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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

知性間戦争(3) ― 「帝城」はユナイタル・リングとアンダーワールド、そしてブレイン・バーストを繋ぐ不動点!

2020-09-22 16:14:24 | SAO/AW
その1その2からの続き)
その4へ続く)

知性間戦争は、SAOやアクセル・ワールドでの言及のされ方を見る限り、どうやらアンダーワールドの防衛、あるいはその象徴たるアリスの防衛のために生じたものと想定されているわけだけど、そもそもその発端になったはずのアンダーワールドがどの程度の危機に瀕したのか、そのあたりが描かれないことにはなんとも言えないなぁとずっと思っていた。

で、そんな疑問に答えるべく、ユナイタル・リング編の最新刊であるSAOの24巻では、いきなりキリトたちが200年後のアンダーワールドにアクセスすることになった。

で、そこで整合機士団長の仮面騎士エオラインという人物に出会うのだけど、どうにもユージオの生まれ変わりのような人物に見えてしまって、怪しいったらない。

ともあれ、今後のユナイタル・リング編を通じて、星王キリトが築いた200年を、無印キリトがどう解釈するのか、そこが見どころになるはず。

端的に、無印キリトは疑問を抱くのではないか。

で、その疑問、というか認識のズレが、後日、知性間戦争の火種になっていく感じはするんだよね。

で、そう思うと、AWの側で、知性間戦争の悲劇の解決策を探ろうとする動きが物語の根幹になりつつあるのもわかるような気がする。


あとは、外部からの、つまり、リアルワールドからのスパイがアンダーワールドに潜伏していないかも重要。

特に、星王キリトと同盟関係?にあるはずの茅場AIがどのような形で、アンダーワールドにコミットしているのか(あるいはしていないのか)も気になるところ。

で、そう思うと、さっき触れたエオラインが整合機士団長というのがどうにも胡散臭い。

だって、SAOの世界で「団長」といえば、茅場が扮したヒースクリフのことも思い出されてしまうから。

なので、茅場AIが、ユージオの姿のアバターを使って、エオラインを演じていてもおかしくはなくて、それはつまり、星王キリトが茅場AIが扮するエオラインを通じて、自分が去った後のアンダーワールドを統括している、という風に見てもおかしくはないと思うのだよね。

で、星王キリトの知識と茅場の知恵で、キリトが大好きだったユージオの姿でアプローチすれば、無印キリトも容易に誘導されるはず、と考えてもおかしくはないはずで。

なぜなら、星王キリトにしても茅場AIにしても、サイバーワールドでは好き放題できるかもしれないけれど、リアルワールドに「物理的」に干渉しようと思ったら、人間の身体がないので、第3者に委ねるしかないから。

となると、星王キリトが、リアルワールドに残った無印キリトをいい感じに誘導して利用しようと思ってもおかしくはない。

その一方で、ユナイタル・リング編で登場した仮想研究会の首魁のムタシーナって、こうした星王キリトと茅場AIの行動への対抗勢力として動き出したものなのではないか、とね。

(ムタシーナについては、次のエントリーも参考になるはず。
 ソードアート・オンライン ユナイタル・リング編 考察1 ― ムタシーナの正体は誰? ユナイタル・リングの開発者は誰?

だから、今、ムタシーナは無印キリトに隷属魔法をかけているわけだけど、その魔法によるキリトの拘束って、実はあとで、こうした星王の狙いを邪魔するために役立つかもしれない。

だって、ユナイタル・リングというゲームって、そもそも茅場が死後、キリトを通じて世界中にばらまかせたSAOと同規格の「ザ・シード」の上で開発されたゲームを丸ごと全部一つの世界につなげているわけで。

それって、多分、「ザ・シード」規格のゲームをサポートしている世界中のサーバーが持つ計算資源を全部掌握しようという魂胆なんじゃないかな、と。

そうすることで、星王キリトがいうように、深刻な資源不足に悩んでいる200年後のアンダーワールドを救おうとしているのではないか。

と、同時に、ユナイタル・リングの世界に緩やかにアンダーワールドを組み込もうとしているのではないか?

というのも、AWの世界では、一切、その後のアンダーワールドがどうなったのか、というヒントとなるものが示されていないから。

となると、アンダーワールド自体が、ブレイン・バースト2039に組み込まれることになった、という方がわかりやすいかなぁ、と。

AWの世界では、アリスと思しきフラクトライトが眠っている場所として「帝城」というのがあって、実は、そこにそのフラクトライトを幽閉するか否かで生じた戦いが「知性間戦争」の具体的な姿のようなのだよね。

で、その「帝城」はリアルの世界では、なんと皇居に設定されている。

そうそうブレイン・バーストの世界は、リアルワールドを模したVRともARともつかない世界として構築されているのだけど、その構築にあたっては、保安上、日本の街の隅々にまで設置された監視カメラが捉える現実世界のリアルタイム情報を使ってレンダリングされている。

ちなみに、この監視カメラを利用するところは、総務省や自衛隊に所属していた菊岡が暗躍していると思っている。公費で監視カメラ体制を整備する一方で、そのシステムにバックドアを作って、そこから監視カメラ情報を吸い上げることで、ブレイン・バースト2039のVRとARがミックスされた世界が構築され、そこで主人公たちは、表向き格ゲーを競い合うことになる。

これは、UoW編22話で菊岡が無印キリトに宣言した、アンダーワールドを絶対守り抜く、という彼の宣言の実現でもある。彼がそのために利用する資金源として、日本政府を持ち出すのは極めて理にかなっている。

そして、ラースで菊岡のもとでアンダーワールドの実装に尽力した比嘉は、星王キリトと茅場AIと行動をともにしている。

つまり、星王キリト、茅場AI、菊岡、比嘉の4人はみな、アンダーワールドを守理抜くという点で、利害が一致しているはずだから。

星王キリトにおいては、コピーされたライトキューブの物理的な記録媒体を比嘉の手に委ねているわけで(少なくとも当初は)。


で、話を「帝城」に戻すと、ここが皇居なのは、もともと皇居は監視カメラの設置外のエリアとして設定されている、というのがSAO/AWの世界の基本設定だから。

その事実はすでに、SAO第2期の最後のシーンで、キリトとアスナたちが皇居にピクニックにでかけているところでも描かれている。あのとき、わざわざ、皇居には監視カメラがないという発言までしている。

つまり、仮に監視カメラ体制が日本中をくまなくカバーするレベルにまで整備されたとしても、皇居だけはその対象外になることはSAOの時点で確定した、ということ。

であれば、皇居の位置を占めるVR空間をブレイン・バースト2039内の非干渉地域、ないしはサンクチュアリとして設定するのは、むしろ、最初から狙って行われたことになる。

さらにいえば、ブレイン・バースト2039は、知性間戦争の後の混乱(アリスのフラクトライト?の帝城への幽閉?)を解決するための「帝城攻略ゲーム」を装って開発されたわけだけど、その攻略ゲームは一つではなかった。

対人戦メインの高速シューティングでるアクサル・アサルト2038と、対エネミー戦メインのハックアンドスラッシュのコスモス・コラプト2040が開発されたのだが、前者は「過剰な競争」によって、後者は「過剰な融和」によってゲームとして破綻し、結局、残ったのは、適度に競争と融和の療法があるブレイン・バースト2039だけだった。

このブレイン・バーストだけが残った経緯も、後々、知性間戦争の悲劇の後始末のために必要な教訓になるのかもしれない。



・・・ということで、知性間戦争について、ん?と考えても思いついたことはとりあえずかきあげた気がする。

といっても、また原作に当たれば思いつくこともあるかもしれないので、一応、続きを匂わせつつ、ひとまず終了w

その4へ)

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ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld 全23話 感想

2020-09-22 00:45:14 | SAO/AW
WoU編を全て見ての感想だけど、やっぱりその前のアドミニストレータ編と比べると、見劣りしたのは否めない。

その筆頭は、やはり、キリトの復活があまりにも遅かったこと。

これはまぁ、原作からしてそうだから仕方がないのだけど、それにしても遅い。

で、キリトが戦えない以上、他の人が目立つのは仕方ないのだけど、前半で、いきなり出てきた整合騎士たちとダークテリトリーの幹部たちの戦いを見せられても、それがなんなの?としか思えないのが辛い。

もちろん、後日、彼ら整合騎士の生き残りもアンダーワールドで重要な役を果たすのだから、ここで紹介しないわけにはいかないわけだけど、それにしたって、物語の先が見えないところで、局所的な競り合いばかり見せられても、いまいち乗れない。

そういう意味では、個々の整合騎士の活躍のところは尺的には巻きを入れて、むしろ、大事な人物の活躍をギュッといっぺんに見せたほうが、あ、こいつら、後々重要な役割を担うのかな?って感じで見られたと思う。

その意味では、やっぱり監督の小野学は、まったくもってそうした緩急をつけるのが下手。

この監督は、ただアクションを描きこむことしかできない人だな、と思った。

やたらと戦闘シーンに力は挿入されるのだけど、でも、その戦闘がどういう意味があるのか、見る側にわからせないうちにいきなり始まってしまうことが多くて、なんだこれ?と思うことは多かった。

あとは、アンダーワールドに来てからの、リーファとシノンの扱いで、特にリーファはひどかった。ただの陵辱対象として見てないのがよくわかった。

でも、そう思うと、アドミニストレータ編でも、ロニエたちが学院の先輩にレイプされそうになるところや、アドミニストレータとの戦闘でやたらと顔芸があったりしたのを思い出して、なんか、せっかく画力の高い作画なのに、描いている内容があまりにも下品で胸糞悪くなったことまで思い出してしまった。

そこは、もっとライトに描けよ、その代わりにもう少し、地の文を説明を描写で描くことにリソースを使えよ、と思ってたことも。

ホント、アリシゼーション編も伊藤智彦が監督をしていたら、マザーズロザリオのようなマイルドな感じの、味のある物語になったと思うと、小野学が監督したことで、必要以上に下品なものになったと思う。

ということで、なんかもう結論が出ているけど、UoW編に限らず、アリシゼーション編全体として、SAOの1期や2期と比べたとき、満足度はそれほど高くない、というか、低い。

いや、確かに作者の川原礫にも、ゲスを過剰にゲスとして描くところはあって、端的にそれは悪癖だと思うけど、でもまぁ、文章でゲスな感じを出そうと思うと過剰に書き込まないと伝わらないのは確かで、まぁ、仕方がない。

でも、その文章の内容をそのまま映像にしたらクドイに決まっている、というのを、小野学って監督は理解してないんだな、と思うことは多かった。

茅場ロボのニエモンのところにしても、あそこまでロボの描き込みに力を入れるのは無意味でしょ。

というか、無駄な描きこみは、本編の流れから見るものの意識をそらしてしまうから、端的に原作レイプなんだよね。

なんか、エネルギーを使う場所が間違っていて、これなら、原作を読んでいる方がましだと思ってしまうくらい。


ということで、プログレッシブでは、絶対、小野学だけは起用しないでほしい。

アインクラッド編のやり直しというプログレッシブの狙いを考慮にいれれば、できれば伊藤智彦を復活させてほしいところ。

でなければ、伊藤智彦的なトーン&マナーで絵コンテがかける監督をばってきしてほしいと切に願う。

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