中国全土で、半日デモが起きている。80カ所にもなるそうである。よく見るとネットの呼びかけで集まった、若者たちだけの乱行である。彼らの親たちは、文化大革命以後の改革開放以後に生まれた人たちである。
その子供たちは、一人っ子政策で何不自由なく甘えて育てられた。中国愛国思想教育で育てられた、とてもいい子たちである。当然天安門事件など全く知らない。
彼らの一世代上は80代以後(パーリンホー<80后>)と呼ばれ、親たちも中国の歴史をそれなりに体験し、多くの芸術家や創作者や起業家を海外にまで出している。今日の中国の発展を支え、改革開放政策を最も具現化していると言える。
ところが今回のデモの主体の、90年代後(チュウリンホー<90后>)は、まことに勝手気ままである。今回のような親の尻拭いを期待した行動は当然である。中華思想に根差した、愛国政策が徹底ているのは、チベットやウイグル対策のためである。
チベットで起きている焼身自殺やデモの様子、あるいはウイグルでの独立運動などは全く報道されない。今回のデモは、国営報道機関が一斉に報道を繰り返し行っている。
彼ら若者は、本当ならこの一年で50人近く焼身自殺する、チベット民族の痛みや苦悩を知るべきである。同世代の多くの若者たちが、思想の自由を求めての焼身自殺である。
チベットにはレアーメタル、ウイグルのゴビ砂漠には石油、東南海周辺にも石油など地下資源が豊富であることが判った後の、中国の国家的思想統制に従順に従ってのデモである。メディアは一斉に日本の帝国主義報道を絶えまなく続けている。おりしも明日は柳条溝事件記念の日であり、計画性すら感じる。
指導部交代の年にあって、上層部は今回のデモについては黙したままである。石原に対抗的に、とっさに尖閣の国有化した野田である。外交音痴の野田のタイミングの悪さは、いまさら攻めてもどうにもならない。
世論は90后が落ち着くまで時間稼ぎをすればいい。指導部は残り時間を視野に、既成事実を積み上げようと躍起になっているが、フィリッピンやベトナム同様、強権化する中国を連携して訴えていくより方策がないだろう。
それにしてもことあるごとに世界第2の経済大国中国は、発展途上国と主張しの権利を主張する。今回のデモを見る限り、確かに途上国とは言える。それなりのつつましや謙虚さがあればいいのであるが、その一方で社会主義体制を主張するのであるが、立派な国家資本主義体制である。それは自らの不都合を隠ぺいし言論統制する体制でもあるのである。