そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

本物が美味いとは限らない

2011-03-02 | 政治と金

 我が家に誰が何と言ってもこれぞ本物というものが2つある。一つは大学時代の古い友人が、ヤマブドウを発酵させて作ってくれたワインである。年が明けると飲み頃になると言われて2月になって、ようやく飲み始めた。とても美味い。いや、とても美味かったと言った方がいい。蓋を取ると、シュッポと音がする。いまだ発酵を続けているのである。最近は酢酸に近づいてきたのが解る。風味も落ちてきた。早く飲まなければと思っている。

 もうひとつが、毎週酪農家が自宅で作って届けてくれるヨーグルトである。決して市販のより美味いとはいえない。正確には美味いとは限らないと言った方がいい。発酵製品である以上、味にばらつきがあるのは当然である。しかも、時間が経つと、蓋の裏などの牛乳のない所に付着しているヨーグルトが、異様な匂いを放つ。本体は次第に流動性が増してくるが、不味くなるわけではない。

 しかしこのヨーグルトは、消化器にとても良いことが解る。便通がとても良いのである。彼がしばらく休んだ時には、少し腸管の様子がおかしくなったりする。乳酸菌の量がケタ違いなのだと思われる。

 市販のワインは味が良いところで、発酵を止めるのである。パスチュライドという方法で、発酵を止めて封印するらしい。無処置のワインは、酢酸化へ時間との勝負のように飲むことになる。ヤマブドウであることも含めた無処置であることを歓迎したい。昨年は多忙であったが、今年の秋にはこの地方の山に鈴なりになるヤマブドウを、熊より先に収穫してワイン作りをやるつもりである。

 市販のヨーグルトは時が経って味に変化があると売れなくなる。製品についても場所や季節が異なると味も異なっては、商品として成り立たない。一定期間在庫ができな様な商品も販売できない。更に、消費者に好まれる味に仕上げることも大切である。その結果、保存剤や甘味料やゼラチンのようなものが、加えられることになる。

 昨年小学校時代の級友に、放牧で搾った牛乳から作られたチーズを届けた。本物はさすがに美味しかった、と沢山のお礼を頂いた。しかし、流通商品も売るためにかなりの工夫をしている。本物の方が美味いとは限らない。

 信頼できる食品を頂くためには、自ら作るべきである。高度化した世の中で、そのようなことをできる環境にある人たちは限られる。何よりも安全が求められる食品は、商品である限りこうした保存剤や添加物はなくなることがないと思われる。

コメント (2)
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