を述べる田母神)
そうみると、構造は単純である。復古的国粋主義者たちの仲良しグループの茶番劇である。田母神は、自らの意見を公的な場で述べない自民党に対する苛立ちからの行動である。
民主党は、この男を呼びつけて主張の詳細まで切り込んで問い詰めることができるだろうか? 民主党の真価が問われる。