報道が事実とすれば、維新の会の橋下は安倍に代表を依頼いしていたようである。政治手法などで重なるところが少なく、重なると思われるのは、教育とアジア諸国との関係についての思いである。
安倍は首相時代に、慰安婦強制連行を否定している。このことと靖国参拝を擁護したことで、アメリカ下院は2007年7月に”慰安婦謝罪要求決議案”を採択している。
安倍は、産経新聞のインタビューで「自民党が政権に返り咲けば、植民地支配と慰安婦強制連行に対し謝罪した、村山談話と公の談話を修正する必要がある」と発言している。
これは、橋下が「慰安婦が暴行と脅迫を受けて連行された証拠はない」と発言したことと重なる。安倍はこの発言に対して「非常に勇敢な発言である」と高く評価している。
安倍たち国粋主義者の理念は、日中・太平洋戦争は『アメリカに嵌められた戦争である。上手くやれば勝てた戦争である。アジアを開放する正義の戦争であった。天皇中心の神の国日本』という点で共通している。
橋下はこれに同調し、安倍にエールを送ったのである。自民党を出ることができない安倍は、にんまりとしてこれを受け総裁選に臨む。今は追い風の維新の会と仲良くしておけば、悪いことはない。
橋下が知事、市長時代で一貫しているのは、日教組憎しの政策である。労組との対決と教育改革であるがこれも、安倍と重なる。
しかし、これらの多くは理念であるかその延長であるが、現実的政策になれば異なることが少なくない。新自由主義的側面が強い維新の会と、日の丸日本の安倍と齟齬が生じるであろう。
そもそも、橋下が国民に受けているのは、お役所改革に辣腕を振るったからである。首相時代を含め、官僚にべったりであった安倍を、橋下が容認することはないであろう。お互いにエールを交換したところで、たたき上げとお坊ちゃまである。いずれは離散する関係になる。
怖ろしいのは彼らが、改憲の一点で連携したときである。