詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

オリンピックは中止すべきだった(27 )

2021-08-19 09:39:27 | 考える日記

 8月19日の読売新聞(西部版・14版)。
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コロナ感染指標見直し/政府検討 宣言解除見据え
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 この見出しで、突然、先日の菅の記者会見のときに、緊急事態宣言の「出口」をどこに設定しているのか(どういう指標になったら宣言を解除できると考えているのか)と質問した記者のことを思い出した。
 だれだったか忘れたが、あれは、こういうことだったのか。やらせだったのか。
 私は感染が拡大しているさなかに、なぜ、いつになったら解除できると考えているのか質問したのかわからなかった。どうしたって、感染拡大をどう防ぐか、新たな対策は?と質問すべきだと思ったからだ。
 だが、その記者は、あらかじめ「質問」を依頼させていたのだ。つまり、いまのコロナ感染状況を把握する「指標」をやめてしまう。見直しとは、ことばは丁寧だが、改悪だ。自民党の憲法改正というのに等しい。
 つまり、 
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 現在は、①医療の逼迫具合②医療者数③PCR陽性率④新規感染者数⑤感染経路不明割合--の5項目に基づき、宣言発令などを判断している。政府高官は「重症者数を重視する」方向で見直しを進めると語った。
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  これは、簡単に言うと、感染者が何人になろうが知ったことではない。「重症者」さえ減れば宣言を解除するということである。これは、医療の後退である。いまでも自宅療養が増えているが、今後どれだけ自宅療養が増えても気にしない、ということだ。自宅療養者が急変して重症化し、死亡したって、「入院している重症者」の数字さえ小さくなれば、「宣言解除」ということになる。
 これを、「見直し」といっている。
 なぜそんなことをするのか。
 理由は、総裁選、衆院選である。4面に「衆院選時期 綱引き激化」という「作文」が載っているが、ようするに、「 コロナ感染指標」を見直し、「重症者数」を重視することで、コロナ対策が成功した(非常事態を解除できた)をアピールし、選挙を戦いたいということである。
 記者会見で、産経新聞だったと思うが、総裁選、衆院選について質問した記者がいて、私は単純な人間だから、なぜ、いま、そんなことを、とテレビを見ながら怒りだしてしまったが、それもこれも「シナリオ」通りの質問だった。「出口戦略」を語らせ、その「出口戦略」を成功させ、やっぱり菅、自民党は頼りになるをアピールするための「伏線」としての質問だったのだ。
 そういえば。あるいは、「やらせ」の真骨頂といえばいいのか。最初に質問した「幹事社」の記者は、菅の「責任問題」について質問していた。前回の記者会見では、最後に「責任問題」の質問が出て、それに明確に答えない菅の「ずるい」体質が非常に印象に残ったが(この部分だけ、私はネットで見た)、最初に「責任問題」を質問しておけば、後から出てくる質問で印象が消える、という作戦だったのだ。
 それが証拠に。
 NHKの放送が途中までだったので断言できないが、あとから質問した記者は「責任問題」について再び問いかけをしなかった。「先ほど答えた通りです」と菅が答えると思ってやめたのかもしれないが、納得するまで責任問題をリレー追及すればよかったのだ。そうすれば「先ほど答えた通りです」としかいえない(いわない)菅の「人間性」が強く印象づけられただろう。
 菅は、何もいわない、何もしない。ただ、なりゆきまかせの政策しかできない。自分で何も語ることができない独裁者になりたいだけの人間であることが、テレビを見ている人に伝わったはずである。
 記者会見(インタビュー)というのは、「政策」だけではなく、その人の「人間性」をも明るみに出すものである。

 コロナの感染状況。
 社会面に「福岡感染1253人 27府県で最多に」という記事。東京は過去2番目の、5386人。東京オリンピック(マラソン)観戦の影響がそろそろあらわれそうな札幌は595人。マラソンが開かれたとき310人だったから、約2倍に迫ってきた。福岡は「九州の東京」という感じだから、人が集まりやすい。大雨が続いているが、晴れ間を見て検査を受けているのだろう。もっと、多いかもしれない。
 一面には「重症者 10月まで満床、都内試算」という見出しの記事があって、こんなことも書いてある。
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 感染者の多い首都圏や沖縄では、PCR検査数に占める陽性率が20%以上に達した。保健所の業務が逼迫して検査が追いつかないなどの理由が考えられ、助言機関は「実際の感染者数はもっと多い可能性がある」と指摘した。
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  陽性率が高いのは「 検査が追いつかないなどの理由が考えら」と書いてあるが、「考えた」のは誰か、主語がわからない。検査さえ増やせば(分母が大きくなれば)パーセントが低くなるという「算数」を紹介しているわけだが、笑ってしまう。助言機関の誰かがいっているように、感染者数はもっと多いのだ。しかし、その実数を抑えるために検査を抑制している。そして、その結果として陽性率が高くなっている、ということなのだ。しかし、これは正しい「算数」とはいえないかもしれない。どれだけ検査を拡大しても(分母を大きくしても)陽性率はかわらない、ということがあるだろう。それを恐れて、検査を抑えていると考えるべきだろう。
 どうでもいいが(ほんとうは、よくないが)、「署名」のない新聞記事で、主語を省略して「考えられる」というようなことばをつかってはよくない。ジャーナリズムは「事実」を書くべきであって、「匿名の記者の考え」を書く場所ではない。

 国民に外出を控えろ、といっておいて、菅は東京オリンピックで日本人が金メダルをとれば感動が広がる、金メダルの数がオリンピックの成功を証明する、その成功を後ろだけに衆院選で勝利を収める、という思惑だけでオリンピックを強行した。そのつけが、コロナ感染拡大につながっているのだ。
 
  東京オリンピックは中止すべきだった。パラリンピックは終始すべきだ。高校野球も、中止すべきだ。

コメント
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