台湾で総統選挙が昨日行われ、中国に対して強硬路線を取る民進党の蔡英文総統が圧勝、再選を果たした。選挙情勢は親中国路線の国民党・韓国瑜の優勢が伝えられる中、蔡英文の勝利は香港情勢が一変させたといえる。
古来中国の最大の武器は時間である。中国というより漢民族は急いで結論を出さなくても、根回しという外堀を埋めたり、相手が疲弊するのを待つ作戦をよくとる。香港の反中国の熱が熱い時には引いた作戦を取る。一見退いたかに見えるが、反対運動は経済的な締め付けにそのうち流れが変わるのを待っているといえる。だったら最初から条件交渉しておこうというのが、親中国路線の国民党の韓国瑜の主張である。国民が望めば例外なく独立させるべきである。独立させることで、国境の壁が低くなる。
国家とは何かを考えさせられる中国の姿勢である。五星紅旗は中華思想を反映した、中央の星だけが大きい。他民族の漢族への従属を表したものといわれている。ウイグル族やチベット族は明らかに中華民国から異なる国家である。ウイグル地区は一旦はソビエトでさえ東トルキスタン共和国の存在を認めているし、チベットはイギリスを通じて日本に宣戦布告をしている。台湾は600年前には漢族はほとんどいなかったし、毛沢東がスターリンの指示で朝鮮戦争に深い入りさせられたおかげで、蒋介石の国民党の残党を取り逃がした結果の源氏である。香港はアヘン戦争の結果イギリスに割譲されて、100年が経過し現在がある。
中国は現在南部の少数民族から言葉と文化を吸収し、中国に取り込み始めている。希少金属や森林資源に限らず観光資源としての活用を模索している。
国家の理不尽は何も中国に限ったことでではない。日本もアイヌ民族たちから言葉も文化も土地や資源さえも奪っている。ロシア人も同じである。ウラル山脈から東は本来彼らの土地などではない。アメリカも先住民族からだけでなく、メキシコから奪い取ったものである。これ等は本国からの陸続きでるから、”領土”として国家の容をなしているだけである。イギリスやポルトガルやフランスやオランダは遠隔地であるため、独立運動などを経て手放している。
大国は大なり小なり、大国に限らず国家は国家の利益を国民に押し付けるものである。必要に応じて愛国心や民族意識を鼓舞し、国益なる必ず他国と相いれることのない基準をも用意する。紛争や戦争の種になる。民族などというものは科学的には存在しない基準である。国家も同様である。
人類はいつまで国家や国益を理由に、人間を抑圧し続けるのであろうか。