日経ホールで、「アジアの中心を目指す沖縄経済特区~ようこそ、ビジネスの楽園へ~」と言うシンポジュームが開かれたので聴講した。
内閣府の後援なので、高市早苗沖縄・北方担当大臣が来賓挨拶を行ったが、スキューバダイビングが趣味で良く行くと言った話から、シンガポールのIT立国話を交えて、立て板に水の名調子で沖縄のITハブ戦略を語っていた。
要するに今回は、新しい意欲的な仲井眞弘多沖縄知事が沖縄特区の活性化のための企業誘致・東京行脚の一貫としてシンポジュームを開催し、日経が乗ったと言う構図だが、興味深くもあり色々考えさせられた。
結論から先に言えば、自由貿易特区、情報通信特区、金融業務特区の3特区が設置されたが、この程度の特別優遇措置程度では生ぬるい、いくら鐘や太鼓の鳴り物入りで宣伝しても大した効果は期待出来ないのではないかと言うことである。
構想と夢は壮大で素晴らしいが、もっともっと抜本的画期的な優遇条件で沖縄特区を推進すべきで、世界の企業が関心を示し、日本のトップ企業が触手を動かすような条件を整えない限り、「アジアの中心を目指す」などは夢の夢に終わってしまう。
仕事で何度か沖縄に行ったことがあるが、那覇自体でも本土の都市と比べれば思ったより貧弱な都市だし、それに、美しい風景や風物を楽しんでいても、何処に行っても米軍の軍用機の爆音から解放されない。
私自身は、日本人は、これまで沖縄に犠牲を強いて経済社会の繁栄と安寧を維持して来たのだと言う厳粛なる事実を十分に認識すべきで、沖縄の開発(自然環境や沖縄固有の歴史文化などにダメッジを与えないような共生型の開発)の為には、並みの優遇条件ではなくて、世界に冠たる超好条件を与えた特区を建設すべきであると思っている。
ところで、田中直毅氏が、「沖縄経済特区の可能性」について基調講演を行った。
概要は次のとおりである。
経済のグローバリゼーションによって次のような変化が起こったが、この現象が沖縄の変化とその将来に貢献し特区発展の可能性を生む。
①選択と集中
②情報通信コストの大幅ダウン
③日本企業の直接投資の日本回帰
④日本企業の独自での研究開発志向
これまでは、総合的組み立て産業が主体だったが、グローバリゼーションによるサプライチェーンの拡大により、アウトソーシングでIT部品の需要が増大し環太平洋経済が活況を帯びてきた。
また、ITコストの大幅ダウンによって「距離の暴力」から解放された。
円高の頃は、日本企業は海外に進出して国内の空洞化が進行したが、最近ではでは多くの企業が日本回帰を始め、MBO等によって時間をセイブする動き等も活発になり、また、自らのR&Dによって差別化された技術や製品、ノウハウを開発しない限りグローバル競争に勝てなくなってきている。
更に、沖縄では、
①現在人口は136万人だが、自然及び社会的増加で毎年1万人ずつ人口が増加していて、若年人口が多く、かつ、その教育が充実している。
②経済社会の発展と振興のために経済特区の設立など特別措置法が施行されている。
以上の様な、環境の中で、グローバリゼーションの進行、沖縄や日本の経済社会の変化に呼応して、沖縄経済特区の発展の可能性や将来像が展望できる。
沖縄知事も、ITと観光で沖縄を活性化して、ベンチャーとイノベーションを志向したいのだと言っていたが、如何せん、現状での特区の活動状況は、パネルディスカッション「沖縄で花開くビジネスモデル」を聞いていて、プレゼン会社の動向や問題点を斟酌しても、可なり厳しいなあと思った。
確かに、那覇を中心とすると2000キロ圏には、シンガポールだけを除いて、中国、韓国、日本、フィリピンの主要都市はすっぽり入り込み、地理的には好立地だと思われるが、那覇への交通アクセスが異常に悪くて不便であり、ITハブを目指すと言っても回線が極めて少ないし、産業インフラの貧弱性は拭い切れない。
根本的な問題は、万難を排してでも沖縄に進出する魅力があるのか、今何故沖縄なのかと言うことであって、シンガポールやアイルランド、或いはフィンランドやアイスランドなどのIT立国を十分参考にして、日本政府が本腰を入れて、沖縄経済特区の活性化を推進しない限り無理だと思われる。
~ようこそ、ビジネスの楽園へ~と言った観光案内マガイのスローガンを打っているようなら先が思いやられる。
(追)椿は、天ヶ下
内閣府の後援なので、高市早苗沖縄・北方担当大臣が来賓挨拶を行ったが、スキューバダイビングが趣味で良く行くと言った話から、シンガポールのIT立国話を交えて、立て板に水の名調子で沖縄のITハブ戦略を語っていた。
要するに今回は、新しい意欲的な仲井眞弘多沖縄知事が沖縄特区の活性化のための企業誘致・東京行脚の一貫としてシンポジュームを開催し、日経が乗ったと言う構図だが、興味深くもあり色々考えさせられた。
結論から先に言えば、自由貿易特区、情報通信特区、金融業務特区の3特区が設置されたが、この程度の特別優遇措置程度では生ぬるい、いくら鐘や太鼓の鳴り物入りで宣伝しても大した効果は期待出来ないのではないかと言うことである。
構想と夢は壮大で素晴らしいが、もっともっと抜本的画期的な優遇条件で沖縄特区を推進すべきで、世界の企業が関心を示し、日本のトップ企業が触手を動かすような条件を整えない限り、「アジアの中心を目指す」などは夢の夢に終わってしまう。
仕事で何度か沖縄に行ったことがあるが、那覇自体でも本土の都市と比べれば思ったより貧弱な都市だし、それに、美しい風景や風物を楽しんでいても、何処に行っても米軍の軍用機の爆音から解放されない。
私自身は、日本人は、これまで沖縄に犠牲を強いて経済社会の繁栄と安寧を維持して来たのだと言う厳粛なる事実を十分に認識すべきで、沖縄の開発(自然環境や沖縄固有の歴史文化などにダメッジを与えないような共生型の開発)の為には、並みの優遇条件ではなくて、世界に冠たる超好条件を与えた特区を建設すべきであると思っている。
ところで、田中直毅氏が、「沖縄経済特区の可能性」について基調講演を行った。
概要は次のとおりである。
経済のグローバリゼーションによって次のような変化が起こったが、この現象が沖縄の変化とその将来に貢献し特区発展の可能性を生む。
①選択と集中
②情報通信コストの大幅ダウン
③日本企業の直接投資の日本回帰
④日本企業の独自での研究開発志向
これまでは、総合的組み立て産業が主体だったが、グローバリゼーションによるサプライチェーンの拡大により、アウトソーシングでIT部品の需要が増大し環太平洋経済が活況を帯びてきた。
また、ITコストの大幅ダウンによって「距離の暴力」から解放された。
円高の頃は、日本企業は海外に進出して国内の空洞化が進行したが、最近ではでは多くの企業が日本回帰を始め、MBO等によって時間をセイブする動き等も活発になり、また、自らのR&Dによって差別化された技術や製品、ノウハウを開発しない限りグローバル競争に勝てなくなってきている。
更に、沖縄では、
①現在人口は136万人だが、自然及び社会的増加で毎年1万人ずつ人口が増加していて、若年人口が多く、かつ、その教育が充実している。
②経済社会の発展と振興のために経済特区の設立など特別措置法が施行されている。
以上の様な、環境の中で、グローバリゼーションの進行、沖縄や日本の経済社会の変化に呼応して、沖縄経済特区の発展の可能性や将来像が展望できる。
沖縄知事も、ITと観光で沖縄を活性化して、ベンチャーとイノベーションを志向したいのだと言っていたが、如何せん、現状での特区の活動状況は、パネルディスカッション「沖縄で花開くビジネスモデル」を聞いていて、プレゼン会社の動向や問題点を斟酌しても、可なり厳しいなあと思った。
確かに、那覇を中心とすると2000キロ圏には、シンガポールだけを除いて、中国、韓国、日本、フィリピンの主要都市はすっぽり入り込み、地理的には好立地だと思われるが、那覇への交通アクセスが異常に悪くて不便であり、ITハブを目指すと言っても回線が極めて少ないし、産業インフラの貧弱性は拭い切れない。
根本的な問題は、万難を排してでも沖縄に進出する魅力があるのか、今何故沖縄なのかと言うことであって、シンガポールやアイルランド、或いはフィンランドやアイスランドなどのIT立国を十分参考にして、日本政府が本腰を入れて、沖縄経済特区の活性化を推進しない限り無理だと思われる。
~ようこそ、ビジネスの楽園へ~と言った観光案内マガイのスローガンを打っているようなら先が思いやられる。
(追)椿は、天ヶ下