113話だけど、四葉が選ばれるという結末を知って、かつ、しばらく時間をおいてから、改めて読み直すと、細部でジーンとくるところは多いね。
四葉の風太郎に対する気持ちに終始、気を配ってきた、その点では四葉に関しては「母」の役割を徹底してきた五月を除いて、三人のダメージは大きい。
二乃は、早くから騎士道宣言をしていたこともあって、自分の気持ちを整理しきれなくなって、思わず涙を流しているし。
京都で一花に対して言った「たとえ自分以外の姉妹が選ばれても祝福する」というのは、一花のように「長女だから」という理由もない中で、とても高邁な心根だけど、でも、実際に自分が選ばれなかった、という事実を突きつけられると、内心、穏やかではない。
そういう意味では、同じ気持ちに至っていた三玖が横にいてくれて本当に良かった、ということになる。
一方、三玖は三玖で、二乃のもとに駆けつけ彼女を気遣うことに気持ちを割くことで、自分の気持ちをも落ち着けているようにみえるし。
とはいえ、やっぱり気になるのは一花かな。
長女らしく、早い段階で達観を決め込み、なんであれ、風太郎が結論を出してくれる方が望ましい、と表向きは言ってきた一花も、休学+女優業専念でせっかく確保した絶対安全圏の愛人ポジションを失うことがはっきりして、しっかり折れているものね。
長女だから、妹である四葉の幸せを喜ばしいと思う一方で、自分の「鼓動(センサー)」がけたたましく鳴り響いたまま、というのが、ベランダに持たれた背中を向けた場面からだけでもひしひしと伝わってくる。
ただ一花って、6年前のときからそうだけど、風太郎に対して本来、四葉がいるべき場所を横取りしてきていた、という印象も拭えない、
端的に「フータローくん」という呼び方がそうで、これは四葉が本心を語るときの、風太郎の呼び方である「風太郎くん」と被ってるんだよね。だから、四葉がそう呼びたいと思っても、一花と被ってしまうことから言い出せず、結局、終始「上杉さん」を貫くことになっていた。
だから、ここから先の見どころは、四葉がいつ「風太郎くん」と呼べるようになるのか。
そのドラマがどう描かれるか。
その一方で、一花がどういうかたちで、その身を引いていくのか。
で、当の四葉だけど、よくよく考えると、3年生になってからの展開は、すべてこの日のためにあったという構成なのには、改めて驚く。
風太郎が今回、自ら気がついていたように、かつて四葉と交わした勉強を頑張るという誓いは、決して勉強「だけ」を頑張る、というものではなく、勉強「も」頑張る、でよかったはず。
その風太郎の心情の変化を吐露する相手が、3年生になってからダチになった前田と武田だった、というのも、高3の4月からの積み重ねの果てにあるもので、これは地味だけど効いている。
ていうか、夏休みの五つ子のいない海水浴回なんて、らいはじゃないけど「なんか違う!」と思わせるためだけのエピソードだと思っていたけど、決してそんなことはなくて、あそこで前田や武田がうろうろしていて、彼らを介してクラスの連中と楽しめた、というのが、結局のところ、風太郎が受け取った四葉からの最大の気遣いであり贈り物だった、ということだよね。
結果として、風太郎から見たら、6年前の四葉との出会いがあったから、勉強のできる優等生になることができたのであり、今また、四葉のおかげで、勉強以外にも大事な「学生生活を素直にエンジョイする」ことができたわけで。
まさに、大恩ある相手が四葉となる。
ただ、だからちょっとだけ気になるのは、この「大恩」と「恋愛感情」がどう風太郎の中で結びつくのか、だよね。
だから、もしもこの先、四葉以外の姉妹が花嫁になるという、もはや九分九厘ありえないのだろうけど(なにしろ14巻で完結すると作者自身が公言しているから)、でも絶対不可能ともいえない展開があるとしたら、風太郎が、四葉への感謝の気持を恋愛感情に昇華できなかったときなんだろうな、と。
まぁ、今回、これからある女子にコクりに行こうとしている前田から、上杉、お前も覚悟を決めろ、と言われた上での四葉詣でだったりするので、風太郎の中では、ちゃんと恋愛感情になっているのだと思いたいけれど。
ここは正直、気になるところ。
少なくとも、すでに一旦、「昔は封印、今が大事」という姿勢で行こうと、日の出祭二日目の風太郎にキスをした後の四葉であり、その意味では、彼女なりに区切りをつけてしまっていたりするわけで。
となると、上杉さんは単にわたしに感謝しているだけです、その気持ちを自分で好きと誤解しているんです、それに、わたしよりも、三玖や二乃、一花だっているじゃないですか、・・・、とかダダをこねそうな気がするじゃない。
だからこそ、ここからが大変ですと、五月が言葉にしているわけで。
すでに、十分こじらせてしまっている四葉をいかに自然な存在にするのか。
もっといえば、「風太郎くん」と呼ばせるのか。
そこで、きっかけになるのが、風太郎が、四葉が封印したはずの6年前の姿で四葉の前に現れることなのかな、と思ったりして。
いや、すでに、四葉の部屋(保健室)を訪れるときに、目つきをいつもと変えているし、話し方も粗野な感じに戻しているので、すでに風太郎の中では、「もともとの自分」に戻っているのかもしれないけど。
その気持ちが四葉にどう伝わるか。
まぁ、昔の髪型にすると、要するにキンタローくんに素でなってしまうので、二乃がもう一回泣き出してしまうかもしれないけれど。
でも、日の出祭中に、二乃をマルオのいる病院にバイクで連れ出す際に、「そのワイルド」な感じにクラスメイトもすでに少し驚いていたから、もしかしたら、マジでワイルド路線に戻すのかもしれないけれど。
ともあれ、風太郎は風太郎で、もう一段階、進化しなくちゃいけないような気もする。
まさに、五月が期待しているように。
そういう意味では、ここから先の物語を進めるトリックスターは、一花ではなく五月になるのかもしれない。
四葉の風太郎に対する気持ちに終始、気を配ってきた、その点では四葉に関しては「母」の役割を徹底してきた五月を除いて、三人のダメージは大きい。
二乃は、早くから騎士道宣言をしていたこともあって、自分の気持ちを整理しきれなくなって、思わず涙を流しているし。
京都で一花に対して言った「たとえ自分以外の姉妹が選ばれても祝福する」というのは、一花のように「長女だから」という理由もない中で、とても高邁な心根だけど、でも、実際に自分が選ばれなかった、という事実を突きつけられると、内心、穏やかではない。
そういう意味では、同じ気持ちに至っていた三玖が横にいてくれて本当に良かった、ということになる。
一方、三玖は三玖で、二乃のもとに駆けつけ彼女を気遣うことに気持ちを割くことで、自分の気持ちをも落ち着けているようにみえるし。
とはいえ、やっぱり気になるのは一花かな。
長女らしく、早い段階で達観を決め込み、なんであれ、風太郎が結論を出してくれる方が望ましい、と表向きは言ってきた一花も、休学+女優業専念でせっかく確保した絶対安全圏の愛人ポジションを失うことがはっきりして、しっかり折れているものね。
長女だから、妹である四葉の幸せを喜ばしいと思う一方で、自分の「鼓動(センサー)」がけたたましく鳴り響いたまま、というのが、ベランダに持たれた背中を向けた場面からだけでもひしひしと伝わってくる。
ただ一花って、6年前のときからそうだけど、風太郎に対して本来、四葉がいるべき場所を横取りしてきていた、という印象も拭えない、
端的に「フータローくん」という呼び方がそうで、これは四葉が本心を語るときの、風太郎の呼び方である「風太郎くん」と被ってるんだよね。だから、四葉がそう呼びたいと思っても、一花と被ってしまうことから言い出せず、結局、終始「上杉さん」を貫くことになっていた。
だから、ここから先の見どころは、四葉がいつ「風太郎くん」と呼べるようになるのか。
そのドラマがどう描かれるか。
その一方で、一花がどういうかたちで、その身を引いていくのか。
で、当の四葉だけど、よくよく考えると、3年生になってからの展開は、すべてこの日のためにあったという構成なのには、改めて驚く。
風太郎が今回、自ら気がついていたように、かつて四葉と交わした勉強を頑張るという誓いは、決して勉強「だけ」を頑張る、というものではなく、勉強「も」頑張る、でよかったはず。
その風太郎の心情の変化を吐露する相手が、3年生になってからダチになった前田と武田だった、というのも、高3の4月からの積み重ねの果てにあるもので、これは地味だけど効いている。
ていうか、夏休みの五つ子のいない海水浴回なんて、らいはじゃないけど「なんか違う!」と思わせるためだけのエピソードだと思っていたけど、決してそんなことはなくて、あそこで前田や武田がうろうろしていて、彼らを介してクラスの連中と楽しめた、というのが、結局のところ、風太郎が受け取った四葉からの最大の気遣いであり贈り物だった、ということだよね。
結果として、風太郎から見たら、6年前の四葉との出会いがあったから、勉強のできる優等生になることができたのであり、今また、四葉のおかげで、勉強以外にも大事な「学生生活を素直にエンジョイする」ことができたわけで。
まさに、大恩ある相手が四葉となる。
ただ、だからちょっとだけ気になるのは、この「大恩」と「恋愛感情」がどう風太郎の中で結びつくのか、だよね。
だから、もしもこの先、四葉以外の姉妹が花嫁になるという、もはや九分九厘ありえないのだろうけど(なにしろ14巻で完結すると作者自身が公言しているから)、でも絶対不可能ともいえない展開があるとしたら、風太郎が、四葉への感謝の気持を恋愛感情に昇華できなかったときなんだろうな、と。
まぁ、今回、これからある女子にコクりに行こうとしている前田から、上杉、お前も覚悟を決めろ、と言われた上での四葉詣でだったりするので、風太郎の中では、ちゃんと恋愛感情になっているのだと思いたいけれど。
ここは正直、気になるところ。
少なくとも、すでに一旦、「昔は封印、今が大事」という姿勢で行こうと、日の出祭二日目の風太郎にキスをした後の四葉であり、その意味では、彼女なりに区切りをつけてしまっていたりするわけで。
となると、上杉さんは単にわたしに感謝しているだけです、その気持ちを自分で好きと誤解しているんです、それに、わたしよりも、三玖や二乃、一花だっているじゃないですか、・・・、とかダダをこねそうな気がするじゃない。
だからこそ、ここからが大変ですと、五月が言葉にしているわけで。
すでに、十分こじらせてしまっている四葉をいかに自然な存在にするのか。
もっといえば、「風太郎くん」と呼ばせるのか。
そこで、きっかけになるのが、風太郎が、四葉が封印したはずの6年前の姿で四葉の前に現れることなのかな、と思ったりして。
いや、すでに、四葉の部屋(保健室)を訪れるときに、目つきをいつもと変えているし、話し方も粗野な感じに戻しているので、すでに風太郎の中では、「もともとの自分」に戻っているのかもしれないけど。
その気持ちが四葉にどう伝わるか。
まぁ、昔の髪型にすると、要するにキンタローくんに素でなってしまうので、二乃がもう一回泣き出してしまうかもしれないけれど。
でも、日の出祭中に、二乃をマルオのいる病院にバイクで連れ出す際に、「そのワイルド」な感じにクラスメイトもすでに少し驚いていたから、もしかしたら、マジでワイルド路線に戻すのかもしれないけれど。
ともあれ、風太郎は風太郎で、もう一段階、進化しなくちゃいけないような気もする。
まさに、五月が期待しているように。
そういう意味では、ここから先の物語を進めるトリックスターは、一花ではなく五月になるのかもしれない。