詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

Estoy Loco por España(番外篇359)Obra, Sanchez Garcia Jose Luis

2023-05-20 18:14:36 | estoy loco por espana

Obra, Sanchez Garcia Jose Luis

 Una luz que cae del cielo encuentra un color sobre la mesa. El color se ve sorprendido por la luz, y cambia su color como los ojos de Julieta, sorprendidos por la mirada de Romeo. O como sus mejillas. O como los labios. Cunado la luz sube y baja, los colores suben y bajan tambien, y ellos comienzan a bailar. Una danza flexible y oscilante de miradas. Los susurros del entorno advertido se convierten en música. Un pequeño festival que no se encontraba en ninguna parte, pero que se veía en alguna parte. Los colores tocándose, tiñéndose, cambiando y ascendiendo con la luz. El éxtasis de empujar con fuerza, para abrazar con fuerza. Una noche de sábado diferente a la de mañana. La oscuridad, el tiempo hasta abrirse como una flor.

 天から降ってきた光がテーブルの上にひとつの色を見つけた。光に照らされた色は驚き、変化する。ロミオの視線に驚くジュリエットの目のように。頬のように。唇のように。光が上ったり降りたりすると、色は舞い始める。しなやかに揺れる視線のダンス。気づいた周囲のささやきが音楽に変わる。どこにもなかった、しかしどこかで見たような小さな祝祭。触れ合う色が、互いに互いを染め、変化しながら光を昇っていく。強く抱きしめるために、強く突き放すときの恍惚。あすとは違う土曜の夜。闇が、花になって開くまでの時間。

 

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金子敦『金子敦句集』

2023-05-20 14:20:32 | 詩集

 

金子敦『金子敦句集』(現代俳句文庫88)(ふらんす堂、2023年04月21日発行)

 金子敦『金子敦句集』に収録されている『音符』『シーグラス』については書いた記憶がある。読んだことはあるかもしれないが、たぶん,書いたことのない初期(?)の作品の印象を書くことにする。

ものの芽や絆創膏の跡真白

書棚より栞紐垂れ花ぐもり

梨に刺す楊枝の先のしぶきかな

重箱の蓋裏くもる冬紅葉

 小さなものに視線を向けている。小さなものの発見が、詩の発見、ということになる。ちょっとおもしろいのは、句のなかにかならず「濁音」が含まれることである。その濁音が、何か、印象を強くしている。
 「絆創膏」の句は、しかし、私は「真白」の音が何かなじめない。「まっしろ」ではなく「ましろ」と読ませるのだと思うが、どう読んでみても、あのふやけたような白とは違う感じがする。
 どこか、ことばのリズムにひっかかる。音よりも「イメージ」が優先している感じだ。そうしたなかにあっては「重箱」の句は、とても落ち着いている。「くもる」という静かな音が句を支えているのかもしれない。
 私は、こうしたちょっと「古典的」な句よりも、若々しい句が好き。高校生が書いたのかなあ、と感じさせる句が好き。たとえば

明日逢ふ噴水のまへ通りけり

もう来ないかもマフラーを巻き直す

 濁音がないかわりに、一句のなかに同じ音が繰り返し出てくる。それが不思議に句を立体的にしていると思う。俳句の理想の形(?)として「遠心求心」ということばがあるが、なんというか、それはちょっと窮屈。凝縮感が、いまの時代には、厳しい感じになるのかもしれない。(そう感じるのは、私だけかもしれないが。)金子の、この二つの句は、「遠心求心」の結合というよりも、解放されて広がっていくときの立体感が強い。反復される音のあいだの「距離」が「遠心求心」をつくりだしている感じがする。

林檎むく寝癖の髪をそのままに

石鹸に残る砂粒海の家

 こういう句は、「わざと」美しくないものに目を向け、世界を活性化させる手法。芭蕉の「のみしらみ」みたいな、「俗」がもっている真実の強さが効果的で楽しい。

歩道橋に砂の溜まれる海開き

 この句は、しかし、「俗」ねらいの作為がない。いいなあ。

夕焼けの中へボールを取りにゆく

ぶらんこの向こうの海の暮れてをり

紙雛にクレヨンの香の残りけり

 私は、ふと、あ、私も昔は俳句を書いていたなあ、とちょっと思い出した。私は、「自由律」の句。季語も気にしない。こんな感じ。

合歓の故郷折れたクレパスを拾いにゆく

夕焼けの貨車が駆け抜け海がある

あした天気になあれ靴の中に夕暮れ

 金子の句とは関係ないが、個人的な思い出として書いておく。金子の句には、私も昔は句を書いていたなあ、ということを思い出させてくれる、なんとはなしの「なつかしさ」のようなものがある。

水たまり飛び越えバレンタインデー

初蝶がト音記号を乗せてくる

白息のはみ出してゐるかくれんぼ

 のような句を読んでも、なにか、なつかしい。新しい驚きというよりも。

それはもう大きな栗のモンブラン

 になると、そうか、と思う。私は、モンブランとは縁のない暮らしだったなあと、思ったりするのだ。たしかにこれはモンブランの栗の大きさが話題になる「現代」の句なのだ。庶民的(?)な食べ物では、これが、いい。

湯豆腐に湯加減をちと訊いてみる

 「笑い」はけっして古びない、ということか。

 

 


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Estoy Loco por España(番外篇358)Obra, Calo Carratalá

2023-05-20 08:57:47 | estoy loco por espana

Obra, Calo Carratalá

 El paisaje salta a mis ojos. La ribera horizontal y los árboles en vertical. La intersección de ambos amplía el techo del cráneo, de izquierda a derecha y de arriba abajo. El techo del cráneo se expande sin fin. Luces y sombras se multiplican en el inmenso espacio. Todavía hay muchos tiempos para que el verde brille aquí, para que el viento sople, para que los pájaros vuelen, para que la gente los siga. No, yo digo que aquí todavía no hay ningun tiempo. Claramente y con convicción, yo digo. Lo que aquí hay es espacio absoluto, espacio puro, que rechaza el tiempo. ¿Es de día, de noche, de mañana o de tarde? Puedes llamarlo como quieras. Sólo hay espacio, que rechaza los nombres autocomplacientes. ¿Está fuera de tu cabeza o dentro de tu cabeza ? Oh! tú, no hagas una pregunta tan estúpida.

 目のなかに飛びこんできた水平に広がる川岸と、垂直に立ち上がる木の交錯が、頭蓋骨の天井を、左右と上下にぐいぐい広げていく。どこまでも拡大していく。巨大な空間のなかに光と影が増殖する。ここに緑が輝き、風が吹き、鳥が飛び、それを追いかけ人間が現れるまでには、まだ時間がある。いや、ここには、まだ時間がない、と私は言う。ここには時間を拒絶した絶対的な空間、純粋空間がある。昼か、夜か、朝か、夕暮れか。好きな風に名づければいい。勝手な命名を拒絶して、ただ空間がある。それは、頭の外にあるのか、頭のなかにあるのか、君よ、そんな馬鹿な質問はするな。

 

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