125 酒舗や娼館を
「酒舗や娼館」と「別荘と屋敷」が対比されている。タミデスが知事の息子に「釣られて」「別荘と屋敷」の方へ行ったということだが、その前には知事の息子が「酒舗や娼館」にやってきたということだろう。ベイルートではなく、アレクサンドリアでは。
ここには「往復」がある。人の行き来がある。
このあと、詩は、最初の一行を繰り返し、こう展開する。
ここでは「わたし(の肉体)」と「屋敷と別荘」が対比されているのかもしれない。かつてタミデスは「わたしの肉体」に「釣られた」のだ。
「酒舗や娼館」と「屋敷と別荘」の間に「肉体」があり、「肉体」を通路として「酒舗や娼館」と「屋敷と別荘」はつながり、そこをタミデスは往復する。現実にもそうなのか、甘い思い出の中だけでそうなのか。いま、「わたし」は「肉体」を頼りに、アレクサンドリアとベイルートを往復している。記憶の中で。
ベイルートに関する池澤の註釈。
「高橋睦郎『つい昨日のこと』を読む」を発行しました。314ページ。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
ここをクリックして2500円(送料、別途注文部数によって変更になります)の表示の下の「製本のご注文はこちら」のボタンをクリックしてください。
オンデマンド形式です。一般書店では注文できません。
注文してから1週間程度でお手許にとどきます。
*
以下の本もオンデマンドで発売中です。
評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009
評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455
ベイルートの酒舗や娼館を転々としている。
タミデスを失った以上
アレクサンドリアには居たくなかった。
彼はナイル川の別荘と市内の屋敷で釣られて
知事の息子のところへ行ってしまった。
「酒舗や娼館」と「別荘と屋敷」が対比されている。タミデスが知事の息子に「釣られて」「別荘と屋敷」の方へ行ったということだが、その前には知事の息子が「酒舗や娼館」にやってきたということだろう。ベイルートではなく、アレクサンドリアでは。
ここには「往復」がある。人の行き来がある。
このあと、詩は、最初の一行を繰り返し、こう展開する。
ベイルートの酒舗や娼館を転々としている。
安っぽい遊蕩にふける下劣な日々。
変らぬ美のように、我が肉体に染みついた
香水のように、残る
救いはただ一つ、
世にも稀な美貌の若者タミデスが
二年の間、わたしだけのものだったということ、
屋敷もナイル川の別荘も持たないわたしなのに。
ここでは「わたし(の肉体)」と「屋敷と別荘」が対比されているのかもしれない。かつてタミデスは「わたしの肉体」に「釣られた」のだ。
「酒舗や娼館」と「屋敷と別荘」の間に「肉体」があり、「肉体」を通路として「酒舗や娼館」と「屋敷と別荘」はつながり、そこをタミデスは往復する。現実にもそうなのか、甘い思い出の中だけでそうなのか。いま、「わたし」は「肉体」を頼りに、アレクサンドリアとベイルートを往復している。記憶の中で。
ベイルートに関する池澤の註釈。
アレクサンドリアから六百キロ、すなわち船でなら一、二日ほどの距離にある国産都市で、ギリシャ系の主人公にとってはカイロより行きやすい遊蕩の場だったのだろう。
カヴァフィス全詩 | |
クリエーター情報なし | |
書肆山田 |
「高橋睦郎『つい昨日のこと』を読む」を発行しました。314ページ。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
ここをクリックして2500円(送料、別途注文部数によって変更になります)の表示の下の「製本のご注文はこちら」のボタンをクリックしてください。
オンデマンド形式です。一般書店では注文できません。
注文してから1週間程度でお手許にとどきます。
*
以下の本もオンデマンドで発売中です。
評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009
評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455