福島原発の事故をめぐって、日本は懸命に“復旧”に作業を続けている。電源の確保や、コンクリート注入車の道具を使って注水に躍起である。現場の人々は大変だとは思うが、どこか滑稽でもある。
海水を何百トンも注水していて、当然の結果ではあるが、今度は海が汚染されている。際限ない冷却作業と合わせて、封じ込めもやればよい。勿論、廃炉に向けての作業である。何と簡単なことか。
周辺自治体でも、際限ない格闘にいうんざりしている。廃炉を訴える首長も出てきた。
オーストラリア、スイス、オーストリア、フランスは日本在住の自国民に対して、首都圏から離れるよう指示している。日本を脱出する外国人が後を絶たない。
ドイツのメリケル首相は、東ドイツ出身の工学者である。ソビエト留学をしているが、リスクに疎い原発推進派の学者であった。
彼女が、今回の日本の原発事故を受けて、古い原発7基を廃炉にする決断をした。ドイツは現在22%原発発電に依拠しているが、2050年までには、脱石炭、脱核を成し遂げると打ち出した。
電気の77%を原発に依存する核大国フランスは、2012年の大統領選挙に向けて、核エネルギーに対する国民投票をやると宣言している。日本は、壊れた核施設の復旧に勤しんでいる。
誰が見ても、これほど危険な施設が毎日何処からか、煙を出しているのである。危険と思わない方が異常である。マスコミも、復旧へ向けての作業を繰り返す。
正常な神経なら、東電は即刻廃炉にして、コンクリートで覆い尽くす石棺状態にするべきである。
周辺の農家や住民がどれほど喜ぶことであろう。爆発して燃えて黒くなった施設を見ればいい。
都会は、人を奪い賃金格差を大きくし農産物価格を良いだけ押さえつけ、豊かさを地方から奪ってきた。更に今回のように、地方に危険を押し付け、多量の電力を消費することで、豊かさを享受してきたことを自覚するべきである。
疲弊する地方は、廃棄物処理場も汚染物質処理場も自衛隊もアメリカ海兵隊も受け入れることで、生き延びてきた。喜んで迎え入れたのではない。
核施設は、たくさんの金を落とすから受け入れていたのである。そのために、安全を繰り返し言い続けてきたが、今回これが瓦解したのである。
日本が脱原発に踏み出す良い機会である。金のかかる復旧する必要などない。廃炉にして、脱核エネルギーを検討するべき時である。