これまで、欧米のキリスト教社会では何度もイスラム教を皮肉る、画像や論文や小説などが出回ってきた。その都度、イスラム圏諸国は様々な形で反発を見せていた。
今回のビデオ動画はこれまでと内容的にも、メディアとしてもインパクトが全く異なるものである。出自がアメリカである。しかもインターネットを通じて、一気に広がってしまった。内容的にきわめて低俗である。
西欧・キリスト教圏では表現の自由などの文化が定着している。イスラムでは、こうした表現の自由はある程度はあるものの、教義や開祖・預言者ムハンマドには適用されない。とりわけムハンマドについては、寛容ではない。
これらは憎悪感情として、イスラム圏に定着している。9.11の同時多発テロそのものも、こうしたことを背景にしている。
イスラム圏の一斉の反米デモは、アフガニスタンとパキスタンに顕著に現れている。
とりわけ、アフガニスタンでは、今年になって度重なるアメリカの誤爆で、50人以上もの死者を出している。タリバンとの交渉も行き詰まったままである。
米兵の死者への放尿や一般人の個人的な襲撃など、国民感情を逆なでする行為は枚挙にいとまがない。
アメリカは9.11が起きても、被害者として暴力的に理解したに過ぎない。報復しかブッシュは考えなかった。そして、アフガン撤退は決めたものの、イスラムに対して新たな理解を持つことはなかった。