福岡発 コリアフリークなBlog

韓国や韓国語に関するオタクの雑学メモ。韓国映画はネタバレあり。 Since 2005/9.14

韓国の新事大主義

2007年10月12日 |   〇科学・教育

過熱の一途をたどる韓国の英語熱について辛らつな批判を加えて
いる大学人がいる。

京郷新聞で読んだ記事だ。

「ヲタク」なりに共感する話も多かったので、全文の翻訳練習に
取り組んでみた。

ただし、長めの記事なので紙面の関係上、本文の引用は省いた。

・・・・・・・・・・・

■“영어 숭배는 新사대주의…” 서울大 이준구교수 ‘쓴소리’
「英語崇拝は新事大主義」 ソウル大イ・ジュング教授の苦言
(京郷新聞 10月11日)


△イ・ジュング教授(ソウル大学)

韓国社会が熱病のような「英語ブーム」に浮かされ始めて久しい。

特にグローバル化時代を迎え、英語は国家の生き残り戦略の
絶対条件のように信奉されている。英語だけを使って生活する
「英語村」のような学習施設が雨後の竹の子のようにあちこちに
出現するかと思えば、英語の成績が悪ければ大学を卒業することも
できない。また、あるアメリカの経済学の本で、英語の発音がよく
なるようにと子どもに舌の手術まで受けさせる韓国の親たちの話が
紹介されたこともあった。ついには、ハンナラ党のイ・ミョンバク
大統領候補が、小中高の段階から英語による授業を進めることを
大統領選の公約に掲げるまでにいたった。

ソウル大のイ・ジュング教授(経済学)は、韓国社会のこうした
盲目的な英語崇拝について、「現代版事大主義」という表現を
用いながら厳しく批判した。

11日、記者がソウル大のキャンパスにイ教授を訪ね取材した折に
聞いた話だ。

イ教授は特に、最近、急増している大学での英語講義について
「えせ大学改革の代表的な事例」だとして辛らつな批判を加えた。

イ教授は、「英語講義の教育的効果は非常に低く、教授たちも
そうした事実をよく知っている」と語った。英語講義では効率的な
教育ができないという話だ。「まず、講義する教授が100%の
英語力を持ち合わせていないのに、どうして英語で十分な講義が
行えるのか」と疑問を投げかける。イ教授は、英語講義の中身の
なさを表わす興味深い事例を紹介してくれた。

「私の知り合いに実際にソウルのある私大で英語講義をしている
教授がいる。彼は英語では学生たちに意味の伝達がうまく行えない
ので、授業の重要な部分では韓国語を使って説明していると話して
いた。現在、韓国の大学で行われている英語講義の実態は、
笑うに笑えないコメディのようなものだ」。

そうした実態があるにも関わらず、英語による講義が続けられて
いるばかりか、さらに拡大している理由はどこにあるのか。

イ教授は、まず英語講義の質を問題にすべき学生たちが沈黙して
いることを一つ目の理由に挙げる。

学生の沈黙についてイ教授は、「ほとんどの英語講義の成績は
絶対評価で行われている。また、評価自体が非常に甘くなって
いるので、学生たちも不満を表に出さない」と指摘する。

また、大学当局にとっても似たような事情があるという。「英語
講義を増設すれば、それが改革的な成果と見なされる。具体的には
英語講義の比率が大学評価基準の一つになっているので、大学の
ランキングを上げるためにも英語による講座を増やさなければ
ならないという側面があるのだ」と語った。

また、イ教授は、企業が社員採用時に英語の成績という物差しを
全ての志願者に一律に当てはめることの問題性も指摘する。
「社員全員が英語を上手に話す必要もなく、外国企業との折衝に
あたる社員を選別的に教育すれば済む話だ。全員が英語を話せ
なければならないという論理は、まさに『事大主義』の表れだと
言わざるを得ない」と語る。「韓国人は日本統治時代、なぜ朝鮮語
抹殺政策に反対したのかと問いたいくらいだ。韓国人がもし
日本語を話すようになっていれば、現在の国際社会で、もっといい
待遇を受けているかもしれない」と皮肉った。

さらにイ教授は、英語崇拝の風潮が「社会階層の固定化」現象を
推し進めている点についても目を向けるべきだと語った。「上層の
階層にいる人たちは企業の外国駐在員や大学教授らであり、
外国暮らしをしながら非常に有利な条件下で子どもたちに英語
教育を受けさせることができる。英語崇拝は韓国社会の2極化
現象とも巧妙にからまりあっている」と分析する。

英語ブームの裏で、大学生たちの国語力が低下している問題も
見逃すことができない。

イ教授は、「インターネットの影響で学生たちの国語力が落ちて
いるのが心配だ。きちっとした自国語が使えて初めて、人間は
論理的で知的な思考ができる」とも語る。

国内におけるミクロ経済学の第一人者としてよく知られるイ教授は、
自らのホームページを通じ、大学と教育の問題について辛らつな
評論活動を続けている。

(終わり)

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