橋下大阪市長が率いる維新の会が国政に打って出る旗上げとして、公開討論会を行った。国会に議席を持つ議員を寄せ集めて、維新の会になびき寄せ政党の形を取りたいための、橋下の面接試験である。
結果は「共通の価値観」の確認ができた、というだけのものであった。具体的な政策課題を討論したわけでもなく、今後の日本維新の会の方針を検討したわけでもなく、それぞれの役割や方向を確認したわけでもない。
大阪で、お役人の体たらくに活を入れ、財政再建が成功した。極めて限定的な、橋下の手腕を我々は見たに過ぎない。
既存の政党が情けない状態にあるため、受け皿としての期待感と、彼ら自身の勢いでここまで来たが、昨日の討論内容を見て、維新の会の底が見えた感じがした。
政党としての理念と経験がまるでない。おまけに党首が、大阪から出ないようでは、国政で何ができるというのであろう。
維新八策なる、マニフェスト様のお題目も思いつきの域を出ていない。憲法改正を経なければ実現できない内容が多く、やりたいことの羅列でしかない。
それでいて、中途半端な国粋主義者としての側面があり、国防と教育改革だけはご立派である。戦前の日の丸日本と、神の国日本の実現を目指しているのであろうか? それも判然としない。
地方分権を、地方の大都市に権限を集約する「道州制」に重ねるのは、行政の利便性を優先したに過ぎない。例えば、道州制になったとしたら、大阪市が近畿一円の権限を集約的に持ち、少し小さくなった中央集権体制を再構築することと同じである。
要するに昨日の。公開討論会を見る限り、維新の会の理念と勢いは底を見せたというべきである。