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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー 第8巻 感想: さすがにこのあたりで軌道修正しないとシリーズとして物語が破綻するんじゃないかな?

2024-06-16 13:30:48 | さすおに
正確には7巻も含めての感想。

正直、全般的な印象としては、6巻の感想で書いたものと変わらなくて、とにかく読みにくい。

それは、6巻の繰り返しになるけど、目的もなく、ほんとに目的もなくだらだらと「達也の活動日記」をやってるだけだから。

一応、8巻では、達也の一撃必殺の魔法では対処が難しい、広域集団催眠魔法であるギャラルホルンと言うのがでてきたのだけど、要するに、これってゾンビの恐怖だよね? あるいは、パンデミックの恐怖?

で、そういうところでは、たしかに、達也、というか、そもそも兵力があまり役に立つものではなく、限りなく治安維持活動に近くなってくるわけだけど。

でもさ、それって、達也がやること? って素直に思ってしまうのだよね?

だって、事件事態が地味で、うーん、まぁ、少しくらいの人間が死んでも仕方ないですね? ・・・くらいの「人口管理」の話にしかならなくて、そんなの、スーパー何でもできるマン!の達也の物語でそもそも扱う必要があるのか?という気がしてくる。

作者的には、伝奇的なことを書きたいという願望のほうがもともとあって、それはシャンバラなんてネタを持ち出してきたところで理解できなくはないのだけど、正直、それがうまく言っているようには思えない。

困惑する達也が見たいのではなく、無双する達也が見たい、というのが、このシリーズの魅力の出発点だったと思うから。

要するに、悩むゴルゴ13なんて見たくない、とにかく殺しの依頼をきっちりやり遂げるゴルゴ13が見たいんだ、ってことで。

なので、作者がしなくちゃいけないのは、僕、伝奇モノを書きたいんです!という自分の欲望の発露に使うのではなく、達也が自然に活躍できるプロットはなにか?という問いに向き合うことだと思うのだよね。

でないと、本気でこのシリーズで何をしたいのか、わからなくなってくる。

ていうか、すでに「メイジアン・カンパニー」ってシリーズタイトルがどうでもいいものになってるし。

いたずらに設定を固めて外枠から攻めていくのではなく、キャラに注目してその動きをフォローすべきだと思う。

そういう意味では、6巻で中国の密偵のハニートラップにかかった一条とか、7巻でひたすらレナの安全だけを重視してローラ・シモンに固執した結果、ロッキー・ディーンを取り逃がした遼介とか、そんなアホな男キャラはもういらないんだけど。

スピンオフへのつながりを確保するという商業的理由から、むりやりこうしたどうでもいいエピソードを挟み込んでくるだろうけど、本気でどうでもいいので、やめてほしい。

せめてやるなら、今回、達也の富士樹海遺跡発掘の露払いに駆り出されたエリカとか幹比古のように、達也と親交のある人たちに限ってほしい。

端的に、一条とか、遼介とかの話とかいらないから。

あとは、後出しジャンケン的にどんどん、シャンバラの話がデカくなってきていて、ついには、四大老のレベルにまで話がインフレしそうだけど、それでどうする気なんだろう?

構造的に、四葉が四大老の一人である東堂の傘下にあって、その四葉の次期当主である深雪に仕える達也の立場からすると、これは、力でどうにかできる話ではなくて、結局のところ、政治力で落とし所を探すしかないものになると思うのだけど。

でもさ、そんなの読みたいか? 楽しいか?

あと、シャンバラ絡みの、古代魔法文明の遺物として、パラサイトの発生や操作、除去の話などもでてきたけれど、そんなオーバーテクノロジーな話を持ち出して、収拾がつくのかな?

というよりも、これまでの物語の魅力を貶めるだけの結果にしかならないんじゃないの?

謎を謎のまま放置せずにこじ開けようというというのだから。

しかも、どうやらパラサイトの発生は、魔法の使用総量に依存する、という、形を変えた気候変動問題のようなはなしにするのはどうなのだろう?

文明が進歩した結果、人類が制御できない巨大な問題が生じ、そのままその文明は滅んでしまった・・・みたいなオチだと、最終的にまた、魔法の軍事利用に積極的なステイツと大東亜連合を敵役にして終わる・・・みたいな流れになりそうで、嫌なのだけど。

いやいや、作者、そこまで反米主義者かよ、って。

なんかねー、いろいろと嫌な、というか、ダメな感じしかしない7巻、8巻だった。

こういう伝奇モノをやりたいなら、仕切り直して、別シリーズの別主人公で始めるべきだと思う。

それくらい、いまの「メイジアン・カンパニー」は達也の魅力の低下を含めてつまらなくなっていると思う。

週間マンガなら、打ち切りレベル一歩前だと思うよ。
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